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課外授業2日目。昨日に引き続き、各々自分の妖術と向き合っていた。ついでにこの男も
☀️「ん〜…?」
🧣「やっぱむずいのか?」
☀️「集中しないと…」
🧣「集中か…」
☀️「飯綱くんは、その、どうしたの?」
🧣「反射条件で鎌出てただけだったしな。そこ矯正されて終わった」
☀️「されたんだ…」
🧣「そーいや、恵比寿先生は…なんでもありません」
🦐「えー?教えるよ? 」
☀️「え?!」
🦐「その代わり、2人の力も教えてね」
🧣「…」
☀️「飯綱くん…?」
飯綱の顔から、一瞬表情が消えたように見えた。そして、タバコ吸ってくると森の中へ入っていってしまった。晴明は、ただその後ろ姿を眺めていた。あれは、警戒するような…。飯綱は恐らく教師の中で1番恵比寿と仲がいい。そんな相手に対して、あの顔。そして、飯綱の力?飯綱はかまいたちでそれ以上でもないだろうに…
🦐「えーっ秦中先生のも聞きたかったのにな〜」
☀️「大丈夫かな…?僕ちょっと見てくるので頼んでいいですか?」
🦐「はい」
恵比寿に生徒達を任せると、晴明は森の中へ入っていった。よほど深くまで入っていったのだろうか。まったく飯綱の姿が見当たらない
☀️「うわっっっ?!」
そう思っていた矢先、前方から何かが勢いよく飛んできた。咄嗟に避けたが、晴明の後ろの木にぶつかったものを見て血の気が引いた
🧣「がはっっっ…」
☀️「飯綱くん!!大丈夫?!…ち、血が…!!」
飛んできたのは飯綱だった。しかも、腹に何やら不気味なものが刺さっていた。抜けば、失血死してしまう。しかし、血が一向に止まる気配がない
🧣「はる、ぁ、き…逃げろ…」
☀️「え?!でも、君を置いてけな、」
🧣「ぃ、から…!」
☀️「な、なに、これ…」
🧣「いいから、逃げろ!!!!!」
しかし、晴明は動かない。いや、動けないのだ。すっかり、腰が抜けてしまっている。今まで、色々な妖怪を見てきた。しかし、妖怪の知識に乏しい晴明でもわかる。これは、妖怪なんかじゃないと。退魔の力を出すこともできずに、晴明は自身の頭に振り下ろされる物体をただ見つめることしかできなかった
🧣「は、るあき…?」
飯綱は、目の前で頭から血を流して意識を失った親友を見ていた。飯綱も飯綱で、身体が動かないのだ。恐らく、腹に刺さっているものが原因だろう。先ほどから、頭がぼんやりする。回るの音が聞こえない。視界が霞む。ただ真紅の赤だけがやけにはっきりと見えた。腹の底から怒りがわいた瞬間、まずい、と直感で思った
👿「おい、晴明達は?」
🦐「いや…まだ戻ってこなくて。安倍先生も…秦中先生も遅いなぁ」
そんなに奥までいったのだろうか。しかし、自分がここを離れるわけにはいかない。そんなことを考えていると、奥から次々に木が切り倒されてきた。いや。奥からここまで全ての木が吹き飛んだ
👿「うおっっっ?!」
🦐「みーくん下がって!!!」
👀「おいおい、今度はなんだよ!!」
🧣「え、びす…せんせぇ…」
🦐「秦中、先生?」
🧣「後で、全部、はなし…ますか、ら…生徒と、にげ…て」
🐈「秦中?!」
🧣「くるなっっっっ!!!…悪いな…抑え、られない…!まきこまれる、前に、逃げろっ…!」
🦐「っみんな山から降りて!!!!!急いで!!!!!!!!!!」
🧣「ぐっ…恵比寿、先生…学園、長を…、よん、で、ください… 」
🦐「学園長?!」
🧣「やべっっ…逃げろっっっっっ!!!!!!」
ひときわ大きな声で叫んだかと思えば、飯綱は自分の手を鎌で貫いた。しかしそこには、いつもの秦中先生はいなかった
🧣「くくっっ…はっはははははぁああああ!!!!!!!」
👀「秦中…だよな…」
全身ボロボロで、出血も酷いのだが、飯綱はただ笑っているだけだ。しかも、攻撃も受けていないのに、飯綱の身体には傷が増えていく。それでもなお、飯綱は笑っていた。目の焦点があっていない
🦐「あれが、かまいたち…」
👿「晴明?!!!!!!」
☀️「佐野、くん…」
👿「何があったんだよ!!!!!!」
☀️「よく分からないのに襲われて…それで気づいたら飯綱くんが…」
👿「はぁ?!…とにかく、お前の退魔の力でとめらんねーのかよ」
☀️「やって、見るよ…」
飯綱に向け手を向けると、横から誰かに止められた
🎭「やめとけ」
☀️「学園長…?」
🎭「今のアレはお前の手には余る」
☀️「でも、飯綱くんが…」
🎭「俺も、陰陽師だ。お前に退魔の力で劣ったとしても…アレにはお前より知識がある。それと、明よんどいてくれ」
いきなり現れたのは学園長…いや、蘆屋道満だった。今はヒールを履いていない。着物の上も着ておらず、袴のみである。それだけで、この状況がどれほどのものなのかが理解できた。そして、アレ…笑いながら破壊を続ける飯綱に対して知識があると言っていたあたり、飯綱がああなるのは初めてではないのだろう。明を呼ぶように告げると、道満は飯綱とともにどこかへ消えてしまった
🎭「一応聞いとくが、分かるか?」
🧣「はっっはははははは!!!!!」
🎭「…急 急…」
飯綱の意識もないので、陰陽師として飯綱の妖力を祓おうとする道満
🎭「!ちっっっっ!!」
しかし、おとなしく詠唱し終わるまで待ってくれるわけもない。それよりも、以前より速く、強くなっている。学生時代以来見ていなかったが、大人になり、身体的にも能力的にも成長したのだろう。一瞬遅れたがために右手に鎌が当たった。かなり深くまで入ったと思う。しかし、血は出ていない。これが、かまいたち本来の力だ。治療方法も特殊なので、ここまでの大怪我となると本人に聞くほかないのだが
🎭「ったく…本当お前は手のかかるガキだな…!」
🧣「あっっはははは…ぐっっっ…」
🎭「…!…。そういう奴だったな…」
飯綱の動きが止まった。恐らく、飯綱の意識だろう。のまれて尚抗うとは。数十年の時を経て成長したのは精神面もだった。家族の、親友の存在が大きいのだろう。道満から見てもより強い精神力を身につけたと思う。止まっている間に、詠唱を済ませてしまう
🎭「…っ 急急如律令!!!」
詠唱を終え、飯綱の妖力を祓った道満。祓われた飯綱は、意識を失いその場に倒れたが、地面につくよりも先に学園長におぶられた
🎭「準備終わってんな」
💉「はい。容体は?」
🎭「時間的にはそこまでたっていないはずなんですが…」
💉「これ…お腹の傷は違うね」
🎭「違う?」
💉「秦中くんが自分でやった…のかな?」
暴れている時の鎌で切られれば血は出ない。しかし、半分意識があれば血も出るらしい。実際、窯で貫いた右腕は血が出ている
🎭「やりかねねぇな…」
飯綱のことだ。恐らく森を見てきたが、森の状況的に生徒達とかなり近くにいたらしい。自分から遠ざけるためになら自滅もしかねない
☀️「えっと、なんか変な生き物いませんでした?」
💉「生き物?」
☀️「えっと…不気味なのがいたはずなんです。それに僕たち襲われて…」
🎭「…」
💉「ああ。飛び散ってた肉片かな?」
☀️🎭「え?」
💉「君の処置が終わっって、学園長もこないから、少し森を(目が)見てきたんだけど、血が飛び散ってたんだよね。味的に秦中くんのものじゃなかったし、それに、血も青緑っぽい色だったし」
途中変なことを言っていたが、やはりいるにはいたらしい。道満は見ていないが、その不気味なもに飯綱がああなるまでには追い詰められたということだろう。状況的にも、精神的にも
🎭「この際触れないでおくが…飯綱は?」
💉「輸血分は持ってきたので、貧血は大丈夫です。…今回は内側から壊れてて…」
🎭「骨か」
💉「粉砕骨折も所々見られます。…学園長、腕…」
🎭「…以前よりだいぶ強くなってる」
💉「年を重ねて…か。とりあえず、学園長も診察しますんで、傷口見せてもらえます?」
口は動かしつつもしっかり飯綱の診察と並行していたたかはし。飯綱の容体がかなり危ないので、聞けることを聞いておかねばならない。飯綱の、飯綱の子供達のためにも
🌹「学園長!」
🍶「飯綱くんは?!」
連絡してすぐにきた荊棘と凛太郎。急いできたらしい。荊棘にいたってはエプロンをつけたままだ
🎭「すみません…荊棘さん」
🌹「そんな…学園長が謝ることちゃいますよ」
🎭「ああなったら、1秒でも速く止めなければならなかったのに…」
🍶「学園長、腕…」
🎭「…気にしないでください」
🌹「まさか飯綱くんが」
🎭「…飯綱くんのおかげで、この程度ですみましたから」
🍶「どういうことや」
🎭「抗ったんです、彼は。ただその強靭な精神力で」
🍶「さすが…バカのやることはわからんなぁ…」
ああなっても、飯綱でいてくれたことへの嬉しさ。親友の大変な時にいつもいない自分への怒り。こういう時に何もできない悲しみ。そんな感情が織り混ざった顔をする凛太郎。荊棘も同じような顔だった
🌹「飯綱くんは?」
🎭「寝ています。ただ、絶対安静なので。あと、少なくても5日は起きないと」
🌹「そうですか…」
🎭「…明くんが飯綱くんを見てくれるそうです。私も、年中暇なのがいますので、そいつに様子を見てるように言っておきます」
🌹「…すみません、お願いします」
🍶「学園長、参組の子らは…」
🎭「…受け入れづらい、と言った顔でしたね。晴明くんがどうにかしようとしていましたが、彼も同じような顔でしたねがね」
🍶「そら…飯綱くんがあんなんになるっちゅうんは僕でもかなりの衝撃やったからな…」
🎭「それは私も驚きましたが…。私は学園に戻ります。少し調べたいこともできましたし」
🍶「分かりました」
🎭「…刺客…か?いや…明曰く麻痺毒が腹の傷なんだろ…つまり、連れ去ろうとした…?」
仮面をはずし、背もたれに全体重をかける道満。上からの刺客。連れ去ろうとしたと言うには十分なモノ。あれから一度も姿を見なかった恵比寿。疑うものは大量にある。しかし、今は飯綱の意識が戻り次第来るである妖怪省の対応が先だ。しくじれば、飯綱はもちろん飯綱の血をもつ子供達…加前と太一の3人は研究所送りか留置所で一生を終えるまで監禁生活を送ることになる。無論、そんなことには断じてさせるつもりはない。徹底抗戦してやる。学園長室のドアがノックされ、仮面を被った。仮面の下に決意を隠した