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#BL
kaede🍁
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おその★
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午前十時過ぎ。
二人は帽子とマスクを深く身につけ、人目を避けるようにショッピングモールへ入った。
平日の午前中ということもあり、館内はまだ人が少ない。
「このくらいなら大丈夫そう。」
目黒が周囲を見回しながら小さく呟く。
阿部は緊張したまま頷いた。
「……うん。」
エスカレーターを上がり、二人が入ったのは、洋服から帽子、靴、下着まで揃うアパレルショップだった。
店内には色とりどりの洋服が並び、季節物のコーナーにはマネキンが爽やかなコーディネートを着こなしている。
阿部は店内を見渡して、小さく息を飲んだ。
「……全部、女の子の服だ。」
その言葉に、目黒は首を横に振る。
「レディースだけじゃないよ。」
店内の反対側を指差す。
「ユニセックスもあるし、オーバーサイズの服もたくさんある。」
「無理して変わる必要はないから。」
その一言に、阿部の表情が少しだけ和らいだ。
「今日は三日分だけ揃えよう。」
「三日分?」
「急いでたくさん買うより、必要なものだけ。」
目黒はハンガーを手に取りながら笑う。
「その間に状況も変わるかもしれないし。」
「……うん。」
二人は店内をゆっくり歩き始める。
目黒は慣れた手つきで服を選んでいく。
「これは?」
黒のゆったりした半袖シャツ。
「シンプルだから合わせやすい。」
続いて、柔らかいベージュのワイドパンツ。
「動きやすいし、体のラインも出にくい。」
阿部は鏡の前で合わせてみる。
「……なんか落ち着く。」
「でしょ?」
目黒は嬉しそうに笑った。
次は淡いグレーのパーカー。
白いロングTシャツ。
黒のカーゴパンツ。
「今日は少しカジュアル。」
「アイドルって感じじゃなくて、普通の大学生みたい。」
阿部は思わず笑う。
その笑顔を見て、目黒は胸をなで下ろした。
やっと、少しだけ元気が戻ってきた。
最後はネイビーのカーディガンに、白いカットソー。
細身な黒のストレッチパンツ。
「これは?」
「少しだけきれいめ。」
「事務所へ行く日でも着られる。」
「本当に三日分考えてる……。」
阿部は感心したように並んだ服を見る。
どれも派手ではない。
けれど、どれも今の自分が安心して着られそうなものばかりだった。
「帽子も。」
目黒はキャップを二つ選ぶ。
黒とベージュ。
「服に合わせて使い分けよう。」
さらに歩きやすい白いスニーカーと黒いパンプスも選ぶ。
「サイズ、一回履いてみよう。」
試着用の椅子に座る阿部の前へしゃがみ込み、目黒は新しいスニーカーを差し出した。
「足、痛くない?」
「うん、大丈夫。」
「歩きにくかったら別のにしよう。」
まるでスタイリストのような真剣な表情に、阿部は思わず笑ってしまう。
「めめ。」
「ん?」
「なんか、すごく頼もしい。」
「仕事柄、多少は見る目あるから。」
照れ隠しのように笑う目黒だったが、その耳は少し赤くなっていた。
最後に二人はインナー売り場へ向かう。
阿部は足を止め、小さく俯く。
「……ここは。」
慣れない売り場に、どうしても緊張してしまう。
目黒はそんな阿部の様子を見て、ゆっくり隣に立った。
「大丈夫。」
「今日は、今必要なものだけ選ぼう。」
「分からないことは、一緒に考えればいい。」
その穏やかな声に、阿部は深く息を吸う。
「……うん。」
一人だったら、この場所へ来る勇気はきっと出なかった。
でも今は、隣にめめがいる。
そのことが、何より心強かった。
コメント
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第8話、読み終わりました。阿部さんの緊張がひしひしと伝わる中で、目黒さんが「無理して変わる必要はない」とさりげなく言うところ、すごく優しいなと思いました。それまで静かに震えていた阿部さんが、服を選ぶうちに「落ち着く」と笑顔を見せられるようになる流れが、すごく丁寧で。インナー売り場で足を止めた阿部さんに「一緒に考えればいい」と隣に立つ目黒さんの距離感、本当に心地よかったです。二人の関係が少しずつ深まるのを感じる回でした。