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⚠ 視点が頻繁に変わるので見にくいかもです
wki side
俺は、限界だった。
教室で、元貴が一人で弁当を
食べているのを見た時。
隣に座ろうとすると、
周囲の空気が、一斉に固まる。
誰も何も言わない。
でも、拒絶は、はっきりしている。
俺は、弁当を置いた。
立ち上がって、言った。
「……俺、我慢しないから」
その声は、教室に響いた。
元貴には、聞こえない。
でも、全員の視線が
俺に集まったのが分かった。
「聞こえないのは、病気だ。 無視じゃない。
それを笑うのは、人として終わってる」
誰かが、舌打ちした。
「正義ぶるなよ」
「巻き込むな」
mtk side
若井は、そこで初めて怒鳴った。
「巻き込まれてんのはこっちだよ!」
机が、音を立てる。
僕は、立ち上がれなかった。
(やめて)
(これ以上、嫌われたくない)
その瞬間、
お昼を一緒に食べに来た
涼ちゃんが前に出た。
「若井」
低い声。
「もう十分。」
若井は、息を荒くして涼ちゃんを見る。
「涼ちゃ……!」
「若井が壊れちゃう」
涼ちゃんは、はっきり言った。
「それが一番、元貴を追い詰める」
若井の肩が、落ちた。
ryok side
放課後、僕は二人を別々に呼び出した。
まず、若井。
「正面からぶつかっちゃだめ。」
「……でも」
「分かってる」
僕は、真っ直ぐ見る。
「でも、若井は当事者。
一番傷つく立場でもある」
「じゃあどうすれば、ッ!」
大きく息を吸い、言った。
「だから、僕が出る」
次に、元貴。
僕は、椅子に腰掛けて言った。
「若井には動かせない。
その代わり、僕が動く」
元貴は、首を振る。
「……迷惑」
僕は、ため息をついた。
「ねぇ。 先輩ってのはさ」
少しだけ、柔らかい声。
「後輩が黙って潰れるのを見過ごす役じゃない」
その日から、僕は行動を始めた。
担任に話し、
保健室の先生にも告げ、
無音病について正式に説明した。
「配慮が必要なケースです
怠慢じゃない。」
言葉に、形を与えた。
mtk side
クラスの空気は、すぐには変わらなかった。
でも、
「何をしていいか分からない」から
「下手なことはできない」に変わった。
それだけで、
僕は、少しだけ息ができるようになった。
夕方、校門。
若井が、僕の前に立つ。
何か言おうとして、
言葉を選んで、
結局、スマホを出した。
『俺、 今日は 怒りすぎた』
僕は、首を振る。
「助かった」
それだけ言う。
若井は、苦しそうに笑った。
「……守り方、間違えたかもな」
僕は、ゆっくり首を振る。
「……間違ってない」
声は、聞こえない。
でも、僕は、その口の形を見て答える 。
それを聞いた若井は少しだけ救われた顔をした。
ryok side
僕は、少し離れた場所から二人を見ていた。
(ここから先は)
(僕が前に出続ける場所じゃない)
そう思いながらも、
まだ完全には、手を離さなかった。
――もう少しだけ。