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【能力者名】ロカ•タランティーネ
【能力名】 エンプレス•ディスコ
《タイプ:友好型》
【能力】肩に触れた相手の心をへし折る
能力
【以下、細菌達の記録】
《とある日の米津高校一年E組のクツ箱の前にて》
『おっはよーじゃーんね!!』
一年E組の生徒、黒小場じゃんね
(ぐろおばじゃんね)は気の弱いクラスメイトの蝮原原見(まむしばらはらみ)の背中に
タッチしながら挨拶した。
そして、じゃんねは彼の能力を発動した。
彼の能力は 触れたものに罪をなすりつける能力 《くろうばあないと》、彼はこの能力で 蝮腹原見に先輩のあんぱんを勝手に食べた
罪を擦り付けた。
(ぎゃーはっはっはっは!!!!面白いじゃんね面白いじゃんねぇ!!!こんな面白い能力、玩具ァ!!!!! 使わない理由がないじゃんねぇ!!!!玩具があったら遊びたくなるのが人間じゃんね、銃があったら撃ちたくなるのがにぃんげんじゃんねぇ!!!!! 僕に罪はなぁあい。なぜならぁ!!罪はすでに!!!! 誰かに擦り付けたからァッ!!!!!!!!!)
と、黒小場じゃんねは心の中でゲス顔で
叫んだ。
もちろん、こんなところで大声で叫ぶほど 彼は馬鹿ではない。
彼は能力を擦り付けた あとも極めてポーカーフェイスを貫くように努めた。
彼の完全犯罪は完遂されるはずだった。
あの女がいなければ。
「黒小場くん、少し職員室まで来てくれるかしら?」
威圧感のない声、しかしその声には有無を言わせぬ凄みがあった。
声の主の名はロカ•タランティーネ。
米津高校で古典を担当する女性教師だ。
ピンクがかった赤髪に青い瞳、
妖艶で美しい顔立ちに198mもある巨体 、
Gカップはあるであろう豊満な胸と尻と太ももに引き締まった身体。
八尺様と呼ばれる妖怪のような、どこか
人間離れした雰囲気を放つ妖しげな魅力のある女教師だった。
黒小場は
(……チッ、めんッどくせーじゃんね。)
と心の中で思いながらロカと共に職員室に
向かった。
《米津高校職員室にて》
「黒小場くん、あなたはさっき靴箱で
蝮腹くんに能力を使いましたね?」
静かに、それでいて優しく、ロカは
黒小場にそう尋ねた。
しかし黒小場も、そこでボロを出すほど
馬鹿ではない。
「先生?僕を疑ってるじゃんね?証拠もないのに生徒を疑うのは良くないじゃんねぇ。」
極めて冷静に、いけしゃあしゃあと、黒小場は 言った。
ロカはきわめて自然に、緩やかに黒小場の
肩に手を添えた。そして
「《エンプレス•ディスコ》。」
と低い声で言い、ロカ先生の 能力を発動した。
「がぁぁッッ!!!??」
ベキリ。と、黒小場の中で何かが終わった音が した。
《能力者の強さは心の強さに依存する。》
これはこの世界の住人なら誰もが知る常識で
あった。
つまり、心が折れてしまえば、 その能力者は最悪一生、能力を使えなく なるのだ。
「もう一度聞くわね、黒小場じゃんねくん?」
そう言ってロカは黒小場の肩に手を添えた。
ビクリッと黒小場は小動物のように震えた。
「あなたは何か悪さをしたわね?」
じゃんねは自白した。
もう二度とあんな絶望感を 味わいたくないからである。
黒小場は ロカとともに蝮腹に謝り、先輩に謝り、先輩にあんぱんを弁償した。
《昼休み、職員室にて》
「あ、お疲れ様でーすロカ先生。」
真面目で勤勉な米津高校の現代文教師、
切名旅行(せつなたびゆき)は昼休みにも関わらず、まだパソコンで何やら作業をしていた。
「お疲れ様です切名先生。仕事熱心なのは
なによりですが休むべき時に休むのも仕事の内ですよ。」
そう言ってロカは旅行にコーヒーを差し入れした。
「いやー、どうも。…….ところでロカ先生、 最近生徒達の間でトイレの亡霊という怪談が 流行ってるのをご存知ですか?」
「怪談?いえ、始めて聞きました。」
「何でも、放課後トイレの中で悪いことをすると亡霊にどこかへ連れ去られるんだと。
………どう思います?」
コーヒーを飲みながら旅行はロカに尋ねた。
ロカは少しだけ考え、そして
「十中八九能力者絡み、しかも一年生によるものでしょう。そんな噂は去年までなかったですから。放課後に校内のトイレで犯行がおこなわれていると仮定して、
おそらく運動部ではなく、帰宅部、もしくは
文化部に所属してる能力者の生徒によるもの
でしょう。これは、あくまで私の勘ですけどね。」
と自らの推理を披露した。
これは長年教師をやってきた者の勘であり、女の勘であった。
「やっぱそうですかねー。 …….はぁーー。
ただでさえ能力者の生徒の世話にクレーム処理、学校行事に部活動に授業のまとめに忙しいのにまた厄介事ですよ……。胃が痛いですね…..。」
そう言いながら、旅行先生はため息をついた。
ロカは言った。
「ここはローラー作戦でいきましょう。」
《翌日》
正門の掲示板に張り出された張り紙に
生徒達は愕然とした。
『次の小テストで赤点をとったもの
皆、ロカ•タランティーネの《エンプレス•ディスコ》により能力を破壊されたのち補修。
赤点をとらぬよう学問に励むべし。』
こうして、能力者達の生き残りをかけた
頭脳戦、《BioTOPE 春嵐編》が開幕した。