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【BioTOPE 14話 それぞれの思惑①】
【能力者名】妖怪沢どろり
【能力名】 メルト
《タイプ:擬態型》
【能力】 手のひらで触れた相手(人間のみ) をどろどろに 溶かす能力
【以下、細菌達の記録】
《放課後、海街深蔵の生み出した
異空間の中にて》
(おしゃれなバーのような空間)
朝、米津高校の正門前の掲示板で
『次の小テストで赤点をとったもの皆、
ロカ•タランティーネの《エンプレス•ディスコ》にて能力を破壊されたのち補修授業。』
という文言を見た《ボランティア部》メンバーの 妖怪沢どろり、海街心蔵、恋原表裏一体 (こいはらこいん)の三人。
放課後、三人はいつもの見周り活動を一度控えて心蔵の異空間内にて 作戦会議をしていた。
【運命の小テストまであと7日。】
「能力を破壊されるのはよくない、おそろしいことだ。」
購買で買ったコーラを飲みながら、苦々しい
顔でどろりは言った。
「同感だ、こんな便利な能力、破壊される
わけにわけにはいかない。」
異空間に防音室を作る能力《深海シティーアンダーグラウンド》の持ち主の心蔵は、ヘッドフォンで音楽を聴きながら淡々と言った。
その表情からは少し焦りが読み取れた。
「はいッはいはーい☆コインちゃんから名案がありまぁーす☆」
性別を操る能力、《裏表ラバーズ》を持つ
表裏一体が足を組みながら手をあげた。
彼女がこう言う時、大抵ろくでもない提案な
ことをどろりと心蔵は すでに理解していた。
「一応、聞いてやる。…….何だ?」
どろりはそう言って表裏一体の発言を促した。
「どろりの《メルト》でロカ先生を消しちゃえば良くない?心蔵の《深海シティーアンダーグラウンド》で異空間にロカ先生を閉じ込めてボクの《裏表ラバーズ高速振動で動き止めてどろりの
《メルト》で溶かしてやられる前に完封!!勝ち!!!どう、ボクって 天才じゃない!!?」
コインが自分の才能が恐ろしいといった 具合に頬に手を当てくねくねしだした。
どろりはため息をついた。
「…….コインのアイデアにしては悪くない。だが それは最終手段だ。」
そう言ってどろりは頭を掻いた。
「えー、なんでー?もしかしてびびってんの ー?」
つまんなそうにコインは言った。
「びびってるんじゃない、慎重なだけだ。
いいか、コインの作戦には二つ問題点がある。一つ目は、今までロカ先生に戦いをしかけて不意打ち、集団戦込みで勝てた生徒は
一人もいないという点だ。」
「…….ロカ先生はそれほど強いのか?俺には 信じられんな。」
ヘッドフォンを外しながらシンゾーは
言った。
「そう言えばシンゾーはあまりSNSとか見ない タイプだったな。僕がSNSとAI検索で調べたところロカ•タランティーネ先生は元々第二次能力者戦争を生きぬいた精鋭だったことが分かった。そのため能力者同士の戦いを 熟知している。さらに、ロカ派の生徒達や先生などの能力によるサポートも考えられる。そんなロカ先生に俺達が挑むのはまだ檜の棒しかもってないレベル5の勇者がいきなり
レベル99の魔王に勝負を挑むようなものだ。」
「なら勝てるかもしれないじゃん?どろりのびびり。」
「びびりじゃない。」
「びーびーりー!!」
「びびりじゃなーい!!!」
いつものようにいがみ合いながらどろりと
表裏一体はおでこを突き合わせた。それに
呆れたシンゾーが話を続けた。
「……一つ目の理由は分かった。
そしたら二つ目の理由はなんだ?」
シンゾーがどろりに尋ねた。
「二つ目は、ロカ先生がやり方は乱暴だが
生徒思いの良い先生ということだ。事実、ロカ先生を能力者の生徒達が恐れたことで先生の目の 届く場所でいじめや能力バトルをする馬鹿はほぼいなくなったそうだ。…….僕達はクレイジーな大量殺人鬼じゃない。ロカ先生の目の届かない場所で悪さをしようとするどうしようも ないかなしい奴等、そいつらを狩るのが僕ら 《ボランティア部》の役割だ。」
【細菌達の捕捉説明(読み飛ばしてOK)】
事実、どろりが今まで戦ってきた生徒達は
(※一部のウルトラバカ痛見を除き)
皆ロカの目が 届かない放課後のトイレや、更衣室などで 悪行を働いていた。
彼らが今までどろり達にあっさりやられていたのはどろり達の狩人としての才ももちろんあるが、ロカ先生を 警戒し、 どろり達一般生徒への警戒が薄れていた点も非常に 大きいのである。
【捕捉説明おわり】
「僕らはロカ先生と争うのではなく共存すべきだ。ちょうど、草むらの蛇と蜘蛛みたいにね。」
そう言ってどろりは話を締めくくった。
「ボク達がそう思ってても向こうはボクらの
能力壊そうとしてるんだよ?こっわーい☆ これは赤点とらないよう勉強がんばらないとねー。」
心底めんどくさそうにコインはため息を
ついた。
「ああ、だからまずは現状分析だ。それぞれのこないだの小テストをお互い見せあおう。」
そう言って彼らは事前に準備した前回の小テストの紙を用意した。
(テストは250点満点中
150点取れば赤点回避できる。)
《表裏一体》…..国30/50,数50/50,
英42/50,理48/50,社2/50
(合計、172/250 赤点回避)
《どろり》……国46/50,数32/50,
英24/50,理32/50,社36/50
(合計、170/250 赤点回避)
《心蔵》…..国2/50,数32/50,英12/50,
理4/50,社6/50
(合計、 56⁄250 余裕で赤点)
どろりとコインはシンゾーの小テストの結果を 二度見した。
シンゾーはとても哀愁に満ちた顔をし、
「すまない、お前ら……..俺はどうやら
ここまでのようだ。…..フフッ。」
と言って自嘲気味に笑った。
【運命の小テストまで残り7日】
(最後まで読んでくださりありがとう
ございました。)