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サイド タエ
いつも、絶望に追われ続ける日々が続いていた。理不尽という名の教室で私は居場所を見つけられなくて、泣いていた。
教室では多数派が正義なの。正義ではなかった私は、それこそモンダイジとみなされ粛正という名目で虐めを受けていた。
だから、転校生が来ても何も変わらないんだって決め込んでいた。
「あー、みんなもう知っていると思うが今日!このクラスに転校生が来る!」
『イエーイ!!』
一気に私の周り以外の空気が明るくなる。
「よし!じゃあ、キノ ダイキ君。入ってくれ!」
男の子なんだなって思った。どんな子でも関係ないけど。……私を助けてくれる訳じゃ、ないもん。
…………って、あれ?
ドアの向こうから、転校生がやってこない。ひたすらシーンとしているだけ。
「ダイキ君!!」
もう一度、更に声を張り上げて先生が名前を呼ぶ。何かおかしいと、クラスが少しざわつき始めた。
慌ててドアを開けて先生が廊下に出る。
「あれ?!いない?!」
『ええーっ??!!』
転校生が転校初日に行方不明になるなんて、聞いたことも見たこともない。
私も目を丸くした。
「みんなは自習しててくれ!先生、ちょっと探してくるな!」
な、なんだか大ごとになってきちゃってる……?
そう思ったときだった。
「あー、スッキリした!」
……呑気な声が、男子トイレの方から聞こえた。
見なくても分かった。例の転校生だって。
何故、勝手にトイレに行ったのか先生が問い詰めていた、転校生の言い訳は一言。
「ヤベッ、忘れてたっ!」
あまりにもあっけらかんとして言うので、先生は怒る気力も失せてしまったようだった。
「えーと……改めて」
「木野 大輝(キノ ダイキ)だ!よろしくな!」
そう言って転校生……ダイキは太陽のように眩しい笑顔を私たちに向けた。