???「…………?」???「あ!雨花さん!やっと目を覚ましたね!……良かった。」
???「橙ちゃん……わたしどうやってここに来たの?」
???「雫さんに運ばれたのよ。あんたがふらりと冥府に帰ってきたから。あんたその怪我どうしたのよ。ガーゼやら包帯だらけ……まるで「あの頃」みたいじゃない。」
ここは橙の家。ここで、「紫雲雨花」は静養している。あの後、医者にみせたが、ほとんど自分の神通力であの怪我を負ったらしく、その際に込めていた感情がとても強く、完治するには四ヶ月はかかるそうだ。最もどんな感情を込めていたかは分からないらしいが……しかし、「不山橙」と「桃時」はその感情について予想は付いていた。きっと雨花は……
雨花「なんか心配かけちゃったね……もう二人とも知ってるでしょ?海音ちゃんから。海音ちゃんは覚えてないだろうけど……」
橙「雨花さん。なぜそうまでして自分を追い詰めるんですか……って聴いても教えてくれないですよね。」
雨花「…………」
桃時「はぁ……めんどくさいわね。あんた。ほんっっとうにめんどくさい。アタシたちに受け入れられる覚悟もあんたはできないんでしょ。弱すぎるわよ。あんたは。強くなんて全然ない。」
橙「ちょっと桃時さん……」
雨花「そうだよ。わたしは自分をクズすぎるクズだって想ってる。そんなこと言って開き直ってる。わたしはどうしようもなく弱くて、自分を消したくてたまらない。そんな奴だよ。クズにすら分類できない奴なんだよ。死刑をただ待ってる罪人なの。わたしは。受け止めて貰ってもわたしはそれを許せない。受け止めて貰ってる自分を許せない。」
桃時「…………」
桃時は、黙っていたが徐々に……
桃時「…………ぐずっ……」
橙「桃時さん……」
雨花「…………」
桃時は泣き出してしまった。
桃時「もう!!!!なんなのあんた!!アタシにとってはそうじゃないって何で分からないの!!アタシたちはあんたが例え自分を許せなくたって良いからそばにいたいって想ってるの!!何でそんなに単純なことが分からないの!!あんたの犯した過去のことなんてアタシはどうでも良いの!!!!あんたは……!!今のあんたはこんなにも泣きたくなるくらい優しくて暖かくて良い奴じゃない!!どうせあんたはそんなの嫌われたくなくてやってるとかこれ以上クズになりたくないからだとかめんどくさいこと言うんだろうけど……でも!!!!そのめんどくさいのもあんたならそれでも良いからとりあえずここにいてよ……!!お願いだから……!!!!」
ぐずっと泣きながら桃時は叫び続けた。
橙「雨花さん……雨花さんはあなたが想ってるより周りに愛されてるんですよ?あなたはもう充分苦しみました。そんなにボロボロになって、自分で自分を傷つけ続けて、もう……もう……良いんじゃ……ないんですか?もう……やめましょうよ。自分を責めるのをお休みにしましょうよ……だって……だっ……て、雨花さん……だって幸せに……なる権利持ってる……んですよ?」
橙まで泣き始めてしまった。涙を抑えながら鼻水をすすり、なるべくちゃんと話すようにする橙。
橙「全員が幸せになる権利があるとは私も想えません。でも、例えどれだけの人を踏みにじったり、傷つけても、それでもそういう人にも幸せになって欲しいと望んでくれる人がそばにいるくらい良いじゃないですか?せめてそれくらい許されたって……良いと想いませんか?雨花さんに例え幸せになる権利が本当に例えなかったとしても私たちという雨花さんの幸せを願う人たちがいるんですよ。そういう人たちだっているんですから幸せを望んだって、幸せになったって良いんじゃないですか?」
橙と桃時も泣いている。
ずっと黙っていた雨花が口を開く。
雨花「…………ごめんね。泣かせちゃって…………そうだね。わたしは周りから愛されてる……そう……なんだろうね……」
雨花は、少しずつ言葉を発する。
正直に言うと何て言ったら良いのかどうしても分からなかった。雨花には、この二人の想いは……あまりにも途方もない話で言う言葉がみつからなかった。
雨花「……ありがとう。わたしのために泣いてくれて……嬉しいよ……」
雨花はぎこちなく笑う。
橙・桃時「…………」
あぁ 雨花さんには……
あぁ 雨花には……
思わず
笑ってしまうくらい
呆れるくらい
打っても打っても響かないんだ
打っても打っても響かないのね
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「幸せになって欲しいと望んでくれる人がそばにいるくらい良いじゃないですか?」か……
ごめんね。橙ちゃん。桃時ちゃん。
わたしはやっぱり無理なんだ。
自分の幸せを望まれるのも、
望むのと同じくらい、
……辛い。
わたしは人を傷つけ続けてる
もう遅いんだよ 人を傷つけてしまったら
もう何も取り戻せない
その人たちの考え方を変えて
性格を変えて
そんなことをしてしまうんだよ
その人たちの生き方を変えてしまうんだよ
だから人を傷つけてしまったら
もう……もう……
今から言うことは被害者ヅラしてるって分かってる上で……言うこと
もう苦しいよ
もう疲れたんだ
もう全部無かったことに
わたしなんていう存在というものが
あったことも
どの世からも
他人からも
自分からも
あらゆる全てから
消してしまいたい
そんなことができるチャンスが
目の前にあるなら
そのためなら何だってやる
わたしはただもうひたすら
何もみたくない
何もききたくない
何も嗅ぎたくない
何も触りたくない
何も味わいたくない
何も感じたくない
無になりたい
ごめん ごめん
ひたすら謝り続けることしか
わたしにはできない
ごめんなさい ごめんなさい
お願いだから
邪魔しないで
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