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???「じー…………」???「あのさ……」


「「どうしてここに海音ちゃんがいるの?」」


ここは、橙の家。「紫雲雨花」は今、一応静養中である。


橙「流石に、雫さんに仕事任せっきりじゃだめなので、私がいない間は海音さんにあなたを見張ってもらいます。あなたはここから出れないんですから大人しくしてて下さいね?」

雨花「はーi((橙「大人しくしてて下さいね……?」


雨花に圧をかける橙。

何故なら、あれだけの重症を負ってもなお、修行をしようとした雨花をつい最近橙と桃時が力づくで止めたばかりなのだ。その止め方も雨花が自分の傷を顧みず、無茶な動きをして、二人の神通力と妖術をかわしてかわしてかわしまくり、挙句の果てに橙の妖術で強化された桃時の拳で思いっきり殴り飛ばされ制圧された雨花なのだった。


雨花「…………何で海音ちゃんなのかは、言わずもがな分かったから。」

橙「分かってるならよろしいです。では海音さん任せました。実は私今結構急いでいるので!」


橙は、雨花におもゆを作り、海音を雫の家から橙の家に連れてくるという大規模な作業が朝から行われたため、急いでバタついているのだ。


海音「う、うん……?」


何故、海音が選ばれたのか。それは海音には申し訳ないことをしてしまったため、雨花は罪悪感を感じて、強く行動できないのだ。


(このことについて知りたい方は、透明色の彼岸花 第49話を読んで下さると分かって頂けると想います。宣伝すみません!)


海音「とにかく雨花の世話をしなくちゃね!まずは包帯とガーゼを変えなきゃ……えっと……」


海音は怪我の処置をしていく。


雨花「…………」


頑張れ〜


海音「あ、あれ?包帯って切った方が良いのかな?それとも丸々使って良いのかな?」

雨花「…………」


確かにみただけだと、切っても足りそうかもしれないけど、切ったら絶対足りなくなるよ〜

ふふっ……


海音「次はガーゼ……っとその前に薬を塗らなきゃ……薬ってこれかな?塗り薬じゃないけど……ええっと「ニトログリセリン」?変わった名前の薬だな……これを塗って……っと……」

雨花「…………ん?」


※ニトログリセリンとは?

少し反動を与えただけでも爆発するとても危険な有機化合物。爆薬である。

つまり、今雨花に塗ろうとしているのは……


雨花「海音ちゃん海音ちゃん。ちょっと待って。」

海音「あっそうやって逃げ出す気でいるんでしょ?待たないよ。この薬を塗らなきゃいけないんだから。」


がちゃん、と薬品の便がベッドにぶつかる。幸い爆発はしなかった。


雨花「ふぅ……良かった。いやいやていうかなんでそんな劇薬が橙ちゃん家にあるの?!?!」

海音「早くこっちに腕出してよ。」

雨花「いやいやいや待て待て待て。流石にそれはヤバいって……!!ニトログリセリンっていうのはねとんでもない危険薬品なの!!絶対それ神様用の薬じゃないから!!そもそも塗り薬じゃないじゃん!!」

海音「でもこれしか薬ないし……」

雨花「え?嘘でしょ?」


雨花の傷用の塗り薬は、橙が誤って持ち出してしまったのだ。急いでいたため、気づかなかった。ちなみに何故ニトログリセリンが橙の家にあるのか。それは橙が神様の身体の研究として、心臓麻痺に使われるニトログリセリンを買ったのが原因だった。もちろんそんなことは二人は知りもしないが。


雨花「(まずい……このままだと海音ちゃんが「殺神者」になるやもしれん……!いや、ならないけど!わたし神様だし!怪我はするだろうけど……って何で一人でボケとツッコミやってるんだ!!わたしは!!)」


そして、とうとう海音は、ニトログリセリンを雨花に付けた。


雨花「…………!!!!いっったい!!!!」

海音「それほど効いてるってことなんじゃない?もうちょっと塗っとこ。」

雨花「じょ、冗談でしょ?……つぅ……!、痛い痛い痛い!!!!」


もちろん、雨花の怪我は悪化した。


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海音「さてと、そろそろおもゆを食べさせなきゃ。えっとおもゆは冷蔵庫に入ってるんだっけ?」

雨花「……はぁ……はぁ……あぁ痛かった……本当に痛かった……わぁ手足どっちもぱんぱんに腫れてるし。これ人間だったら本当にまずいことになってたなぁ……あはは……」


バゴォーーーーン!!!!


雨花「ん!?なになに!?!?」


音はキッチンの方からだった。


雨花「海音ちゃん!!大丈夫!?!?」

海音「あ!もう寝てなきゃダメでしょ?」

雨花「いや、すんごい音したけど……?本当に大丈夫?……ていうか……!」


「「キッチンが大破してる!?!?」」


そこらじゅう黒焦げになった橙のキッチン。海音自身は一応神様のため怪我などはしていなかったが、キッチンは可哀想なことになっていた。


海音「火力が足りないとって想って炎を出したら爆発しちゃったの……コンロから火が出てるのに何で私の炎は爆発しちゃったんだろう……?不思議なコンロだね。」

雨花「…………」


雨花は、最初は焦ったが少し面白くなってきた。次はどんなことを海音がするのか楽しみになった。


海音「早く部屋に戻って」

雨花「はーい」


雨花が部屋に戻り、数分後、海音が戻ってきた。


海音「じゃあこのおもゆ食べよっか。」

雨花「……ぐふっ……やっぱり……」


「「ダークマターじゃん!!!!」


海音「何をそんなに笑ってるの?」

雨花「ぐっふふふふ……!あはははは!!!!瑠璃くんと同じことしてる!!!!あひゃひゃひゃひゃ…………つぅ……笑うと傷に響く……」

海音「馬鹿なことしてないで早く食べてよ」

雨花「あぁ……はいはい……頂きます!」


シャリッ


雨花「……ぐっぷぷぷぷ…………やっぱり血は争えないねぇ〜あはははは!!!!」

海音「だから何がそんなに面白いの?傷に響くんでしょ?笑うのやめて早く食べて。」

雨花「ほいほい!」


大笑いしながら食べたため腹が二つの意味で痛くなった雨花だった。


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海音「じゃあ次は……」

雨花「あれ?もう橙ちゃんから言われたことは終わったよね?まだ何かあるの?」

海音「うん。私なりに考えてみたの。どうしたら怪我人の人に寄り添えるかなって」

雨花「寄り添える……ぷっ……いやごめん。続けて。」

海音「それで私がして欲しかったことをしてみようと想って!」

雨花「して欲しかったこと?」

海音「うん。それはね……」


「「本の読み聞かせ!!!!」」


雨花「へぇ良いじゃん!海音ちゃんが読み聞かせしてくれるの?」

海音「うん!これをね読み聞かせしようと想って!」


海音が出したのは……


雨花「『真っ赤色の此岸鼻』?」

海音「そう!瑠璃兄が教えてくれたの。あの世で生まれた主人公の男の子がひょんなことからこの世に降りることになって色んな熟女をナンパして奢らせたりして殴られたり熟女を見たりして鼻血を出すの。だから『真っ赤色の此岸鼻』そうやって自分だけのハーレムを作っていく。そして自分のお金を一切出費しないよう守るために頑張るっていう話!」

雨花「へぇ……そうなんだ!なんかその男の子の情操教育とか頭のネジがおかしいと想うけど、面白そうだね!読み聞かせお願いします!」

海音「うん。えっとねぇ……」


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雨花「…………」

海音「どうだった?」

雨花「……ぶっ……」

海音「…………?」

雨花「あひゃひゃひゃひゃ!!!!」

海音「そ、そんなに面白かった?」

雨花「面白すぎでしょ?その主人公この世に降りた理由が熟女に手を出しすぎたからっていう全然ひょんなことじゃないし、それに懲りず熟女ナンパし続けてこの世で「熟女狩り」っ言われるのも面白いし、その熟女の人も周りの人に「イケメンからナンパされちゃった」とか言って自分が奢らされたことに気づいてないのも……また……面白すぎ!!!!」

海音「そんなに面白かったなら良かった。実はこれ雨花に進めたいんだって瑠璃兄に言われたの。だから丁度良かったの。……ふふっ。正直私は面白みがよく分からなかったから雨花が気に入ってくれて嬉しい。」

雨花「これ漫画だよね?絶対続き今度は自分で読もう!」

海音「そのためにも早く元気になってね。雨花。」

雨花「ほいほい!ありがとう!」

海音「…………」





海音「(何でこんな大怪我してるのか橙と桃時に聴いても教えてくれなかった……雨花は今はこんなに笑ってるけど、私が知らない間にこの笑顔が消えてた時が少しでもあるなら……私は……私にできることは……雨花の「今」を支えることだ。それぐらいしか私にはできない……)」





数時間後、橙が帰ってくると、手足が真っ赤に腫れ上がったのにも関わらず大笑いしている雨花と大破したキッチン。そして、雨花の世話を完璧にやったと、どやさぁといった顔で橙に向かった海音がおり、あまりにもキラキラした目で橙を海音がみつめるので、海音に向かって丁寧に雨花の世話の仕方を教えただけで済ました橙であった。もちろん例の薬品は海音の見えないところに隠した。その話を聴くと、「幸せと不幸がどっちも起こった現場ね……」と少し引いているピンク髪に白髪の交じった髪を持つ少女がいたとか。


!!注意!!

これは雨花が神様だから良かったものであって、良い子も悪い子も絶対にニトログリセリンにもし関わることがあっても取り扱い説明書をちゃんと読んでご使用下さい。決して人に付けちゃいけません。絶対に。

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