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ゆゆゆゆ
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シャワーを止めて、タオルで髪を拭きながら外に出る。
まだ少し湿った空気のまま、ドアを開けると——
キッチンから、音がする。
「……?」
エリオットは足を止める。
昨日、触ったままのはずの場所。
そっと覗くと、
チャンスが立っていた。
エプロンもつけずに、
昨日ラップした生地を広げている。
「……何してんの」
思わず声が出る。
チャンスは振り向かないまま、
「見れば分かるだろ」
とだけ返す。
そのまま、生地を伸ばす手を止めない。
エリオットは少しだけ目を細めて、
ゆっくりキッチンに入る。
髪はまだ濡れてて、タオルを肩にかけたまま。
「それ、俺の試作なんだけど」
「だから作ってんだろ」
あっさり。
エリオットは一瞬黙って——
くすっと笑う。
「勝手だなあ」
チャンスは軽く肩をすくめる。
「途中で寝たのはお前だ」
図星。
エリオットは少しだけ視線を逸らす。
「……それは、まあ」
小さく咳払いして、ごまかす。
チャンスの手つきは、意外とちゃんとしてる。
雑に見えて、ちゃんと生地を扱ってる。
エリオットはそれをじっと見て、
「……へえ」
と呟く。
「ちゃんとやるじゃん」
チャンスはちらっとだけ振り向く。
「誰に教わったと思ってる」
その言い方。
エリオットは一瞬だけ言葉に詰まって、
すぐに笑う。
「……あー、はいはい」
軽く流す。
でも、そのまま近づく。
距離が自然と縮まる。
「そこ、もうちょい薄く」
横から手を伸ばして、指で示す。
チャンスの手の上から、軽く触れる。
一瞬だけ。
でも、距離は近い。
さっきまでとは違う、
静かな近さ。
チャンスは何も言わずに、その通りにする。
エリオットは満足そうに頷く。
「うん、いい感じ」
少しだけ笑う。
そのまま、台に軽く寄りかかる。
「……なんかさ」
ぽつりと言う。
「普通に朝っぽいことしてるの、ちょっと変な感じ」
チャンスは生地にトッピングを乗せながら、
「そうか?」
と返す。
エリオットは少し考えてから、
「うん」
と頷く。
「だって昨日さ」
一瞬だけ言葉を止める。
でも、続ける。
「……あんなだったのに」
小さく笑う。
チャンスの手が、ほんの一瞬だけ止まる。
でも、すぐに動く。
「別に変わんねえだろ」
エリオットはその言葉を聞いて、
少しだけ目を細める。
「……そっか」
静かに返す。
それから、少しだけ近づいて——
横から軽く、肩に寄る。
「じゃあさ」
小さく言う。
「このあとも普通?」
チャンスは一瞬だけエリオットを見る。
近い距離。
そのまま少しだけ口元を緩める。
「どうだろうな」
エリオットはくすっと笑う。
「ずる」
昨日と同じ言葉。
でも、今は少しだけ柔らかい。
オーブンにピザを入れる音がして、
部屋に香りが広がる。
エリオットはその匂いを吸い込んで、
「……いい匂い」
と呟く。
チャンスは何も言わない。
でも、少しだけエリオットの方に体を寄せる。
触れるか触れないかの距離。
それが、妙に心地いい。