こんにちはミアです。
最近キャラメルの可能性に気づいてしまった…キャラメル美味しい!キャラメル最高!
個人的には黒糖蜜きなこ味が好きですね。オススメですよ、飴寄りではなく、お菓子寄りのキャラメル。
あ、そういえば殊更難しい漢字やあまり見かけない非常用漢字には読み仮名を振るようにしたので御安心ください。けれどそんなに難しい単語、漢字は使わず9割5分以上義務教育範囲なのでわからないものは殆どないと思います。
※この物語はどこからでも読める一話完結型ではございません。プロローグから順を追って読んでいただかないと意味がわからないと思います。
悪役令嬢が悪行の限りを尽くして何が悪い
【*第1章 ー悪役令嬢が奴隷拾ったら大抵その奴隷実は滅茶苦茶イケメンだよねー*】
〈第4話 私の金はお前の命より重い〉
ジャラリ。
惚けるヴァンデミアの前に、スーパーのレジを出たところにある買った商品を貰ったレジ袋やらエコバッグやらに詰める場所に常備されている肉とか入れる為の最近盗む人が多発して問題になってるあの透明な袋、くらいの革袋が置かれる。
「ほらヴァンデミア今月分のお小遣いだよ。」
暫くボーッと革袋を眺めていたヴァンデミアだったが紳士の声にハッとした様に目に生気が宿る。
「今回もマリッサに渡しておくから、使いたい時には言うんだよ。このお金はヴァンデミアが使いたい時に、好きなだけ使っていいからね。」
紳士はそう言うとヴァンデミアの額に軽くキスをし颯爽と部屋を去っていった。今日は月頭である。毎月この日がお小遣いの日と決まっていたらしい。
(・・・さっきから後ろのメイド若者勢が無駄に色めき立ってるわね…バレてんだよ、筒抜けなんだよ、全部。流石に侍女たちは自身の仕事と立場を弁えているみたいだけれどメイドどものわかりやすさといったら…。ふざけなるな、その人の娘がいるのによくそんなにはしゃげるわね。仕事も碌に出来ないくせに、さっきだって私の髪強めに梳かして痛かったから本当にブチギレてやろうかと思ったし、うっかり仕舞おうとした私のドレスの裾踏んづけてベテランのフォロー入ってたのも知ってんだからね。まぁドレスの件に関してはそのままベテラン勢がクリーニングしてくれたからまだいいけどあなたたち見た感じ全員二十歳越えてんでしょ、自分の後始末くらい自分でやりなさいよ。
っあ゛ー。イライラする。ん?てかおい、おいゴラそこのマリッサとか言うメイド、今見えたわよ、確実に見えちゃったわよ、人の金をこっそりポケットにしまうんじゃない!
え、なんで私こんなに舐められているのかしら。天下の海神玲奈[ワダツミ レイナ](元)が何故こんなに舐められているのかしら。今までの私が驚くほど無能だったということ?この目の前の屑にも舐められるくらいに。
最悪。げに不愉快極まりなし。
まぁいいわ、これまで散々ヴァンデミアの事を莫迦にしてくれたみたいじゃない。私、借りを作るのは嫌いなのよね。しっかり返してあげるわ、お釣りもつけて。)
「ふふ、ねぇマリッサ。今ポケットに入れたものを出してみなさい。」
名を呼ばれたメイドの瞳が一瞬、大きく開かれ瞳孔が広がった。しかしそれも直ぐに戻りヴァンデミアを莫迦にしたような表情を浮かべる。
「お嬢様、それはお嬢様のお願いでも聞き入れることはできかねます。」
(へぇ〜。お願い、ね。表情に、その宥めるような口ぶり。まるで私が我儘を言ってあなたを困らせているかのような言い方ね。ふふ、でももうそんな芝居がかったことなんてしなくていいの。だってあなたは今から顔中の血の気が引くほど困ったことになるんだもの。)
「お願い…何を勘違いしているのかわからけれど、これは命令よ?
さぁ、早くポケットをひっくり返して、中のものを出して見せなさい。」
少しだけ焦ったようにメイドの顔が歪む。しかしまだ阿保の子ヴァンデミア相手なら誤魔化しきれると思っているようだ。
(他のメイドたちは何も言わない…きな臭いわね、若者は端から端まで何処を叩いても埃が出そう。まぁ私がしっかり掃除してあげるから、天気干しまでしっかりやってバンバン叩いてあげるから、今日吊し上げてもらえなかったその他大勢の方々は首を洗って待っていて。ふふふ。あぁ、想像したらワクワクしちゃう。こっちだって前世で伊達に何年も女子勢のトップやってたわけじゃないのよ。その中でも正義を味方につけた吊し上げは私の十八番だったから、メイドのみんなには期待していて欲しいわね。)
「お、お嬢様…使用人にもプライバシーというものが」
「あら、あなたが行った行為を見るにあなたはプライバシーなどよりもお金を優先する方だと思ったのだけれど。私の思い違いだったかしら。けれど、まぁ。あなたがプライバシーを主張するならそれを尊重するわ。」
(ふ、ふふふ。そうあからさまにホッとした顔はするものではないわ。なんかこう、嗜虐心を煽られてゾクゾクしちゃう。あー、悪い癖が。冷静に冷静に。あくまで常識的な、罪に見合った順当な罰を。やりすぎてしまえばいつか私が痛い目を見る羽目になってしまう。)
「でも私の命令を聞けない使用人なんて要らないのよ。」
「そんな!いくらお嬢様でも横暴が過ぎます!」
自分の命令を聞けない使用人は要らない。その言葉に反応したのは後ろで火の粉が飛ばぬよう息を潜めていた使用人の一人だった。
(んー? あぁ、私のドレスを踏んだ莫迦か。)
「黙りなさい。」
「でもっ」
「シュラン!」
一度黙れと言われたにも関わらず異論を申し立てようとするドレス莫迦(シュラン)に痺れを切らしたのか、今まで静かにことの成り行きを見守っていた侍女の中でも、一際落ち着きのあるベテランの一人が制止をかけた。
「申し訳ありませんお嬢様、他の者共々下がらせておきますゆえ。」
「ありがとう。あぁでもあなたたちは残ってちょうだい。」
「かしこまりました。」
ベテランの侍女は簡潔に要件を伝えると音もなくスッと下がっていった。
(今いる者の中で何かあったときにこの場を纏められるのは恐らくベテランのみ。それにしても…やっと顔が白白(シロジロ)としてきたわねお金大好きメイドさん。)
「あなたはプライバシーの権利を守り、我が家は不要な出費を抑えることができる。利害が一致しているじゃない。あ、勿論紹介状だって書いてあげるわよ。」
紹介状、それは使用人を解雇する際次の働き手まで面倒を見てあげるための代物(シロモノ)である。つまりそれを持っていれば高貴な家柄に認められたお墨付きの人材として元雇い主の貴族から紹介されたところへと行くことができるのである。要するに貴族の後ろ盾と確約の内定を同時に取得できるということ、ごく稀だが紹介状目当てで奉公にくる者もいるくらいである。
紹介状の名前が出たことでメイドの顔色が少し戻ったように見えた。
(へー、紹介状で安心しちゃった?可愛いとこあるじゃない。けど私は白すら通り越して真っ青になったマリッサの顔が見たいな。)
天使のような顔で美しく、可憐にヴァンデミアがにっこりと微笑む。それはもう、見た者が天国へ誘われてしまうのではないかと言うほど。
「出しなさい。早く。今正直に言えば少しばかり融通を効かせてあげるわ。それにもし今を逃げおおせても、もう手の内はバレてしまったのだもの。
もしそれを使ったり無くしたりしてみなさい?あなたの心臓…肝臓…腎臓…角膜…髪…全てを売ってもその純金貨には変えられない。せいぜい大金貨くらいかしら。あなたの内臓は汚そうだし。
わかるかしら。その純金貨はね、あなたの命より価値があるのよ。
けれど今ならまだ間に合うわ。」
(少しね!一ミクロくらいは融通を効かせてあげないこともなくもない。)
「っあ。」
メイドの頬に汗が伝う。
「早く。」
チャリン
金属音が異様なほど鮮明に部屋へ響く。
嗚呼、何ということだろう。メイドは認めてしまったのだ、それも爛々と目を光らせた悪魔の目の前で。
もう既にメイドの道は一本に絞られてはいたものの、確かに彼女は自分で自分の命綱を切り落としたのだ。
首を項垂れ、もうすっかり戦意喪失といった風貌のメイドに目もくれずヴァンデミアは指示を出していく。金貨メイドはそのまま何処かへ連行されていった。
「フロエ、紹介状の指示をするから後で侍女長を部屋に呼んでちょうだい。」
「かしこまりました。」
先程場を収めたベテランはフロエというらしい。またも音も予備動作もなく視界から一瞬で消えた。ヴァンデミアもちょっとゾッとしたことは今のところ内緒である。
(ふー。久々にちょっと楽しかったわね。)
部屋には今後のことを考え一人ニマつくお嬢様だけが取り残されていた。
続く
高評価が600いったら嬉しいです。いったら嬉しくて作者が翼をくださいの替え歌を全力で歌います。
♡は何回でも押すことができますし、作者のモチベーションへ直結していますので是非沢山押していってください!コメントも貰えると滅茶苦茶嬉しいのでいいと思ってくださった方、是非コメントしてみてください!
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【次回】
余りの出来事にフロエ(ベテラン侍女)も大慌て?
フロエよりしっかり者の侍女長もバイブレーションYEAH☆状態に!
どうなるヴァンデミア⁈これだけの騒ぎを起こして無事でいられるのかヴァンデミア⁈
次回、「その女神、怜悧狡猾につき」乞うご期待!
コメント
4件
ヴァンデミアはかなりのドSなのかしら…?気が合いそうね。
悪役令嬢みたいな物語がとても好きなのでとても面白かったです!