テレビドラマとかに映る幸せな家族の光景。駅ですれ違う仲良しな親子。
それらを見る度に、私の心に激しい嫉妬の炎が宿る。
どうして私の家があんななのに、この人達は普通なの?
私達と何が違うの?…本当は分かっていた。きっとそっちが当たり前で、私の家族が特別におかしいんだって。
それでも嫉妬するのは、羨ましい気持ちがどこかにあったから。
だって私も、昔はそっち側の世界にいた人間だから――
「あ…パパ。」
玄関のところで実の父親と鉢合わせする。どうやら夜勤明けで、今帰ってきたらしい。
休みの日は部屋に引きこもっているため、パパと会うのは随分久しぶりだ。
思わず声をかけたはいいが、どうしていいか分からずに立ち尽くす。
「なんだ、美里亜か。久しぶりだな。」
「ん…。」
あなたがなかなか顔を出さないから久しぶりに会ってるんだよ?
そんな言葉が胸に浮かんでは消えていく。
同じ家にいるもの同士の会話とは思えない。
「休みか。」
「うん。」
「そうか。しっかり休んで、ご飯も食べろよ。じゃあな。」
張り付いたような薄っぺらい笑顔を浮かべていつもの部屋へと上がっていく。
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