コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
冷たい風が舞い上がり、タクトとミカエルは戦場を後にし、マデスのもとへ向かった。戦いの余波がまだ残る中、二人は神の姿を探し求めた。マデスは、彼のエネルギーが激減したことを示すように、かすかな光を放っていた。
「マデス、どこにいる!」タクトは声を張り上げ、急いで周囲を見回す。ミカエルもその後を追った。
「こっちや、タクト!」マデスのか細い声が響いた。二人はその声を頼りに進むと、遠くの森の中で、マデスが倒れている姿を見つけた。身の回りには、黒い霧が漂い、魔力が弱まっていた。
「マデス!」タクトは駆け寄り、彼の肩を揺さぶる。「大丈夫か?何があったんだ?」
マデスはゆっくりと目を開き、「おお、タクトか……大丈夫や、ちょっと疲れたんや。」彼は笑顔を見せたが、その顔には痛みが浮かんでいた。
「疲れただと?お前がそんな状態でどうやって悪魔を退治するんだ!」タクトは心配そうに眉をひそめた。
「悪魔と戦うのは大変やな。でも、リリスが来る前に、休まなあかんわ。」マデスは力なく笑った。「ほんま、情けない神やな。」
ミカエルは周囲を警戒しながら、「お前の傷は深い。ここを離れた方がいい。リリスが戻ってくるかもしれない。」と告げた。
「そうやな、逃げることが大事や。わしを守ってくれるんやな?」マデスは二人を見つめ、まるで懇願するような目を向けた。
「もちろんだ、俺たちが守る。だが、お前の回復だ!」タクトはマデスを支え、彼を立ち上がらせた。
「わしの力では、もうすぐ戻れる……ただ、少しだけ休ませてほしいんや。」マデスは自分の力を奮い立たせ、気を取り直そうとした。
しかし、その瞬間、森の奥から不気味な音が響き渡った。「リリスが戻ってきたのか……!」タクトは顔をしかめた。
「急いで隠れろ!」ミカエルが指示を出し、三人は急いで近くの木の陰に身を隠した。彼らは息を潜め、音の正体を伺う。
「まずいな。」タクトは小声で呟いた。「リリスが見つけたら、俺たちは全滅するかもしれない。」
「なんとかせなあかん。」マデスはぎりぎりの力を振り絞り、顔を引き締めた。「ここで逃げたら、わしの神としてのプライドが傷つく。行くぞ!」
タクトは驚いた。「マデス、無理するな!」
「わしの命はどうでもええ。だが、あんたらには未来があるんやから。」マデスは決意を持って立ち上がった。「今は、わしの力を信じてくれ!」
彼らは急いで立ち上がり、戦う準備を整えた。リリスの魔力が近づく中、タクトは刀を握りしめ、心の中で燃える闘志を感じていた。彼らの運命は、この瞬間にかかっていた。