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「君が殺したんだろう?」
類は俺にそう言った。
怯えているのだろうか、中々可愛らしい顔をする。
「……ああ、俺が殺した。」
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From.類
ギラギラと太陽が照りつける、真夏の正午。
僕は、恋人の司くんと一緒に公園のベンチで、氷菓を食べていた。
「それにしても、暑いねぇ。」
「まぁ、もう8月だしな。」
何気ない会話、日常。その全てが、愛おしかった。
「今日からショーの練習も夏休みだな。」
「そうだねぇ…2人で、どこか行こうか。」
司くんは可愛い。今だって、手に零した氷菓を一生懸命舐めている。
その様子が、なんとも色っぽくて僕はつい目を逸らしてしまった。
「せっかくの長期休みだし、キャンプとかどうだ?」
「キャンプかい?」
司くんにしては、意外な事を言う。
「僕は構わないけど…君は大丈夫なのかい?」
「ああ。類と一緒なら、どこでも楽しいだろう。」
司くんは恥ずかしい事を言うなぁ…
「…僕も、君と一緒ならどこでもいいよ。」
僕がそう言うと、司くんは笑った。
「じゃあ、決まりだな!」
そうして、僕は司くんと2泊3日でキャンプに行くことになった。
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From.司
マイペースで天才で、いつもかっこいいのが神代類。
こいつと付き合うこときなったのは、1ヶ月前だ。
付き合ってみると、神代類と言うやつは更に面白くて興味が尽かなかった。
俺は、類の事をもっともっと知りたいと思った。
冬弥や彰人に相談すると、それならキャンプがいいと聞いた。
2人は、キャンプがきっかけで仲が深まり、付き合ったらしい。
俺は虫が苦手だが、類とずっといられるなら耐えられる。
早速、類を公園に呼び出した。類は会話しながらも、氷菓に夢中だ。
その姿を見て、俺は可愛いなと思った。
端正な横顔、憂いを帯びた長いまつ毛、潤った唇。その全てが、俺には愛おしい。
「せっかくの長期休みだし、キャンプとかどうだ?」
俺がそう誘うと、類は少し驚いた顔をした。
「キャンプかい?」
「…僕も、君と一緒ならどこでもいいよ。」
頬を赤らめ、上目遣いで類は言った。
やはり、類は可愛らしい。
そして、俺たちは2泊3日でキャンプへ行くことになった。
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From.類
「わぁ、結構人がいるねぇ。」
夏休み真っ只中。当然のようにキャンプ場は、カップルや家族連れなどで賑わっていた。
「やはり、カップルも多いな。」
司くんは悪戯に笑う。
「1日目の予定って、何だっけ?」
「1日目は、川で鮎の掴み取りだな。」
「鮎の掴み取りか…やった事ないし、ワクワクするねぇ。」
「ああ!ここの鮎は美味しいらしいからな。俺も楽しみだ。」
ふふ、司くんは食いしん坊だなぁ…
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From.司
思ったより人が多く驚いた。類はカップルや家族連れを見て、少し羨ましそうにしていた。
類は、寂しかったのだろうか。大丈夫。これからは俺がいる。ずっと、永遠に。
ここのキャンプ場は、1日目の朝に鮎の掴み取り、昼終わりには山菜採り、夜は自由というプランが用意されている。
夜のテントはどこに建てようか…出来るだけ、2人きりになれる場所がいい。歩きながらでも、良さげな場所を探すか…
「隙ありっ!」
「うおっ!?冷たっ!!」
冷たい水が顔にかかり、水が滴り落ちる。
「〜〜!類だなー!!!」
「あはははっ!司くん、ビショビショだね。」
類は子供のように無邪気に笑う。
「司くん、何を考えてるのかは分からないけど…せっかく2人で来たんだし、目一杯楽しもうよ。」
心配してくれたのか。本当に、優しい奴だ。
「うわぁっ!?司くん?!」
「はっはっは!お返しだ!!」
「もう!やったな〜!!」
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From.類
「あ〜あ、服がビショビショだよ。」
「す、少し本気になりすぎたな…」
「ふふ、子供みたいだね。」
「…たまには、こういうのも良いな。」
「俺は幼少期、こんな子供らしい事する暇なんて、無かったから。」
そうだ。彼には病気の妹さんがいた。彼なりに、苦労してきたんだろう。
普段はそんな事を感じさせない司くんが、そんな事言うなんて。
少しは……甘えられているのかな?
「あ、そういえば水遊びに夢中で、鮎の事忘れていたな!」
「あっ!本当だ!」
僕らは顔を見合わせて笑った。
楽しかったから、鮎には悪いけれどもう十分。司くんも、どうやら同じみたいだ。
「取れなかった人でも、本部へ行けば貰えるから貰いに行くか。腹も減ったしな。」
「そうだねぇ。もうお腹ぺこぺこだよ。」
僕らは鮎を焼いて食べた。ただの鮎なのに、司くんと食べるだけでいつもの数倍美味しく感じる。
これが幸せの味なのかな。
こんな日々がずっと続けばいいのに。本気でそう願った。
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コメント
8件
ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙あかまるちゃんは神すぎて神すぎてッッ…!!!うわぁあああああああああああああああ( ;꒳; )
この連載の雰囲気めっちゃ好きです!!!! 神連載ありがとうございます!!(確信)