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「そんなに警戒しないでよー笑」
「……するなって方が無理だろ」
あの後少し話をするだけだからと半強制的に近くのカフェへと連れて来られた。
突然僕の目の前に現れたこの人は_”柊刹那”というらしい。
向かいに座る刹那は、僕の警戒心なんてまるで気にしていないように笑っている。
「まあまあ、そんな怖い顔しないで。今日は特別に奢ってあげるからさ?」
「いや、そういう問題じゃなくて……そもそもなんで僕なんかに?」
僕がそう問い詰めると、刹那は少しだけ目を細めた。まるで、僕の反応を楽しんでいるかのように。
「うーん、理由はそのうち話すよ。でもさ、もうちょっとリラックスしてくれない?」
「……」
納得できるはずがない。でも、この妙に馴れ馴れしい空気を前にすると、それ以上何を言えばいいのか分からなくなってしまう。
刹那は席につくなり、すぐに店員を呼んだ。
「すみませーん、ブレンドコーヒーと……あと、ショートケーキください」
店員がメモを取りながら僕の方を見た。
店員「お客様は?」
僕は何を頼むかメニューを見た。
しかし 刹那がさっと口を開く。
「この人はカフェラテで。ミルク多めでお願いします」
唐突な注文に僕は眉をひそめる。
「……なんでお前が決めてんだよ」
「え?違った?でもカフェラテ好きでしょ?」
「……」
確かにカフェラテはよく飲む。けれど、それを刹那が知っていることに違和感を覚える。
「……なんでそれを?」
刹那は微笑んで、メニューを閉じた。
「さあ、なんでだろ?」
心臓がドクッと音をたて、思わず目を見開く。
「……お前、まさかストーカーとかじゃないよな?」
その言葉を発した瞬間、刹那はくすっと笑い、あえて手を広げる。
「いやいや、そんなわけないでしょ!ただちょっと気になるだけ」
「気になるって、どういう意味だよ」
刹那は悪戯っぽく肩をすくめた。
「だって、君のこと、面白そうだと思ったんだもん」
その言葉に僕はさらに警戒心を強める。心の中で疑念が深まる一方で、刹那がまったく気にしていない様子に少し不安を感じていた。
「……なんで、そんなことを?」
刹那は軽くため息をつき、少し顔をしかめる。
「うーん、だってさ。君、すごくつまんなさそうに見えるし、でも話してみたらなんか面白いかもって思ったんだよね」
僕はその言葉をどう受け取ればいいのか分からなかった。
「……つまんなさそうって」
「うん。でも、そういうのって意外と面白かったりするじゃん?」
その言葉に、僕は一瞬黙り込む。だが、刹那の目には何か嘘をついているような気配は感じられなかった。
「……ま、勝手にしてくれ」
少し気恥ずかしくなり目をそらしながら答えるが、刹那はそんな反応にお構いなしに、満面の笑みでカフェラテを受け取った。