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あてんしょん
毒素メイン
完全なるネタ シリアス皆無
かっこいい毒素はいません
全体的に口が悪い
それでもいい方はどうぞ
tn「えー、今からgrの罪の審査を始めます」
ついさっき、俺、gr・フューラーは死んだ。
普通に交通事故である。
迷子っぽかった子供に声を掛けたらそのまま泣き叫ばれながら突き飛ばされて車に轢かれたということだ。
子どもの力強くね?
ていうか突き飛ばすほど俺が怖かったか?
これは俺を轢いたトラックの運転手もかわいそうである。変な罪を着せられないといいが…。
だがしかし。
あの世の入り口にいる俺はそれどころではなかった。
おかしい。
なぜ同僚のtnが死者の生前の罪を裁いているのか。
目の前で天秤を持ちこちらを睨む審査官は、紛れもないtnである。
顔だけでなく声も、背格好も。
アイツも死んだ?
いや、だったら逆にアイツは裁かれる側になるはずだ。
gr「何でだよぉ…」
tn「死者が勝手に喋んな。今から審査する言うとるやろ」
この厳しさもやはりtnそのまま。
tn「この審査でお前が天国に行くか地獄に行くかが決まるんやけど」
うん?、待てよ? 転生という選択肢は?
gr「あのー…、死者契約書の中には転生という選択肢があったはずなんですけどぉ…」
死者契約書とはさっき配られた死者とそれを裁く審査官との基本ルール的なのを示したものである。
そこには確かに、死者は天国、地獄、転生の3つの道のいずれかに行く、と書いてあった。
できることなら俺は転生してもう一度野望を叶えたい。ていうかあんなくだらない死に方で魂を終えるのが嫌だ。恥ずい。
tn「はァ?、お前にそんな選択肢あるわけないやろ」
gr「何でや!?」
tn「まあそのわけは後で説明するから」
話を上手いこと流されてそのまま審査が始まった。
生前の行いの善悪を、審査官たちが多数決で判決を下す。ありとあらゆる行為が審査の対象となるから死ぬほど時間がかかる。
悪いと判断された行いが全体の8割を超えると地獄行き。5割を下回ると天国へ。
そして…
いずれでもない場合は転生。
でも、俺にはその選択肢がない。
だから俺は、この審査で魂の在り処を失った。
tn「悪が7割弱、か…。普通なら転生やけどな」
転生できず、天国にも地獄にも行けない魂はどうなるのか。
gr「なんで…、転生の選択肢が俺にはないんですか」
tn「それが神のご意向やからや」
gr「俺はこれからどうなる?」
tn「どうなるもこうなるも…、魂が尽きるだけ」
gr「二度と生まれ変われないってことか?」
tn「まあそうなるな。お前という魂は二度と世界に現れない」
酷いもんだ。何で勝手にこういうことが決まってしまったのだろうか。神のご意向とやらが事態をこんなことにしてしまったようだが、今すぐにでもその神ってやつをシベリア送りにしたい。
gr「さすがに承知できひん!」
tn「一応転生ルートもあるけど」
gr「すぐさまそれにしやがれ」
tn「お前の選択肢はコウガイビルかゴ◯ブリかカメムシだぞ」
gr「うわあキモイ奴のバラエティパック」
tn「まあ一番マシなのはカメムシだよな。夏になったら大量発生できるで」
gr「想像するだけで吐き気を催したんでストップしてクレメンス」
tn「じゃあゴキ…」
gr「これ以上言わせねえかんな?」
前世となんら変わらないようなやりとりを繰り広げ、一段落したところでtnが静かに口を開いた。
tn「神様はな、そんな選択肢しかないお前のために、わざと転生の選択肢をなくしたと嘘をついてお前が悲しまないようにしてくれたんやで」
gr「ふーん…」
いや、納得できませんけど!?
まず転生の選択肢がバカだし、魂の永久放棄などもっと嫌だ。
俺はまだゲームでしか銀河を征服していないのに。
何の罪を犯したらこんなに惨めな選択肢しか残らないのか。
tn「さあお前はどうする」
gr「お前さてはこの状況楽しんでるな?」
tn「もちろんやん。ここ数百年審査官やってて、これほどまでに転生の選択肢が酷いやつは見たことあらへんもんw」
あー、クッソ散々煽りやがって…。
ずっと疑問なのだが、このtnの姿をした審査官は、tnなのだろうか…。
俺との関わり方が明らかに彼のそれなのだが、それにしても奇妙である。
コウガイビルに生まれ変わったところで排水口からこんにちはするしか楽しみはないし、カメムシとかゴキ(検閲済)は丸めた新聞紙かなんかで叩き潰されるか殺虫剤でワンパンかだろう。
絶望。
マジでさぁ、死に方もカッコ悪いし。
後悔しか残らない。
tn「まぁ、此処での時間はたっぷりあるんや」
俺の苦悩などどこ吹く風とでもいうようにtnの姿をした天使は笑う。
tn「何百年でも悩んでもろて。もしかしたら途中で置き去りにしてきたお仲間と出会えるかもな」
gr「なんだと〜!」
もし魂に拳があったら彼の頭を軽くグリグリしたかった。仕方なくふよふよと彼の頭の横に漂うことにした。
gr「どうせ悩んでる間暇なんだ。お前の業務少しは手伝ってやるよ」
tn「てつだ…、え?」
gr「多分やけど、お前徹夜に徹夜重ねて仕事に追われてるんだろ?」
tn「何で知ってんねん…」
gr「はは、俺の前世にそういう奴がいたんだよ。お前と瓜二つなやつがな」
tn「そうか…、ほな頼むわ」
死んだ先で相棒と巡り合い、永遠とも言える時を共に過ごす。
これほど幸せなことがあっただろうか?