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〜如月風香side〜
久々の学年委員の集まりに緊張している自分がいる。
(大丈夫、今日は臨時だから先生はいない。)
そう言い聞かせて、学年室の扉を開ける。
「風香ー!久しぶりー!」
元気な声をあげながら飛びついてきた翠ちゃんを受け止め、みんなに挨拶をする。
「如月さん、急に呼び出しちゃってごめん。仕事が溜まってて、今日中に片付けたかったんだ。」
「こっちこそ、長い間休んじゃってごめんね。」
席について資料に目を通していると、暁くんが面倒くさそうに呟く。
「如月、”先生推し”続けんの?」
それは翠ちゃんと東雲くんにとって予想外の一言だったらしく、二人してこちらを振り向く。
「え、風香、やめるの?」
「何かあったの……?」
私はそれよりも、なぜ昨日の決意を暁くんが知っているのかの方に驚いた。
「暁くん、どこで知ったの?」
「だから、最強ストーカー舐めんなって。」
聞きたいことはたくさんあったが、問い詰めるのはやめることにした。
「そうだね、ちょっと考えが変わったんだ。少し聞いてくれる?」
過去のいじめや先生のトラウマを、こんなにもスラスラと話せたのは初めてだった。
自分の心の中の比重が、少し変わったのかもしれなかった。
「胸糞わるいね。あたし、そいつら踏み潰してやりたい。」
「それって、学校としての責任を果たして無いんじゃ……。」
「教育委員会に訴えたらそれなりの結果になるんじゃね?」
自分とは無関係でも、いじめに自分の考えをしっかり示してくれるみんな。
私に味方がいてくれることが、とても心強かった。
「私ね、やっぱり先生全員好きではいられないみたい。どうしてもあの時のことは許せないし、今も教師っていう人種が怖いんだ。でも、私は人と関わることを諦めたくないの。」
心持ちを変えたところで、明日からすぐに人や先生と関わることが怖くなくなるわけではない。
そんなことは分かっている。
だけど、私は人と関わることを諦めたくないんだ。
人のことを好きであれる自分のことを、好きでいつづけたいんだ。
私は凪いだ心のまま、高らかに宣言した。
「私、”人間推し”になる。人と関わることをずっと好きでいたいんだ。」
決意を語った彼女が光だとするのなら、影がうまれてしまうのは当然である。
そこには、重々しい表情を隠すように俯く、遥斗がいた。
※キャラ紹介の章、更新しました。