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#ファンタジー
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#ファンタジー
オルトゥスは天使種族のシャロンを加え、本格的に街として開発を進めることになった。シャロンには記憶を頼りに他の街の上空図も作成してもらい、ドワーフたちと話を詰めていく。
ジジはベルデに、ゼゼは昔住んでいた集落に行っているため、顔ぶれは少し欠けていたが――……そんな中、まずはゼゼが戻ってきた。
「おや、リディア姐さん。ただいま戻りました。……そちらの娘さんは、新顔ですか?」
「ゼゼさん、お帰りなさい。この子は先日来てくれた、シャロンです。上空図を描いてもらったので、今後の開発計画を考えていたんです」
「ほうほう。オルトゥスの上空図と……あとは、他の街もあるんですね。なるほど、こいつは大したもんだ」
「はじめまして、ゼゼさん。今後、お世話になりますわ」
「ああ。何か必要な道具があれば、ワシに言ってくれな」
そう言うゼゼの横には、台車のようなものが置いてあった。
「その台車、持っていったんですか? 特に何も乗っていませんけど……」
「がっはっはっ。これはワシの新作の……試作品なんだが、乗り物なんですよ」
「へぇ……? 三輪ですし、バランスは良さそうですね?」
「尻が痛くなるので、リディア姐さんには勧められませんがね。あとは、動力でまだまだ問題が……」
「でも、実用化すればとても便利そうですね。さすがゼゼさん!」
ゼゼはリディアの言葉に、わかりやすく照れていた。しかしそこに、ズズが声を掛けてくる。
「それで、故郷の方はどうだった? 誰か来てくれるのか?」
「ああ。ズズ兄さんの友達の甥の義兄と、その知り合いが来てくれるとさ」
「ほう……! ……どんなやつだっけ?」
友達の甥の義兄――となれば、これはもう赤の他人だ。ドワーフの集落はそれなりの規模があるそうだから、その関係性だけで特定するのは難しいだろう。
「あと、ゾゾのやつはまだ戻って来てないらしいな。だから、戻ったらここへ来るように、伝言を残してきたんだ」
「あいつは誰にも連絡を寄越さないからな……。まぁ、期待せずに待っているか」
「……というわけで、リディア姐さん。そのうちまた5人ほどくるから、家を頼みますね!」
「……それを頼むのって、むしろ私の方だと思うんですけど……」
リディアの返事に、ゼゼは一本取られたような顔を見せた。実際、家を建てているのはドワーフたちなのだ。近況をそれぞれ伝えたあと、話は開発計画に戻っていった。
リディアが住んでいる丸太小屋の一帯は、ひとまずは何もせずに空けておく。そこを中心に大きな道を作り、北西、北東、南東、南西の4つの区画に分けていく。さらにそれぞれ、内周と外周で区画を区切っていく。全ての区画を同時に開発するのは難しいため、まずは南東の区画から開発を行う――と、そんな形で話が詰められていった。
「最初に建てた、ドワーフのみなさんの家は……南東の外周に当たります。ですので、ここを拡張していく形ですね」
「がっはっはっ。この辺りはワシらの庭みたいなものですからね。今までやっていた作業の延長だから、気楽なものですよ」
「ただ、ワシが呼んだ5人も増えますからね。家を早く建てないと」
「あとは先日、リディア姐さんから集合住宅の話をもらっていましたね。ドワーフの人数が増えたら――と考えていましたが、結局は今のうちから着手しないと……?」
……何かが解決する前に、新しい問題が出てきてしまう。オルトゥスの開発状況は、常に人手が足りない状態だ。
「そうなんですよね……。そのうちベルデから採掘班が戻ってきますが……今は、集合住宅の方を優先して取り掛かってもらえませんか?」
「ぬぅ……。リディア姐さんの頼みですが、ワシらの鍛冶パッションは止められないですなぁ……ッ!!」
「そうですか……。希少なお酒をご用意しようと思ったのですが、それでは無理そうですね……」
「……酒?」
「はい。いつもお渡ししているものより、2階級ほど上のものが……。ああ、でもこれはあくまでも報酬ですから――」
「やります」
ズズの言葉に、ドワーフの一同も頷いた。実は全員、鍛冶自体は裏でやっているのだ。新しい鉱石を使って別のものを――という機会は後ろ倒しになってしまうが、いつも飲んでいる以上の酒……という報酬は魅力的だった。
「いいんですか?」
「ただし、ワシらも人数がカツカツですからね。増員を求めますよ!!」
「増員といっても、建築作業をできそうな人なんて――……デュランでもいいですか? 今、シオンと外に出ていますけど」
「他は女子ばかりですからね……。仕方ありますまい!」
「あと、掃除や片付けはキングもできるので、一緒に派遣しますね」
「ああ、アイツは頼りになりそうですね。是非、お願いします!」
その後、諸々の話が付いたため、リディアとシャロンは丸太小屋に戻った。目先でやることは今までの延長のような形だが――未来のことを話せた分、リディアの心配は少しだけ軽くなっていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
夕方、リディアは丸太小屋の外で景色を眺めていた。開拓を始めたばかりとはいえ、それなりに人数も増えて、問題もいろいろと積み重なってきた。心地よくもある反面、このままで良いのかという考えも頭をもたげる。
丸太小屋の中では、アルマとキング、シャロンが夕食の準備をしている。ヘルミナが戻ってきたら、一緒に食事をとって――
「……ふむ。お嬢さん、夕涼みかな?」
不意に聞こえた男性の声。急いで振り返ると、そこにはスラリとした老人が立っていた。灰を思わせる色の髪に、鋭い眼光。あまり見かけない着物をまとい、そこから覗かせる肌には鱗のようなものが見える。そして何より――
……気配が、まるでしなかった。
「はじめまして。私はこの土地の主、リディアと申します。あなたは?」
「我は火蜥蜴族のレンザンと申す者。……そうか、お嬢さんがここの主か」
よくよく見れば、重そうな杖を1本、突いている。手元の方に微かな切れ込みが見える――おそらくは仕込み刀の一種だろう。
「……オルトゥス、と名付けたんです。残念ながら、宿泊施設のようなものは無いのですが」
「はははっ。こう見えて、我はいろいろ旅をしておるのでな。野営は慣れたものよ」
「そうなんですね。ちなみに、どちらからいらっしゃったんです?」
「生憎と、東の方からだよ」
生憎と――……という意味は分からなかったが、人間の国から来たわけでは無いようだ。そうであるなら、シオンやデュラン、ドワーフたちとはすれ違いもしなかっただろう。……それを考えると、リディアは一旦、安心した。
「――さて、お嬢さん。お主に聞きたいことがある」
レンザンは真っすぐな姿勢のまま、リディアに言葉を投げた。
「何でしょう……?」
「この辺りで、良い土はないかな?」
「……は?」
突然の言葉に、リディアの言葉は詰まった。『土』……と言われても、それが何を指すのか分からない。
「えぇっと……。畑でもしたいんですか?」
「おうおう、確かにここらの畑は見事なものだ。素人くさいところはあるが、目を掛けているのは分かるでな」
それは日頃、スケルトンたちと農作業に明け暮れるデュランの成果だった。彼は基本的に、全てのことにおいて真面目なのだ。
「……畑の話ではないようですね? それなら一体?」
「我は陶器を焼くのだよ。良い土を求めてな、ずっと旅をしておるのだ」
「あぁ……、陶芸家の方でしたか」
「はっはっはっ。落ち着くといい、お嬢さん。我の気に当てられたのだろう? 残念ながら、既に剣聖は引退しておるよ」
そう言うと、レンザンは自身の右腕を見せた。そこには大きな古傷が、時間を感じさせるように残されている。
「あはは……。レンザンさんも、お人が悪い。あんな登場をされたら、誰でも警戒しますよ?」
「なぁに、いつもならあんな真似はせんよ。ただ、この場所はずっと結界が張られていただろう? それで、我も念を入れて……な」
「ということは、人間の国に向かうおつもりですか?」
「いや……。ここの土地に力を感じるのだ。しばらくここで、陶器を作ってみようと思うんだよ。だから、少し世話になってもいいかな?」
リディアにとって、思い掛けない提案だった。そういえば、陶器の類はまるで頭になかった。木製の食器は作れるとはいえ、陶器の生産ができれば便利だし――
「……ここでは、みんなで自給自足の生活をしているんです。レンザンさんにも働いてもらうことになりますが、それでも良いですか?」
「ああ、構わないよ。ただ、陶器を焼く窯は、作るのを手伝ってくれないかな?」
「承知しました。人手がカツカツなんですが、何とかしましょう……」
「大変なときに、すまないな。代わりに、我でできることがあれば、他にも手伝おう」
レンザンの言葉に、リディアは少しだけ考えたが――そういえば、ひとつ空いている仕事を思い出した。
「それでしたら、診療所の先生をやってもらえますか? 旅をしてきたなら、怪我の治療にも詳しいでしょうし」
「はっはっはっ。これは突然の話だ。……まぁ良かろう。年の功も、しっかり重ねてきたからな」
突然の来訪ではあったが、リディアは問題をひとつ解決することができた。ただ、それは良かったのだが――……レンザンは、圧が強い。他の住人と馴染むことはできるのだろうか。リディアは少しだけ、そんなことが心配になってしまった。
コメント
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おおお新キャラ・レンザンおじいちゃん来たー!!🔥 鋭い眼光に鱗のある肌、しかも元剣聖って…かっこよすぎん??😭💕 陶芸と診療所の両方を担ってくれるって、もうオルトゥスに欠かせない人材じゃん! リディアが人手不足に悩みつつも前向きに解決してく感じ、じわじわ好きだな〜。シャロンも加わってますます発展が楽しみだよ✨