※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
「藤丸、生まれてきてくれてありがとう」
〈File30:心の背骨〉
父子に見送られ、彼女とその場を後にした。
別れ際、藤丸に内緒話のようにこんなことを言われた。
「お兄ちゃんも脈があると思うからがんばって」
「え、本当に?」
つい本気の声音で問い返してしまい、少しバツが悪く口を噤む。
藤丸は涙の痕の残る顔いっぱいに笑みを浮かべ、ちらりと彼女に視線を流した。
視線の糸を辿ると、首を傾げてこちらを見ている彼女と目が合う。
「でもアブミ骨はないと思う」
その言葉は聞き流した。
ともかく、藤丸にそんなようなことを言われて、エレベーター内で彼女の気配が格別気にかかって仕方がない。
なんてことない沈黙にせっつかれ、取り繕うように「良かったな」と言った。
「親子を会わせ*****************************
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