※この物語はフィクションです。
実在の人物及び団体、事件などとは一切関係ありません。
〈File31:うつろう人々〉
「だから俺は君の背骨に棲みたいんだよ、佐伯カグヤ」
俺の言葉を受け止めきれない彼女の眼差しが揺らぐ。
瞳は人の心を映す鏡のようだ。
「わたしは……」
痛ましいほど揺れているのは彼女の心だ。
ナイフを持った相手に勇ましく向かっていく彼女が、見知らぬ土地で親の手を放してしまった子供のように頼りない顔をする。
彼女の中に根付く俺という存在は思ったより大きかった。
それで満足だ。
「応えなくていい」
今は、という言葉は省略する。
「その代わり、大人しくしていてくれ」
そう言い添え、彼女の腕を引いた。
気が抜けていたのだろう。
彼女はあっけなく俺の意に沿って動いてくれた。
「なに、え、ちょっと!?」
彼女が我に返った時には、すっかり俺に背********************
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