そりゃ色々考えたわよ。再構築だなんて生理的に無理だけども……きっと謙太さん、魔が差しただけ。前みたいにアプリ使って彼の性欲のコントロールするようなことなんてしちゃだめだ、しちゃったから鷲見さんに……。
でも私だってそんなにセックスはしたくないけど。
……そんなこんなで私は今夜も彼に抱かれて思うのであった。
今度こそうまくいくのだろうか。夢の夢のように。
ん? あー……てことはまた会社で人員確保しなきゃ。大城さんは絶対よね。
しまった。あのドラマ見るの忘れちゃった。
そしてやはり朝はまたやってくる。夢のまた夢。私も過去をやり直しているのね。それはそれで大変だわ。やってられないけどハッピーエンドの為に!
朝起きると隣にはいびきをかいて寝ている謙太がいた。前のときは二人して朝活! 健康! とかやってたけど、今度はどうなんだろう。
もし彼の死因が健康によるものでふらっと貧血を起こしてホームに落ちた……だったら朝活してもいいけど、それが苦痛で睡眠不足で倒れてホームに転落も考えられる。
でも健康であることが一番だし、一緒に朝活をしていた時は彼の身体もスリムになってよかったと思うんだけどなぁ。
彼が起きたらってことにしようか。私は眠いけど体を起こして朝のストレッチを始めることにした。
出社すると山田課長が私を見つけるなりすたすたとやってくる。これも同じである。
「おはよう。サギモリの話は聞いているか」
「おはようございます。ええ聞いてます」
ここはショートカット。めんどくさいもの。
「なら話が早い。なんか次期のデザインが駄々洩れしているらしいんだ。それで上層部の人達がさらにシステムのセキュリティを早急に上げろと」
ここからだわ。忙しくなるの。これも一緒。
わたしがここでリーダーにされてしまうのよね。少人数でなんとかしろって。
「んで、白沢さん……」
と山田課長が言おうとしてることはわかっている。
「な、なんだ?」
190㎝超えの山田課長を見上げ、強い口調で言う。
「わたしリーダーにしてこれから少人数で仕切ろう、という考えですよね?」
「なんか今日は話が早いなぁ。君しか頼れないんだヨォ」
おっと。話が長くなる前に。
「リーダーに選任していただいたことはありがたいのですが人員が少なすぎる。私が今から交渉してきます。大城さんは以前すぐ動けるかと思います」
まだこの時点では大城さんには聞いてはいないけど。
「そのぉー派遣の子は契約とかあるだろ」
「それは後でどうにかなるんで。私、集めてきます!」
「わかったよ、頼んだ」
そして一時間後。フロアに集まった女子社員たちを見て山田課長はびっくりしていた。
「どうやって集めたんだ?」
前の段階で集まった人たちに片っ端から声をかけた。大城さんは即オッケー。他の数人の派遣の子はあとで私が派遣会社に連絡するからとちょいと仕事が増えたけど半ば強制に集め、育児中の社員たちにも
まだまだ解明されない謙太の死。それだけでも確認したい。
繰り返しを起こしているのであればまた何かで私が死ねばやり直せる……んだよね?
一度謙太はなぜ死んだかを確認して……いや、そこを止めなくては。誰かに押されたのか、人の波に飲み込まれて押されたか、思い詰めて死んだのか。
誰かに押されたって彼は誰かに恨まれている? その相手って誰? 優しい人、でも裏で鷲見と密会しているしお金を使っていたから本当の顔は……。
でも本当に謙太は良い人なんだから。
良い人だから鷲見さんにも良い顔するんだから。で、そこからホイホイ彼女の策に溺れてしまうのよ。
「どうしました?」
「えっ……あ、うん……」
大城さんの胸ポケットにはあのドラマのキャラクターのキーホルダー。
そうだ。少し先に課長と共通の話題が見つかってそっから人が集まって……かなりのショートカットになったわ。
「大城さん、そのマスコット」
わたしはわざと大きな声を出す。集まった社員の中にも見ているのはいるのよね。課長も見ていた。
「はい、ドラマの」
「お、それ。娘と一緒に見とるわ」
そうそう……山田課長食いついたー。他の社員も群がる。
「D-ay2の守尾くんが出てるから?」
「よーわかったな……」
ふとわたしは大城さんの顔を見ると少し頬が赤くなっていた。
「目の付け所がいいですね、山田課長」
「いやいや、娘がなそのでーず? のモリモリが好きだって。見させられて」
「人気なんですよ、脇役だけど」
「どれもこれも似たような顔だな」
ここでも話のラリーが続く。
なんかこの二人、接点が分かってなかっただけで馬が合うんじゃ?
前の時は自分のことで精一杯で二人のこと特に何も追ってはいなかったけど気になる。
それよりも謙太もわたしも死なないルートを探さなければ!
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