テラーノベル
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青井家の外観の灯りが全て消えると、路上で 踵を返し去って行く 何者かの影があった。
緑は、2日前に藤川から受け取った調査報告書を机の上に置いた。
【青井 瀬里香の生育歴】
無造作に パラリと捲ったページには、瀬里香の最終学歴が記載されていた。
・明光女子大学 文学部卒
…世間的にいうところの、お嬢さん大学か。
【 青井家の1人娘 瀬里香の生育歴は両親の愛情を一身に受けて育ち、何不自由なく暮らし、大学卒業後はメディカルクラークの称号を得て、父が開業する青井クリニックを手伝い 現在に至る。】
緑は報告書を閉じた。
この女は、私とは違う。
父を亡くし、体の弱い母には 生活のためとはいえ、昼夜問わず働かせ続けてしまうわけにもいかず、高校を卒業してすぐに看護学校に通い始め ずっと ずっと、働き続けてきた私とは…
そんなことで、この人を羨むのは間違っている。
陸斗の奥さんには 何の罪もない。
わかってる。 わかってるけど…
緑は机の上に突っ伏した。
何で この女ひとなの?
もう、充分幸せだったじゃない。
陸斗がいなくても。
なぜ 平等じゃないの?
私にだって、幸せになる権利はある。
緑は青白い顔を上げ、唇を噛みしめた。
陸斗は、野心でこの女と一緒になったの?
私を初めて抱いた時 陸斗は、出会った時にこの女から言い寄ってきて そこからずっとつきまとわれてたって言ってた。
野心があったのは、この女?
わからない!
でも 何れにしろ、陸斗が本当に好きなのは この私。
それは真実ほんとうだ。
好きな人と結ばれるのが結婚じゃないの?
だとしたら、私が妻になっても‥
陸斗を奪っても‥
緑は、ふと頭の中に過った考えを撤回する様に首を振った。
緑はもう一度調査報告書を開き、ページを捲った。
#狂愛
柏木さくら
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臣桜
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90
あっ‥
書類の最後のほうに、
【香坂 陸斗の生育歴】と記載されているのに気付いた。
緑はその先を読み進めた。
コメント
1件
えっと…第32話、読み終わりました。緑さんの内面の掘り下げ方がすごく丁寧で、胸が締め付けられるようでした。「私とは違う」って自覚しながらも、どうしても比べてしまう気持ち、すごくリアルに伝わってきました。それにしても、調査報告書に陸斗さんの生育歴まで載ってたっていうオチには「おっ」となりました。これは次が気になる…!