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ちょい長いです。
他の実況者(VTuber)様の名前が出ます
結構長編の物語になりそうなので温かく
見守ってくださると幸いです。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
月の光すら届かない地下の廃ビルコンクリートのひび割れと
金属の軋む音だけが場を支配していた
ドアが軋む音とともに開き1人足を
踏み入れる
ー
暇72、……久しぶり
ー
そこにいたのは
かつての仲間である
キルシュトルテと弐十
弐十が軽く口角を上げて
壁にもたれながら言う
ー
弐十、最近、暇なつくん頑張ってるよね
……シクフォニのこさめくんだっけ?
動き見てたよ
暇72、……、ッ
弍十、だいぶ踊らされてるように見えた
けどまあ……らしくて良かったよ
キルシュトルテ、“あぁ〜、噂ね
シクフォニに接触してる毛先赤いやつが
いる─ってな まさかお前とは
暇72、……まぁな、
キルシュトルテ、お前、…
自分が“何者”かわかってんのか?
ここの軍に所属してるってだけで
都市伝説みたいな連中から睨まれて
どれだけの人間が命狙われたと思ってる
暇72、ッ、、
キルシュトルテ、それでも今、敵の中に
踏み込むって、何考えてんの?
暇72、それでも俺がやるって決めたから
…力に甘えるつもりも調子に乗るつもりも
ない、それはわかってるから
キルシュトルテ、……勝手にしろ でも
“喰われんなよ”あいつらはお前みたいな
やつを容赦なく壊す
弍十、壊されそうになるのも暇なつくん
らしいけどね まぁ死ぬときは派手にね
ー
なつはその言葉には何も返さなかった
ただ、振り返らずに踵を返す
鉄の扉が、また音を立てて閉まった
静けさの中キルシュトルテがぼそりと呟いた
ー
キルシュトルテ、…あいつ目つき
変わったな
弍十、いくら止めようからって流石に
強く 当たりすぎ
キルシュトルテ、こうでも言わないと
あいつ 危ないだろ
弍十、…それもそうだけどさ
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐
人気のない地下道
ネオンの残り香だけが、壁を揺らしていた
こさめは小さな紙袋を手に
持って歩いていた
パフェの入ったテイクアウト袋
すっちーが甘いもの欲しがってたから
帰りに買っていくところ
そのとき─
ー
暇72、……また会いましたね
こさめ、偶然だね
そんなにこさめのこと 好きなの?
暇72、好きかどうかはまだ判断中です
…けど、もっと知りたくなったのは事実
こさめ、ふぅん
前に会った方向音痴とか言ってたよね
暇72、まぁ…はい
こさめ、じゃあなんで……こさめの帰り道
知ってたの?
暇72、……知ってたから、来ました
こさめ、理由になってないけど…?
最初からずっと狙ってたってこと
こさめは最初から気づいてたよ?
暇72、ッ、(やっぱりバレてたか)
こさめ、じゃあ聞くけどこさめを殺す?
それとも──まだ躊躇ってる?
暇72、……少し、見極めたい、
まだ“殺す理由”が決まりきってないから
こさめ、ふ〜ん、面白いこと言うね
ー
こさめは、笑った
どこかで誰かが見たらそれはただの
無邪気な笑顔だったかもしれない
でもなつにはわかっていた
それは、“殺し屋”の微笑みだった
ー
こさめ、もう1回くらい遊びに
来てもいいよ
でも──それが最後かもね
暇72、(次が最後、、)
ー
紙袋を軽く揺らしてこさめはそのまま歩き
去っていった
残されたなつは息をひとつ吸い込む
心のどこかでまだ“殺せない理由”を
探している自分になつは気づいていた
ー
こさめ、ねえ、言ったよね?“最後”だって──だから、もう逃がさない
ねえ、何安心してるの?
暇72、ッ!
こさめ、言ったじゃん 最後だって
暇72、ッ…… な、なんで……
ー
体を動かそうとする暇72に
こさめが耳元で囁く
ー
こさめ、実はらんくんから事情は
聞いてて… って言っても“LAN”って人も
知らないか なつ?って人が君に条件
ぴったり一致して
暇72、(LAN……?てか、俺の名前までッ)
チッ いいから離せッ!
こさめ、………次暴れでもしたら首を切る
そうされたくなかったら─ついてこい
暇72、ッ、、(……完全にやられた)
ー
人気のない道
最初から、こさめが選んでいた
引き寄せて 動きを確認し 弱点を掴み
捕らえるために
すちから仕入れた軍団の情報
そしているまの“過去の大切な人”だったかもしれないという未確定の情報
ーー
こさめ、ストーカー野郎がなつ?って人
LAN、その可能性があるから捕まえてこい
こさめ、…、わかりました
ーー
こさめに下されたのはそういう任務だった
捕獲ではなく、確保と調査のための“誘拐”
こさめなら一番上手くやれると信じられて
いたからこそ
ーー
こさめ、次あった時必ず問い詰めて
捕まえる
ーー
振り返りもせずこさめはそのまま
ビルの狭間へと消えていく
その背を見ながらなつは無言のまま
拳を強く握った
ー
暇72、(俺は……なにを“見落とした”んだ)