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ハル__。
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※ファンタジー
※異能力者
戦場は、一瞬にして美しくも残酷な銀世界へと作り変えられていた。
タクヤが解き放った異能、【❄️(全方位氷晶)】。
無数の鋭利な氷柱が大地から突き出し、敵軍の進攻を完全に停止させる。彼の防御数値『3500』が作り出す絶対零度の障壁は、本来、何者も寄せ付けぬ難攻不落の城塞であった。
だが、広範囲への魔力展開は、タクヤが誇る鋭い『感知』を、刹那の間だけ鈍らせた。
「……ッ、後ろか!」
気づいた時には、タクヤの死角──背後から、超高速の影が肉薄していた。
回避は間に合わない。凄まじい衝撃がタクヤの背を打ち、彼の身体は凍てついた地面へと激しく叩きつけられた。
「あ……が、っ……!」
敵の追撃が、タクヤの右足を深く、無慈悲に切り裂く。
防御特化の彼が流す鮮血が、白銀の雪を鮮やかに、そして禍々しく赤く汚していった。
「……タクヤ?」
少し離れた場所で、嵐のような猛攻で敵を殲滅していたリョウガが、その悲鳴に弾かれたように振り返る。
地面に伏し、苦痛に顔を歪めるタクヤの姿が視界に入った瞬間。
リョウガの脳内で、何かが決定的に、音を立てて断絶した。
「……ああ、そうか。お前ら、死にたいんだな」
リョウガの瞳から一切の温度が消える。
普段の穏やかな紫色は、一瞬にして深く、暗い『紫紺』へと染まった。
大気が震え、周囲の酸素がバチバチと焼ける音が響く。
唯一の弱点、そして唯一の守るべき希望である『タクヤ』を傷つけられたリョウガにとって、もはやこの場にいる敵は『生物』ではない。『排除すべき塵』でしかなかった。
「──逃がさない。一匹残らず、灰になれ」
リョウガが地を蹴った瞬間、その場所は爆発的な【⚡(雷撃)】によって巨大なクレーターへと化した。
彼の攻撃力『3500』。その全ての出力が、タクヤを傷つけた元凶一点へとロックオンされる。
「あ……っ、が……あぁぁぁ!」
敵が恐怖を抱く暇さえなかった。
リョウガの右腕から放たれた【🟣⚡️🔥(紫電の極炎)】が、巨大な龍の顎(あぎと)のように敵を飲み込む。
防御など無意味。リョウガの怒りに呼応した一撃は、敵の存在そのものを、細胞一つ残さずこの世から消し去った。
周囲の敵を文字通り『一掃』したリョウガは、荒い息をつきながらタクヤの元へ駆け寄った。瞳の色はまだ、冷酷な紫紺のままだ。
「タクヤ……! おい、しっかりしろ!」
「……っ、リョウガ……。怖い、顔……してる……」
タクヤが痛みに耐えながら、震える手でリョウガの頬に触れた。
その柔らかな温もりが指先から伝わった瞬間、リョウガの瞳は元の穏やかな紫へと戻り、彼は崩れ落ちるようにタクヤを抱きしめた。
「ごめん。……俺が、守るって言ったのに……」
「……バカ。…俺には…治癒があるんだから、これくらい、平気だよ……」
タクヤは自身の足にそっと手をかざした。淡い緑の光が溢れ出し、裂けた傷口を塞いでいく。リョウガはその様子を、自分の身が削られるような苦しげな表情で見守っていた。
「……次は、絶対に離さない。俺の後ろにしろ」
「……やだ。俺がリョウガを、守るんだから。……次は、後ろも見せてやらないよ」
不敵に笑うタクヤの背中から、再び透き通った氷の龍の翼が広がる。
リョウガもまた、タクヤを守護するように寄り添い、紫電の龍をその背後に顕現させた。
最強の盾と、最強の矛。
二頭の龍が共鳴し、戦場は再び、誰にも踏み込めない二人の独壇場へと塗り替えられていった。
𝐹𝑖𝑛.
コメント
1件
あー、めっちゃ良かった…! リョウガの瞳の色が変わるところ、ゾッとしたわ。普段は穏やかなのに、タクヤが傷つけられた瞬間の「死にたいんだな」って台詞、ガチで刺さった。怒りで敵を灰にする側面と、タクヤの前でだけ戻ってくる紫色の優しさ、そのギャップがたまらん。そしてタクヤも「次は後ろも見せない」って負けてないのが最高。氷と雷の龍が並び立つラスト、続きめっちゃ気になる🔥