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ろのみ🩵🫧
43
#愛され
おうか
252
吉良君には例の件を改めて謝罪したいと申し出たが、社内で対応したなら俺から自分への謝罪は必要ないと苦笑いをされた。
本人もそれ以上触れて欲しくない様子だった。以降、同じことが起こらないように対処するのが俺の務めだろう。
――次の週、吉良君と中条さんは2人揃ってうちにやって来た。
この日は商談ではなく、うちの社員数十人相手に、研修だ。
各部署から数人選抜した社員が参加する。男ばかり。結構な人数に彼女を晒してしまうことになる。
案の定、社員の間を歩く彼女に多くの視線が集まる。いい女なんだよな……歩く姿も。全部。
わざと質問してる奴もいる。
まずいな……流石に女性相手に無茶をする奴はいないと思うが。
「よし、10分休憩」
そう言うと、彼女に話しかけた。
わざと。《《まわりにも》》聞こえるように。
「ねぇ、中条さんて……独身? 」
「ええ」
一呼吸置いて、彼女は俺の方へ振り返る。その仕草がもう色っぽい。
「恋人は……? 」
ここで“いる”と、言ったら皆に伝わるだろう。
だが、予想に反して
「……いませんわ」
そう言って、彼女は俺ををゆっくりと見つめる。綺麗だな、やっぱり。うっかり見とれてしまうくらいだ。
だから、こそ。
「じゃあ……食事に……誘っても? 」
「ええ、もちろん」
「……予定……どうしよっか」
また、連絡する。そう含ませて終わるつもりだった。
しかし、彼女から返って来た言葉は
「……いつでも……今日でも構いません。私は」
俺をを真っ直ぐ見たまま答えた。意外な返答に、俺が言葉に詰まった。これに対する答えは用意してなかったな。
ところが、それに……
「麗佳さん、今日、社内ミーティング」
割って入ったのは、彼女の同僚のイケメンだ。まさか、彼が食い付くとは……。
驚きで、彼を見た。彼も、表情に出しはしないが……。
ああ、なるほど。面白い。
「はは、残念。また、連絡します」
そう言って、休憩を終えた。
ミーティングなんて、そんなに遅くならないだろ。それからでもいいけど?
可笑しい。……可愛いな。
他の社員への牽制。それさえ出来たら満足だった。恋人がいるとわかれば引く奴もいるし、いないとくれば俺と張り合ってまで彼女に手を出す奴はいないだろう。
でも、このイケメンとデキてるってので良かったな。あ、駄目か。彼は結婚してる|体《てい》だったな。ま、もうすぐこうやって二人揃って来ることも無くなるし、俺にしといた方が何かと好都合か。
すぐに噂も回る。これで彼女に手を出すやつはいないだろう。とりあえず、手は打った。
それにしても……彼も遂に、始動か。いいね、楽しくなりそうだ。しかし、中条さんは綺麗は綺麗だけど……意外だな。吉良くんの反応に、彼女にも興味が沸いた。まぁ、飯くらい本当に行ってみるか。
研修が終わると
「連絡する」
彼女に、そう耳打ちした。あえて、彼の前で。
……仕事帰りに食事でもと、中条さんをわりとすぐに、誘った。彼女からは快く了承の返事をもらった。
当日になって、待ち合わせ場所、軽く手を上げた。
「そこ、すぐだから」
そう言って、路地を指すと店へと向かった。
店へ入ると片隅のカウンター席に、横並びで彼女を奥に座らせ、横に座った。
「お酒、ダメだって聞いたんだけど……」
「あまり……強くなくて」
申し訳なさそうに、そう言った。
「うん、じゃあ今日は酒なしで。食事も旨いんだよ。気取ってなくて悪いけど、あんまり、最初に頑張っちゃうと、続かないからね」
「あ、どうぞ清水部長は……お酒、召し上がって下さい」
「……んー、俺も今日は止めとこうかな。もう少し、仲良くなったら……中条さんも、飲んでくれる? 」
「……はい」
親睦を深める意味で。でも、近くで見ると益々……綺麗だ。
コメント
1件
わあ、このエピソードすごく好きです! 主人公が他の社員に対する牽制として彼女にわざと話しかけるシーン、まわりにも聞こえるように「独身?」って聞くところ、ドキドキしました。それに対して彼女が「いませんわ」と答えた時の間とか、視線のやり取りがとても色っぽくて…。そして吉良くんが割って入る展開、面白いですね。3人の関係性がどう動くのか、続きが気になります!