12話
長いし変な終わり方です
𝐠𝐨⤵︎ ︎
血を吐くほどの咳と、全身を覆う悪寒に意識が朦朧とする中、うりは何とか体を起こした。
床にへたり込んでいた体は鉛のように重く、立ち上がるまでに二度、三度と膝をついた。
(もう、限界だ……)
左肩甲骨の墨染桜が焼けるように熱い。
彼の存在は、すでにこの世界から半分消えかかっているのかもしれない。
このまま部屋で砂になって消えるか、それとも――。
「……どうせ、死ぬなら」
うりは、ふらつく足でドアに向かった。
全身の骨がきしむような痛みに、「ひゅっ」
「うぅ」と小さな呻き声が漏れる。
しかし、彼の心には、すでに恐怖も希望もなかった。
ただ、
「誰にも知られずに、この呪いを終わらせる」
という冷たい目的だけが残っていた。
鍵をゆっくりと回す。
ガチャリという金属音が、やけに大きく響いた。
ドアを開ける。
廊下の光が、痛む目に刺さる。
うりは、部屋の静寂から外の世界の気配へ、一歩踏み出した。
彼の足元は裸足だった。
冷たい床の感触が、衰弱した皮膚に直接伝わるが、もはやどうでもよかった。
靴を履く手間すら惜しい。
(誰も、いないでくれ……)
廊下は静かで、他のメンバーの部屋からも物音は聞こえない。
もう自分の部屋で編集か、ゲームをしてる時間だ。
うりは、よろめきながら玄関へと向かう。
「ごほっ……っ、はぁ……」
また咳き込みが始まり、手の甲で口元を抑える。血の味がした。
体から力が抜け、壁に寄りかかって呼吸を整える。
(大丈夫……あと、少し……)
向かう先は決まっていた。
誰も見つけられない場所。
全てを終わらせるための、彼の最期の場所。
うりは、静かに玄関の扉を開け、冷たい外の空気の中へ、フラフラと歩み出した。
裸足のまま、彼は夜の闇の中へ消えていこうとしていた。
うりが向かった先は、シェアハウスから少し離れた山奥にある、湖だった。
深夜の闇に沈む湖面は、何もかもを吸い込むような深い黒をたたえている。
辺りには、風が草木を揺らす音以外、何の音もない。
ここなら、誰にも見つからずに済む。誰にも迷惑をかけずに、墨染桜の呪いごと、自分の存在を消すことができる。
よろよろと歩いてきた道のりのせいで、うりの体は限界を超えていた。
裸足で地面を歩いた足の裏は冷え切り、感覚がない。
「っ、ごほ、ごほっ……げほっ!」
我慢できずに咳き込むと、熱い血が口から溢れ、地面に小さな染みを作った。
うりはその場に膝をつき、しばらく荒い息を繰り返した。
(もう、いいだろ……)
彼は、最後の力を振り絞り、湖畔に近づいた。
冷たい湖の水に、そっと裸足のつま先をつける。
その冷たさは、彼の全身を襲っている悪寒と同じ種類の、深遠な冷たさだった。
「ふ、はは……っ」
その口から漏れたのは、乾いた、自嘲の笑みだった。
「ごめん、なさい……じゃぱさん、ヒロくん……俺、生まれ変わっても、笑えないかも」
約束を守れなかった自分を嘲笑うように、うりはその笑みを深めた。
そして、水の冷たさに誘われるまま、一歩、また一歩と湖の深い方へと歩を進めようとした。
「おいバカ、なにしてんの」
俺の耳に、聞き慣れた声が響いた。
ぶっきらぼうで、どこか不機嫌そうな、でも…。
いつもは、俺と喧嘩ばかりして、それでも、俺を気遣ってくれる声。
俺は、その声の主を、ずっと探していたんだ。
今、1番声を聞きたくて……
同時に、俺が一番、傷つけてしまうかもしれない相手だった。
彼の存在が、完全にこの世界から消え去るまで、あとわずか——
……?
🌸𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎
コメント
2件
まさかゆあんくんか?! 続き楽しみに待ってます!
やばい、好き、🥹🥹((?