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縁en
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nanana

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3話 「特別になりたかった」
勇斗と話すようになってから、
僕の日常は少しずつ変わっていった。
朝、教室に行く理由ができた。
休み時間が嫌じゃなくなった。
嫌なことがあっても、
「帰ったら勇斗と話せるかもしれない」
そう思うだけで、少し頑張れた。
放課後、いつものように二人で帰っていた。
「勇斗って毎日楽しそうだよね」
僕がそう言うと、勇斗は首を傾げた。
「そう?」
「うん。いつも笑ってる」
「そんなことないよ」
「あるよ」
僕が言うと、勇斗は少し笑った。
「じゃあ、俺ことよく見てるんだね」
その一言に、胸が跳ねた。
「……え?」
「いや、なんか」
勇斗は前を向いたまま言った。
「俺のこと分かってるなって思った」
たったそれだけの言葉。
なのに。
その日は家に帰ってからも、
何度も思い出していた。
僕のことを見てくれている気がした。
僕だけが知っている勇斗がいる気がした。
でも、本当は違った。
次の日。
勇斗は、困っているクラスメイトに声をかけていた。
「大丈夫?」
「ありがとう、勇斗」
「気にしないで」
いつもの優しい笑顔。
その瞬間、昨日まで嬉しかったものが、
少しだけ苦しく感じた。
僕は何を期待していたんだろう。
勇斗は誰にでも優しい。
最初から分かっていたはずなのに。
「僕だけ」
そんな言葉が頭に浮かんでしまった。
僕だけに笑ってほしい。
僕だけを頼ってほしい。
僕だけを特別に見てほしい。
そんなことを思ってしまう自分が嫌だった。
勇斗は何も悪くない。
何も変わっていない。
変わってしまったのは、僕の方だった。
「ねえ、仁人」
「ん?」
「最近、無理してない?」
突然そう聞かれて、心臓が跳ねた。
「なんで?」
「なんとなく」
勇斗は少しだけ眉を下げた。
「前より笑うようになったけど」
「……」
「たまに、すごく寂しそうな顔するから」
まただ。
勇斗はいつも、
僕が隠したものを見つける。
「大丈夫だよ」
僕は笑った。
いつものように。
すると勇斗は、少し悲しそうな顔をした。
「……またそれ言う」
「え?」
「俺が初めて会った時も言ってた」
その言葉に、何も返せなかった。
勇斗は覚えていた。
あの日のことを。
僕が無理して笑っていたことを。
「無理してるなら、俺には言ってよ」
「……」
「友達でしょ?」
その言葉が嬉しかった。
でも同時に、少しだけ苦しかった。
友達。
その言葉が、
今の僕には少し遠く感じた。
僕はもう。
勇斗をただの友達だと思えなくなっていた。
この気持ちの名前を、
まだ僕は認めたくなかった。
でも。
気づいてしまった。
僕はもう、
勇斗の「大切な友達」じゃなくて。
勇斗の「一番」になりたいと思っている。
コメント
1件
おお、3話読み終わったわ…これ、めっちゃ刺さるやつやん。 「友達でしょ?」って言われた時の仁人の気持ち、分かりすぎて胸が苦しいわ。勇斗が誰にでも優しいって分かってるのに、「僕だけ」って思っちゃう感情、すごくリアルでグッときた。特に最後の「勇斗の一番になりたい」って気づきのシーン、もうこっちまでドキドキしたわ。 この距離感の描写、めっちゃ好き。続き気になる!