「 キャアアアアアアアア!!」
「おい!誰か通報しろ!」
「もしもし!はい、救急です!」
「AEDを、、!」
「いや、もう間に合わないんじゃ、、、」
白い横断歩道の線。
朱に染まった黄昏時の空。
静かだったはずの交差点の真ん中には、小さな血溜まりが出来ていた。
「っ、、嘘、だよね、?」
横たわる友人は、横断歩道の白線によく映える赤に染まっていた。
「なんで、、、っ」
「クソッ、、」
あの日、友人は死んだ。
原因は車に撥ねられたことによる複数箇所の粉砕骨折と失血症だった。
撥ねた車はそのまま逃げた。
彼女の棺に花を添える。
遺体は見るに耐えない状態だった。
「また、会おうね」
呟いた。
火葬に向かう車に向かって。
「ねぇ、知ってる?」
彼女の死から3年。
当時3年生だった私は6年生になった。
話しかけてきたのは噂好きの別の友人だった。
「最近音楽室にゆーれいでるらしーよ」
「そんな訳ないでしょ」
「まぁまぁ、最後まで聞きなって」
「その幽霊さ、小3で死んじゃったピアノ好きの子らしいんだよね」
「、、ぇ?」
衝撃を受けた。
だってあの子は凄くピアノが好きだったし、亡くなった時期も一致していたから。
あの日は2人でピアノを習って帰る途中だった。
あの時の、「また、会おうね」
もしかしたら、いや絶対彼女だ。
会いにきてくれたんだ。
「見にいこーよ!」
「うん、行こう」
「お、珍しく乗り気w」
「まぁね」
あの子にまた会えるっていう期待を胸に抱いて、約束を交わした。
「にしても本当に出るのかな?」
「出るんじゃないの?」
「いやー所詮噂じゃん?」
「、、確かに」
静かな廊下を音楽室に向かって2人歩く。
しょうもない話をしながら、ピアノの音が少しでも聞こえないか、耳をすます。
ポロン、、
「待って、静かに」
「、、?」
ピアノの音が聞こえだす。
『エリーゼのために』だ。
「っ!!」
「ちょ?!?!」
階段を一段飛ばしで駆け上がる。
勢いそのまま音楽室の扉を開けた。
そこにいたのは
「、、、なんで、、」
椅子の上にちょこんと座ていた。
ピアノを弾いていた手を止め、振り向いたその子は
さっき一緒に階段を登ったはずの友人だった
「ぇ、、どうやって、」
「簡単な話だよ。君は騙されたんだ」
こっちを向いた顔はどんどん朽ちてゆく。
骸骨に変わるのにさほど時間はかからなかった。
そして、さも嬉しそうにケタケタと顎を鳴らして笑ったアレには、もうあの子の面影なんてなかった。
「なんで、っ!」
「君が勝手に死んだ子と勘違いして、勝手に騙されたんだ。こっちは、頼んでもないでしょ?ねぇ?そうだよねぇ??」
嘲笑うような挑発的な笑い方で此方を落ち窪んだ目でこっちを見つめる。
「ねぇ、私もっと生きたいの」
「だからさ」
「カワリニキミガシンデ?」
骸骨の目が赤く光った。
あの日とおんなじ、白線に映えた赤色。
「、ゃだ、っ!!」
私の叫びも虚しく、骸骨の背後から現れた黒い霧に私は飲まれた。
「こんにちは!転入生の、、、」
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