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夜になると不安が膨らむ。
覚えていないことがこんなにも怖いなんて思わなかった。
「勇斗」
『ん?』
「俺…知らないまま守られてんの、怖い、」
声が震える。
「俺のこと、俺より知ってるみたいで」
『…。』
言葉を選ぶ時間が必要だった。
『全部は、知らない』
「じゃあ――」
『でも、あの夜のことは、見てた』
仁人が息を止める。
「見てたって、なにを、?」
『仁人が、自分を追い込んでたところ』
具体的なことは言わない。
言えなかった。
「怒ってた?」
『違う』
「じゃあ、失望してた?」
『それも違う』
仁人の目が、俺をまっすぐ捉える。
「……じゃあ、何があったの」
俺は、逃げなかった。
『…明日、ちゃんと話す』
「今じゃ、だめ?」
『うん…。ごめん。今だと…抱きしめるしかできない』
仁人は、小さく頷いた。
『…明日。 約束する』