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「なぁ」
俺はゆっくりと息を吸って鬼に話しかける。
『何?』
もうすぐ着くようだ。磯の匂いがした。
「俺どう死のうか」
本当に迷っている。
・動脈を切って失血死
・海に飛び込んで溺死
『なら俺と海に飛び込もうよ』
「はは、そいつは面白い」
俺は俺とというのを聞き逃さなかった。
『お待たせ、お兄さん』
「ありがとう。」
ゆっくりと車からおりる。ここの海はいつもの海と違くて、すうっと透き通ってて俺たちを吸い込みそうだった。
「めっちゃ綺麗じゃん」
『だろ?』
俺は波打つ海に足を入れた。
冷たくて気持ちよかった。
『お兄さん、』
鬼は海に入る俺を呼び止める。
「なんだ?」
『このまま死ぬのもなんだし、手を繋いでキスしながら死のうよ』
鬼は鬼で変わってないみたいだ。
「お断りだ」
『お兄さん釣れなーい』
俺をなんだと思っているのだ。鬼は。
鬼はしゅんと下を向いて歩く。
「ほら、行くぞ」
俺は鬼に手を差し伸べる。
そっと俺の手に鬼の手を重ねる。
「すぐに楽になれる」