‥オリキャラが出てきます。
ペアリングを受け取ってから数日後‥久しぶりに代表メンバーが集まれる日があり、食事会に参加することになった。
「おい、藍、今日も呑まねぇの?」
「小川さん、責任取ってくれます?」
「げっ、やだよ、祐希さん怒るとこえーし」
前に俺が酔ってキス魔になった時‥俺に飲み勝負を仕掛けていた小川さんは‥こってり祐希さんに怒られたらしい‥
普段の祐希さんは誰よりも優しいが、その時だけは鬼のように怖かったと‥小川さんは愚痴っていた。
暫くして‥、個室のドアが開き、遅れてきた祐希さんが入って来る‥そして、その後にもう一人‥。見慣れない顔についつい凝視してしまう。
「お疲れ!遅くなってごめん」
「おー祐希!お疲れ‥って、隣は‥?あっ、前に見たことあるような‥」
小野寺さんが開口一番、尋ねる。祐希さんの隣に立っている茶髪の男性は、祐希さんよりも背が高いようだ‥もしかして山さんぐらいあるかも?
俺は見たことがなく、彼をジロジロと眺めていたら、一瞬ジロリと睨まれた気がした‥
(失礼やったかな‥)
「あー、紹介する。彼も代表に選ばれた一人なんだ‥自己紹介してもらえる? 」
祐希さんに紹介され、前髪をかき上げながら一歩前にでる‥
「あー、はい、松田勇斗(まつだ ゆうと)っていいます。最初に言っておくんすけど、敬語苦手なんで‥タメ口になってたらすんません」
あと、20歳です‥と話しながら、軽く会釈をする。
ハーフなのかな?とおもわせるぐらい、目鼻立の整った綺麗な顔をした彼は、めんどくさそうにそれだけ言うと、何故か‥少し離れた位置にいた俺の隣に座りこむ‥‥。
押しやられた形になった小川さんが何やら言っているが、全く耳に入らないのか‥彼は隣に座る俺の顔を、じーっと見つめている。
「(何やろ‥?)あっ、髙橋です。よろしく‥えっと‥松田くん?」
「勇斗でいいっす、俺も下の名前で呼んでいいっすか?藍だよね?」
‥もう、呼び捨てなのか‥そう思ったが、まぁコミュニケーションを取るうえではそっちの方がいいだろう‥そう思い、あまり重要視しなかった‥
「OK、勇斗やね、俺も藍でいいよ」
それからは、食事をし、談笑していると‥隣でビールを呑んでいた勇斗が、ふいに煙草を取り出した‥
「えっ、煙草吸うん?」
「‥ここって禁煙でしたっけ?」
「いや、ちゃうけど‥皆のこと考えたら吸わん方が‥」
「ふーん‥藍って案外うるさいんすね」
‥‥‥へ?いま、先輩にうるさいって言った?あまりの事にあんぐりと口を開けて、タバコを面倒くさそうにポッケに入れる勇斗を眺める‥
仲良くやっていけるか不安やな‥‥
タバコが吸えず、苛々したのか‥その後‥一気にビールを飲みほす‥。
その時、携帯を見ていた一人が、
「あっ、キャプテンのCM流れてますよー」
と言うので、皆が見やすいようにとiPadでCMを見せてくれた。
そのCMは、「君の世界が変わる」というキャッチコピーと共に祐希さんが朝の目覚めの後にメガネをかけるシーンと‥
もう一つは、スラリとした長身の綺麗な女性が祐希さんと対峙し、祐希さんが女性にメガネをかけるシーン‥
お互いの顔が近くになり‥「似合ってるよ」そう祐希さんが微笑み、女性が照れたように笑う‥そこでCMはおわっていた‥
「へー、凄いじゃん!この娘っていま、人気モデルのエリカでしょ?」
智さんが興奮しながら話し出す。エリカ‥人気モデルなのか‥‥知らなかった‥CMは祐希さん一人だと勝手に思っていたから‥
「綺麗なモデルだよな‥そういえば、このモデルって祐希が好きって公言してなかったけ?」
山さんが祐希さんに尋ねる。
「そうなの?いや、何にも言われてないけど‥」
あっさりと答える祐希さんに、勿体ないなー、今度会ったら連絡先交換しとけよ、という山さんの声が聞こえてくる‥
祐希さんが好きなのか‥そりゃ、そうだ。世界の祐希だもんな‥。画面上の2人を見ると胸が苦しくなるが、何故か‥目を逸らせなかった‥
そのまま繰り返し流れるCMをただじっと見つめていた‥
勇斗Side
めんどくさい‥。思ってるのはそれだけ‥。
今日は‥キャプテンだけに挨拶して帰ろうと思ったのに、めんどくさいことになってしまった‥
途中で切り上げて帰って、女と遊ぼう‥そう思いつつ、ふと隣の藍を見つめる。
最初に挨拶した時に真っ先に視界に入った。これが髙橋か‥‥。実物を見るのは初めてだった。
隣でまじまじと見ると、確かに整った顔をしている。まぁ、綺麗な顔はしてるけど、男だしな‥興味はない‥そう思っているが、さっきからCMを凝視している藍が何故か‥気になった。
楽しそうに見ている訳でもない‥食い入るように見ているかと思ったら、突然俯き、やるせないような表情にもなる‥‥。
CMはキャプテンとエリカが映ってるだけだ‥そうか、エリカが好きなのか‥
「藍、好きなんすか?そのCM?」
「えっ、あっ、いや、そんなわけじゃ‥‥」
わかりやすく慌てた後、そそくさと立ち上がりトイレと呟き、駆け出していく‥。
(あんなに慌てる必要なくね?)
綺麗な顔してんのに、恋愛経験は少ないんだろうか‥まっ、余計なお世話か‥‥
藍Side
はぁー。トイレに駆け込んだ後、大きな溜息をつく。意識して見てたんは俺だけだよな‥他の皆はCMを見ても凄いと言うだけで他には何も言っていなかった‥
祐希さんの事好きっていうモデルさんか‥祐希さんはどう思ったんやろう‥
考えてもキリがない事だが、何故か‥気になって仕方がなかった‥その時
「藍?」
うわっと驚き、後ろを向くといつの間に来ていたのか‥そこには勇斗がいた。
人の名前を呼んでいながら、話すことはないのか‥何も言わずに勇斗は黙って用を足していた。
それから、手洗い場に移動すると‥すぐ真後ろから声を掛けられる。
「藍?藍の彼女って激しいっすね♡」
「はっ?な‥なにが?」
「さっき、チラッと腰のところ見えたんすけど、大胆なキスマがあったから‥」
ほらココとシャツを捲り、ズボンを下に遠慮なくずらすと、赤くなってる箇所をトンっと触り、鏡に映るように見せつけてくる。
「ちょっ、勝手に下げんとって///」
「ちょっと触っただけじゃないっすか、照れてるんすか?」
からかうような口調にムッとしながら、ずらされたズボンを元に戻す。
「藍‥彼女いないのかと思ってました」
癖なのか、元々がそうなのか、耳に触れそうになるぐらいの距離で勇斗が呟く。
「///彼女はおらんよ!それに、キスマじゃなくて虫刺され!」
「へー、こんなところを?虫刺され?」
「別にいいやろ、もう俺出るから」
近すぎる距離感に嫌気がさして、早く出ようと扉に向かう。そんな俺の手をグッと掴み、強く引っ張られたせいもあり、反動で勇斗の胸に抱きつく形になってしまった。
「なっ‥何なん?急に‥‥‥」
「ちょっと引っ張っただけですよ、それだけで倒れ込む藍がいけないと思うんだけど‥まぁ、藍が女だったら‥このまま襲うんすけどね‥」
そう言うと、グイッと顎を掴まれ、上を向かされる。‥なんて馬鹿力なんだよ、コイツ。掴んでる手を離そうとするが、びくともしない。
そんな俺の顔を覗き込み‥
「笑、そんな顔しなくても大丈夫っすよ!俺、男は興味ないんで」
その瞬間‥顎を掴んでいる手から力が抜ける。
先輩に対してなんてヤツだ‥その思いも込めて睨むも、何故か俺の顔を見て勇斗はククッと笑っている。
急いでトイレから出ながら、俺は思う。アイツとは気が合わないと‥‥‥‥‥‥‥‥。
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