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どっかの誰かさん。
154
ℝ𝕒𝕟
79
蘇枋視点
目を覚ました瞬間。嫌な夢を見ていたことだけは分かった。
蘇枋「……」
天井を見つめる。
夢の内容は、ほとんど覚えていない。
ただ――
煙。
赤い光。
それから、誰かの背中。
蘇枋「……またか」
俺は小さく息を吐いた。
最近、昔の夢を見ることが増えた。
風鈴に来てからだ。
今までなら、思い出すことなんてほとんどなかったのに。
どうして今になって。
蘇枋「……俺、何か忘れてるのかな」
そう呟いて、ベッドから起き上がる。
右目に手を伸ばす。
眼帯はいつも通り。
きちんとついている。
それを確認すると、少しだけ安心した。
その日の放課後。
俺は一人で歩いていた。
昨日の炎が、まだ頭から離れない。
炎を見た瞬間に浮かんだ、あの記憶。
小さな俺。
煙。
そして、誰かの背中。
蘇枋「……」
思い出そうとすると、頭の奥が痛くなる。
でも今日は。
いつもより少しだけ、はっきりしていた。
――家。
そう思った。
蘇枋「……家?」
足が止まる。
どうして今まで気づかなかったんだろう。
あの場所は――
俺が昔住んでいた家だ。
記憶の中の景色が、少しずつ繋がっていく。
玄関。
階段。
見慣れた廊下。
そして――
夜。
赤い光。
蘇枋「……っ」
頭の奥が痛む。
思わず壁に手をついた。
蘇枋「……大丈夫」
自分に言い聞かせる。
蘇枋「大丈夫だから……」
でも。
今回は、その言葉だけでは止まらなかった。
記憶が、次々に浮かんでくる。
――あの日。
俺は、まだ小さかった。
蘇枋「……熱い」
何かがおかしい。
部屋の中が赤い。
煙が入ってくる。
息が苦しい。
蘇枋「お父さん……?」
返事がない。
蘇枋「お母さん……?」
返事がない。
怖い。
何が起きているのか分からない。
俺は立ち上がって、部屋を出た。
蘇枋「お父さん!」
廊下に出る。
煙の向こうに、人影が見えた。
蘇枋「……!」
いた。
家族がいた。
蘇枋「お母さん!」
俺は走った。
蘇枋「怖いよ……!」
声が震える。
蘇枋「ねえ、待って……!」
手を伸ばす。
けれど。
その人影は、俺のほうを振り返らなかった。
蘇枋「……え?」
遠ざかっていく。
蘇枋「待って!」
俺も追いかける。
蘇枋「お願い!」
煙で前が見えない。
熱い。
怖い。
それでも、必死に手を伸ばす。
蘇枋「置いていかないで……!」
――その瞬間。
何かが落ちた。
大きな音。
視界が赤く染まる。
蘇枋「――っ!」
俺は顔を庇った。
右側に、強い熱を感じる。
蘇枋「痛い…!!」
怖い。
熱い。
誰かに助けてほしい。
蘇枋「お父さん……!」
蘇枋「お母さん……!」
蘇枋「誰か……!」
でも。
返事はなかった。
蘇枋「……お願い」
声が震える。
蘇枋「誰か……来てよ……」
俺はその場にしゃがみ込んだ。
そして。
何度も何度も、同じ言葉を繰り返した。
蘇枋「置いていかないで……」
けれど。
誰も戻ってこなかった。
蘇枋「……っ!」
俺は現実に引き戻された。
息が苦しい。
壁に手をついたまま、しばらく動けなかった。
蘇枋「……あの日」
ようやく声が出る。
蘇枋「……俺は……」
覚えていた。
全部じゃない。
でも、もう分かる。
俺はあの日。
家族に助けを求めた。
何度も。
何度も。
それなのに――
蘇枋「……来なかった」
その言葉を口にした瞬間。
胸の奥が、ひどく痛んだ。
俺は眼帯に触れる。
この傷を見るたびに、あの日を思い出していたのかもしれない。
だから隠していた。
だから。
誰にも頼らなかった。
蘇枋「……大丈夫」
いつもの言葉が口から出る。
でも。
今度は自分でも分かった。
これは、誰かを安心させるための言葉じゃない。
自分自身に、言い聞かせているだけだ。
蘇枋「……大丈夫」
もう一度呟く。
けれど、声は少し震えていた。
俺は空を見上げる。
あの日と同じような赤い夕焼け。
目を閉じると、あの時の声が蘇る。
――置いていかないで。
蘇枋「……」
俺はしばらく黙っていた。
そして、小さく笑う。
蘇枋「……やっと、思い出した」
だけど。
思い出したところで、何も変わらない。
あの日、誰も来なかった。
それは今も変わらない。
だから俺は。
誰かに助けを求めることが、怖くなった。
――どうせ、来ない。
そう思うようになった。
だから。
何があっても「大丈夫」と言う。
痛くても。
怖くても。
苦しくても。
『……俺、一人で大丈夫だから』
そう言ってしまう。
あの日からずっと。
でも。
心のどこかで、ずっと思っていた。
――本当は。
あの日、誰かに来てほしかった。
ただ、それだけだった。
きり悪いですがここで一旦やめます。
これ書いてる時刻朝?の04:17で、学校バリバリあるんですよ。
なんなら私アリーナ席なんで絶対寝れないんです!!終わったって感じです笑
次も見てくださると嬉しいです!!
では안녕!!
コメント
2件
私もいまアリーナ席ですww だけどバリバリ寝てますww
うわ……蘇枋くんの過去、想像以上に重かった……🥀 あの「置いていかないで」が何度も響いて、胸がぎゅっとなったよ。 眼帯の下に隠してた傷も、心の傷も、ちゃんと彼のものとして受け止めたくなった。 ℝ𝕒𝕟さん、朝4時過ぎまで書いてくれてありがとう。アリーナお疲れさま……! 次も静かに読みに来るね🌙💫