忍術学園の校内が、どこかいつもと違う空気に包まれていた。
よもぎは保健委員会室で薬草の整理を終えた後、山本シナ先生に呼ばれて武器を4つ選ぶことになった。
山本シナ:「善法寺蓬、武器を決める時間ですよ。」 (落ち着いた口調で告げる)
よもぎは少し驚きながらも、静かに頷いた。
よもぎ:「はい、どんな武器を選べばいいでしょうか?」
山本シナ:「戦場では己に合った武器が生きる力になる。それぞれの戦い方に合ったものを選ぶといい。」 (目を細めながら言う)
よもぎは武器庫の前で立ち止まり、ふと考え込む。
一方、学園の外では——密かに戦が始まりつつあった。影が動き、忍びたちが情報を集めながら準備を進めていた。忍術学園の生徒たちも、その流れに巻き込まれていくことになる。
忍術学園の武器庫では、くノ一たちがそれぞれの武器を選んでいた。刀、手裏剣、忍び鎖——どれも戦いに必要なものだ。
よもぎも静かに武器を見ていたが、ふと考え込んだ。そして、思い切って口を開く。
よもぎ:「……武器を作ってもいいですか?」
その言葉に、近くにいたくノ一たちは少し驚いた様子を見せた。シナ先生は穏やかな表情のまま、静かに微笑む。
山本シナ:「良いですよ。ただし、2つまでね。それを足して種類は4つになるけど、それでいい?」
よもぎはすぐに頷いた。
よもぎ:「はい。分かりました。」
彼女の目には、どこか真剣な光が宿っていた。
そしてよもぎはクナイ6つ、火薬6つ、を選んだあと他の2つは作ることになった。
よもぎは武器庫で選んだクナイと火薬を持ち、部屋へ帰ろうとしていた。足取りは軽く、考えるのは新しく作る武器のこと——。
廊下を歩いていると、前から孫兵が歩いてくるのが見えた。
孫兵:「よもぎさん、お疲れさま。」 (爽やかに声をかける)
よもぎ:「あ、孫兵くん。」 (微笑みながら立ち止まる)
孫兵はよもぎの手元にある武器をちらりと見て、少し驚いた様子を見せる。
孫兵:「武器を選んできたんだね。」
よもぎ:「うん。でも、半分は作ることになったの。」 (落ち着いた口調で答える)
孫兵は少し考えた後、真剣な表情になった。
孫兵:「それはすごいね。武器を作るとなると、腕のいい人に頼むのがいいかもしれない。」
よもぎはその言葉を聞いて、静かに考えた後、ふっと口を開く。
よもぎ:「孫兵くん、誰か紹介してもらえない?」
孫兵はすぐに答える。
孫兵:「それなら、1年は組の夢前三治郎がいいと思う。」
よもぎはその名前に少し驚く。
よもぎ:「夢前三治郎くん?」
孫兵は頷く。
孫兵:「うん。彼はカラクリが好きで、器用だからね。武器を作るなら、きっと頼りになるよ。」
よもぎはその言葉に興味を持ちつつ、考え込む。
よもぎ:「なるほど……でも、どうやって彼に会えばいいの?」
孫兵は少し笑いながら、穏やかに答える。
孫兵:「乱太郎に頼めばいいよ。彼なら三治郎のことをよく知っているし、きっと紹介してくれる。」
よもぎはしっかりと頷いた。
よもぎ:「ありがとう、孫兵くん。」
孫兵は微笑みながら、「困ったときはお互い様だからね」と言い、ゆっくりとその場を去っていった。
よもぎは、武器作りのことを考えながら保健委員会室へ向かった。扉を開けると、室内にはすでに誰かがいた——。
乱太郎:「……よし、これで完成かな?」 (慎重に薬の調合をしながら小さく呟く)
よもぎは少し驚きながら、乱太郎の様子をじっと見つめた。
よもぎ:「乱太郎くん?」
乱太郎は振り向くと、少し照れくさそうに笑った。
乱太郎:「あっ、よもぎさん!ちょっと薬を作ってたんだ!」 (手を軽く拭きながら)
よもぎは薬草の調合器具を見ながら、静かに頷いた。
よもぎ:「すごいですね。何の薬を作ってるの?」
乱太郎はちょっと得意そうに瓶を持ち上げた。
乱太郎:「これは……擦り傷用の塗り薬!保健委員会の仕事だからね!」
よもぎはその言葉にふっと微笑みながら、乱太郎の丁寧な手つきを見つめた。
よもぎ:「乱太郎くん、少しお願いしてもよろしくて?」
乱太郎は手を止めて、よもぎの方を向いた。
乱太郎:「うん?何?」
よもぎは少し考えながら、静かに言葉を続ける。
よもぎ:「1年は組の夢前三治郎くんを紹介してほしいの。武器を作るのに、彼の力を借りたいと思いまして。」
乱太郎はその名前を聞くと、目を輝かせて頷いた。
乱太郎:「あっ、三治郎のこと?彼、カラクリがすごく得意だよ!武器作りにはぴったりかも!」
よもぎ:「そうみたいね。孫兵くんが教えてくれました。」
乱太郎は少し考えたあと、明るく笑う。
乱太郎:「よし、すぐに紹介できると思う!」
よもぎ:「礼を申します、乱太郎くん。」
乱太郎は元気よく頷きながら、作りかけの薬をそっと棚に戻した——。
乱太郎との会話を終えたよもぎは、夢前三治郎に会うため、1年は組の教室へ向かった。
廊下を歩いていると、乱太郎が先に教室へ入って三治郎を探していた。
乱太郎:「三治郎!ちょっといい?」 (元気よく声をかける)
机の上にカラクリの部品を広げていた三治郎は、細かい作業を続けながら顔を上げた。
夢前三治郎:「ん?乱太郎?どうしたの?」 (幼い感じの声で首をかしげる)
乱太郎はよもぎの方を向き、彼女を紹介した。
乱太郎:「この人、善法寺蓬さん!武器を作りたいんだって。三治郎なら手伝えると思う!」
三治郎はよもぎをじっと見つめると、ぱっと目を輝かせた。
夢前三治郎:「へぇ~武器づくり?すごいね!どんなの作るの?」 (素直な興味を示して前のめりになる)
よもぎは静かに一歩前へ進み、落ち着いた口調で答えた。
よもぎ:「私は、戦いだけでなく、支援にも使える武器を作りたいと考えています。」
三治郎はその言葉を聞きながら、わくわくした様子で頷く。
夢前三治郎:「ふーん!面白そう!どんな仕掛けつけるの?」
三治郎はよもぎの言葉を聞き、ワクワクした様子で身を乗り出した。
夢前三治郎:「へぇ~!支援にも使える武器ってどんな仕掛けつけるの?」 (目を輝かせながら質問する)
よもぎは落ち着いた声で答える。
よもぎ:「私は、刺した際に毒が注入される刀を作りたいのです。」
三治郎は驚いたように瞬きをし、さらに興味を持った様子で質問を続けた。
夢前三治郎:「えっ、そんなの作れるの?どうやって毒を入れるの?」
よもぎは丁寧に説明を続ける。
よもぎ:「毒は私の方で調合します。刀の内部に毒を仕込める仕掛けを作り、刺した瞬間に流れるようにしたいのです。さらに、戦況に応じて毒の種類を変更できるようにできればと考えています。」
三治郎は「うーん」と少し考え込みながら、手元の部品をいじり始めた。
夢前三治郎:「……それなら、柄の部分に毒のタンクを仕込んで、切り替えられるようにするといいかも!」
よもぎ:「なるほど……可能でしょうか?」
三治郎はぱっと顔を上げ、嬉しそうに笑う。
夢前三治郎:「うん!カラクリで仕組みを作ればできると思う!」
三治郎はすぐに机の上の部品をかき集め、ワクワクした様子でよもぎに向き直った。
夢前三治郎:「じゃあ、まずは毒のタンクをどう仕込むかだね!どこに入れるのが一番使いやすいかな?」 (手を動かしながら楽しそうに考える)
よもぎ:「刀の柄に収納するのが理想です。すぐに切り替えられて、戦闘中でも簡単に扱えるようにしたいですね。」 (丁寧に説明しながら)
三治郎は「ふむふむ」と頷きながら、カラクリの部品を並べていく。
夢前三治郎:「それなら……スライド式の仕組みを入れるのがいいかも!柄の部分に小さなレバーをつけて、それを動かすとタンクが切り替わるようにする!」
よもぎ:「なるほど、それなら戦闘中でも素早く毒を変えられますね。」
三治郎は少し考え込んだ後、さらにアイデアを広げる。
夢前三治郎:「あと、毒を流す仕組みは細い管を通す形にするのがいいと思う!刃の根元に細い注入口を仕込んで、刺した瞬間に毒が流れるようにするんだ!」
よもぎは真剣な表情でその説明を聞き、しっかりと頷いた。
よもぎ:「それなら、毒の注入が確実にできそうですね。」
三治郎は嬉しそうに笑いながら、さっそく部品を組み立て始めた。
三治郎は夢中になって部品を組み立てながら、毒の切り替え機構について考えていた。
夢前三治郎:「それで、毒を変更するスイッチは柄にレバーをつけるのがいいかな?」
よもぎは慎重に考えながら、静かに提案した。
よもぎ:「レバーよりも、親指で簡単に操作できるクリップ金具を使うのはどうでしょう?切り替えの動作が最小限になり、より素早く使えると思います。」
三治郎は「へぇ!」と目を輝かせる。
夢前三治郎:「それ、めっちゃいいね!親指でパチンって押せば切り替わるんだね!うん、そっちの方が使いやすそう!」
よもぎは穏やかに微笑んだ。
よもぎ:「はい。戦闘中にすぐに操作できることが重要なので、扱いやすい方が良いです。」
三治郎はさっそく部品を選びながら、楽しそうに組み立てを始めた。
夢前三治郎:「よし、それならクリップ金具を仕込んでみるよ!」
こうして、よもぎの武器はさらに改良され、完成へと近づいていく——!
三治郎は楽しそうに細かい作業を進め、ついに完成した武器を机の上にそっと置いた。
夢前三治郎:「できたよ!見てみて!」 (嬉しそうに笑いながら、よもぎの方を向く)
よもぎはゆっくりと武器を手に取り、慎重に観察する。
よもぎ:「……すごいですね。親指でクリップを動かすだけで毒を切り替えられる。」 (穏やかに微笑みながら確認する)
三治郎は得意げに頷く。
夢前三治郎:「うん!ちゃんと試してみて、使いやすかったら完璧だよ!」
よもぎはその言葉に静かに頷き、実際にクリップを押して毒の切り替えを試してみた——。
親指でクリップを軽く押してみる。毒の切り替えがスムーズにできることを確認し、よもぎは満足げに微笑んだ。
よもぎ:「……これなら実戦でもうまく使えそうですね。」 (静かに呟く)
こうして、よもぎは完成した武器を持ち、部屋へ帰るのだった——。
部屋の中は静かだった。よもぎは机の上に並べた薬草と調合器具を慎重に扱いながら、毒の調合を進めていた。
白狐の蒼白は部屋の隅に座り、じっとその様子を見つめている。興味津々な瞳——しかし、その視線には冷たさがあった。
よもぎ:「……これで濃度は大丈夫でしょうか。」 (落ち着いた声でひとりごとを呟く)
蒼白は何も言わず、ただ静かに見つめ続ける。その金色の瞳には感情が読めず、まるで狩人が獲物を観察するかのようだった。
その緊張感のある空気を破るように、扉が静かに開いた。
伊作:「よもぎ?」 (穏やかながらも少し警戒した声)
よもぎは手を止め、兄の方へと振り向く。
よもぎ:「伊作兄様……どうかなされましたか?」
伊作は部屋の中の雰囲気を感じ取るように視線を動かした。そして、蒼白をちらりと見てから、静かに口を開いた。
伊作は部屋に入ると、静かに視線を巡らせた。よもぎの手元には慎重に調合された毒薬があり、そのそばで蒼白がじっと様子を窺っている。
伊作:「……毒の調合か。」 (低く呟きながら、よもぎの作業を見つめる)
よもぎは手を止め、兄の方へと向き直った。
よもぎ:「はい。これは新しく調合したものです。使い方を慎重に考えなければなりません。」
伊作は眉をひそめ、毒の瓶をちらりと見る。
伊作:「扱い方を誤ると危険だ。お前なら理解していると思うが……細心の注意を払えよ。」
よもぎは静かに頷く。
よもぎ:「もちろんです、兄さん。毒は便利なものですが、それ以上に慎重な管理が必要です。」
蒼白は何も言わず、ただよもぎの手元を見つめていた。その瞳の奥に何を考えているのかはわからない。しかし、冷徹な視線は変わらずそこにある——。
こうして、よもぎは毒の調合を続け、伊作は慎重なまなざしを保ちながらその場に佇んでいた——。
よもぎは慎重に毒の調合を進めながら、静かに口を開いた。
よもぎ:「兄さん、今回の戦いに備えて、新しい毒を作ろうと考えています。」 (落ち着いた声で話す)
伊作はじっとその手元を見つめながら、ゆっくりと頷く。
伊作:「どんなものだ?」
よもぎは淡々と説明を続ける。
よもぎ:「まず、あじさいの葉から毒と薬を抽出しました。これを調合することで、嘔吐やめまいの症状を引き起こすことができます。」
伊作は眉をひそめる。
伊作:「なるほど……毒だけでなく、薬も調合することで効果を細かく調整できるわけか。」
よもぎ:「はい。さらに、すずらんを用いることで、より強力な毒性を加えることができます。そして、キキョウを睡眠薬として活用し、状況に応じて使い分けられるようにしたいのです。」
伊作は腕を組みながら、慎重に考えている様子だった。
伊作:「ずいぶん細かく計算されているな……だが、それだけではないんだろう?」
よもぎは静かに瓶の中の液体を見つめながら、落ち着いた口調で続ける。
よもぎ:「ええ。もう一つ、秘密の毒を作ろうと思っています。」
伊作は目を細める。
伊作:「秘密……?」
よもぎ:「蓬草と、いくつかの素材を組み合わせることで、これまでにない効果を持たせることができるかもしれません。毒性のない素材を基にすることで、気づかれにくい仕組みを作るのが狙いです。」
伊作はしばらく沈黙し、ゆっくりと息をついた。
伊作:「よもぎ、お前なら慎重に扱えると信じている。でも、使い方を誤れば大きな危険を伴うことを忘れるな。」
よもぎはしっかりと頷いた。
よもぎ:「承知しています、兄さん。」
こうして、よもぎの毒の調合はさらに慎重に進められ——その静かな部屋には、白狐の蒼白の冷徹な視線がただ静かに漂っていた——。
そうして戦で忍術学園のみんながもうすぐで出動するときが近づいていた——。
つづく
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