テラーノベル
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そこからのティファニー店員のジンに対する扱いはまるで王様をもてなす様なものだった
まず、見たことも無い様なティファニーブルーの三段のティースタンドが出て来た
桜はアフタヌーンティーも生まれて初めての経験だった、作法も知らず、どこから食べればいいのかわからないと言えば、ジンは食べたい物を食べればいいと、なんと手づかみで本当は食事の締めくくりの、最上段のケーキからむしゃむしゃ食べている
「パク様・・・末永く私共と良いご縁を頂けますように・・・ぜひマリッジリングの方も当ブランドで・・・」
「そうか・・・それもいるな」
ふむ・・・とジンは親指と一指し指で顎を挟んで考えだした
「ただいま秋のフォーマル・ウエディングフェアもやっておりまして、お見受けしました所、ご婚約者様はピアスをされていらっしゃいますので、このリングにぴったりなダイヤのピアスとネックレスもご用意させて頂けます」
「もらおう、カタログを僕の家に届けてくれ、後で彼女に選ばせる、今は時間がないからこれで失礼する、指輪だけもらっていくよ」
なにもかもがあまりにもめまぐるしくて息つく暇もない、ずっとここへ来てから桜は意表をつかれている ジンがバイヤーと刻印の文字フォントデザインを決めたり、保証の話をしている時も、桜はボーッと彼の向かいに座ったまま、薬指に光る指輪を延々、夢見心地で眺めていた
誰の話も食べ物の味もまったくわからなくなった、何度か彼に話しかけられたが、独裁者のような彼を前にしてはもう何も言えなくなった
それから二人はティファニーを後にし、桜はいろいろおまけをつけられた、大きなティファニーブルーの紙袋を3つも抱え、御堂筋のタクシー乗り場でジンと向き合った
夜の騒音とネオンがきらめく中、行き交う人々の喧騒が二人の間を流れていく
「あの・・・いくら偽装とはいえ、なんか、とんだ散財をさせてしまって申し訳ありませんでした・・・指輪は半年したら必ずお返しします」
ジンはタクシーのドアを開けて桜を促す、桜が乗り込むと、屈みこんで座席に座る彼女をじっと見つめた ネオンの光に照らされたジンの顔がいつもより柔らかく見えた
桜もじっと彼を見つめた、また目に見えない・・・なにか熱いモノが二人の間に生じて、どちらも黙り込んでしまった、やがてジンが言った
「今日から君は僕のヨメだ・・・偽装だろうと本物だろうと僕の傍にいる限り、君は世界一幸せに輝く女性でいてほしい、それを忘れないでくれ」
幸せに輝く女性・・・ 桜の心臓がドクンと跳ね、言葉を失った、彼の愛で輝く私?
「大丈夫さ、万事うまくいけば半年後には君は晴れて自由の身になれる、その時にその指輪は売り飛ばすなりなんなり好きにすればいい」
途端にハッキリした理由もないのに彼の言葉になぜか桜は傷ついた気持ちになった
―半年経てば自由の身・・・なんだか悲しい響きだわ―
そんな彼女の気持ちも知らずにジンは軽く微笑んでタクシーから離れるとドアはバタンと閉まった
車が御堂筋のネオンの海に消えていく中、桜は指輪の輝きと、ジンの言葉の重さを胸に切なくなった
コメント
2件
お互い惹かれあってる二人🫶 半年後に関係解消と言わず、このまま永遠に♾(*´˘`*)♡ そうなるといいなぁー✨️
や~ん🤭二人に流れる空気💓もうショートしそうに熱いじゃん⚡️🤩早くフェイクからリアルな関係になれますように🙏😊