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「これより!我々は敵航空母艦にて体当たり攻撃を開始する!」
エンジンの音が鳴り響く、その後にプロペラも音を鳴らす。
一機、一機と空へ羽ばたく、どれもこれも旧式の機体ばかりだ。
日本はもう負ける。私はそう思う。
だがアホな指揮官たちはまだ勝てるなどと信じており、
日本が負けるなどと言ったら引っ叩かれた。
私は何も生きたいとは言っていない。
ただ楽になりたいのだ。
だからこうして特攻をする。
失敗しても死、成功しても死。
どっちにしろ楽になれる。
しばらく飛び、レイテ沖に近づいてきた。
前方に敵機、F6Fヘルキャットの連中だ。
護衛の零戦がヘルキャットへ攻撃する。
その間に我々は逃げるのだ。死ぬために逃げるのだ。
こんな惨めなものがあるのだろうか。
逃げている最中に後ろを見ると真っ青な大空にモワモワ赤い炎が渦巻く。
そうかと思えば次は真っ青な海に沈む。
水しぶきは高く、高く打ち上がる。これは水中地雷に当たったななどと感心する。
敵艦隊が見えた。
航空母艦五隻、戦艦六隻、巡洋艦八隻、輸送艦十五隻。
空母に近づくとすぐに大量の砲弾が飛ぶ。
敵は生きたいようである。さあ、さっさと俺に当てやがれ。
だが敵が下手なのか一向に当たる気配がない。仕方なく近づき、近づき。
もうすぐと言うところでやっと当たり、海に落ちた。
熱い。火が出てら。熱いなあ。
そういや山下や宮本は成功してっかなあ。
あ、いたいた。あいつチキって巡洋艦に体当たりしやがって…無様だなあ。
あの世で煽ってやるかよ…フハハ。
千九百四十四年、十月 レイテ沖ニテ、山本少佐戦死