女子として入学しているので、さすがに二人部屋とかだと困るなと心配していたら、幸いにも個室だった。
こじんまりとしたいい部屋だ。ベッドと勉強机と備え付けのタンスしかない。後は個々で好きなものを持ち込めということだろう。
しかし、阿部先生に言われた次の言葉には戦慄を覚えた。
💚「今、この部屋、鍵が壊れていてね。女の子の部屋だからちょっと不用心なんだけど、業者が来るまでは我慢してくれる?」
💙「マジっすか」
💚「貴重品なんかは、寮母さんが預かってくれるから…。あっ!深澤!!」
通りすがりのパリピ野郎に阿部先生が声を掛けた。ピアスを両耳に合計5個付けてる、金髪のどう見ても素行がいいとは言えなさそうな男だ。
💜「なんすか?阿部ちゃん先生」
💚「こら、先生のことはちゃんと阿部先生と呼びなさい。渡辺さん、この子は、明日からクラスメイトになる深澤辰哉くん。深澤、こちらは渡辺翔子さん。今日から入寮だから色々教えてあげて?」
💜「ふーん」
なんかこいつ、頭の先から爪の先まで舐めるように見やがる…失礼な野郎だな。
💜「先生、この子マジいけてね?超可愛いんだけど」
💚「深澤、風紀はきちんと守ろうか。先週も近くの女子校の生徒、泣かせてただろ」
💜「ちぇっ。知ってたのかよ」
💚「担任教師を舐めるなよ」
二人の会話を聞いて呆気に取られていると、さっきまで黙っていた佐久間が、俺ににやにやしながら耳打ちした。
🩷「深澤は女に手が早いから気を付けろよ」
え、絶対嫌なんですけど。
万一触られたりしたら終わる。
俺は自分の脳に、『深澤辰哉、要注意人物』と書き込んだ。
💙「先生、さっきから少し気になってるんですけど…」
💚「なに?渡辺さん」
💙「この寮って、男女分かれてないんですか…?」
阿部先生は、痛いところを突かれたとでも言うように、漫画でしか聞かないような、あちゃーという言葉とともに答えた。
💚「渡辺さん、知らなかった?この学園の生徒はあなたを入れて7人しかいないんだよ」
💙「えっ!そんなん初めて聞いたんですけど…」
💚「そしてあなた以外は全員男子生徒。だからすこーし寂しいかもしれないけど、みんないい子たちだから安心してね?」
🩷「安心してね?」
語尾を真似して、佐久間が悪魔のような微笑みを浮かべた。
コメント
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安心してって言われてもさ