夕食の時間になり、指示された食堂に行った。本当は食事なんかどうでもいいから、早く寝たかったのだが、佐久間に絶対に来いと言われていたので、無視するわけにはいかなかった。
相手は大恩人の息子。もし気が変わって融資の話がなくなれば、ここまで来た俺の努力も水の泡だ。
食堂に着くと、見覚えのない、やたら背の高いハーフみたいな端正な顔立ちの男と、それよりは少し小さいが、思わず二度見するほどの国宝級イケメンが並んで座っていた。
💙「こんばんはぁ」
なるべく女の子らしく、可愛い声を出すように心掛ける。イケメンはニコッと愛想良く笑ったが、背の高い外人みたいな方は、いきなり挙動不審になり、イケメンの後ろに隠れた。
しかし巨大なので隠れ切れていない。
🖤「こんばんは。深澤先輩が言ってた、転校生の渡辺先輩ですか?」
声も低くて渋い。佐久間のような人工的なイケボではなく、生まれつきのイケメンボイスってやつだ。愛想も良くて感じがいい。俺をちゃんと年上扱いしているのも気に入った。
💙「あの、君は、何年生?」
🖤「あ。俺たちは1年です。今年からこちらにお世話になります。目黒蓮っていいます」
💙「おれ、あ、あたしは渡辺翔子よ。よろしくね。えーと、そっちの…」
俺は目黒の後ろに隠れたまま、長い前髪の奥からこっちをおどおどしながら様子を窺っている男を見た。目黒は俺の視線に気がついて、男の肩を掴み、ぐいっと前に押し出した。
🤍「やっ!やめてよ!!めめ!!!」
💙「めめ?」
🖤「あ。こいつ、俺のことめめって呼ぶんです。あだ名みたいなもんです。みんな呼ぶんで、もしよかったら渡辺先輩も俺のことめめって呼んでください。おい、自己紹介くらいしろよ」
🤍「らう」
男はぶっきらぼうにそう言った。前髪でよく見えないが、恥ずかしがっているようにも見える。
💙「らう?」
🖤「すみません、ラウールっていいます。俺と同じ1年生です」
💙「はは…。仲、いいんだね」
🖤「すみません、ラウールは、女の人が苦手なんです」
どこまでも礼儀正しいめめは、ラウールをフォローしている。1年生のめめとラウールね。よし、覚えた。
そこへ、佐久間が深澤ともう一人を引き連れて食堂へ入って来た。
また新顔だ。
佐久間と深澤より頭ひとつ分でかい男。顔が小さいので、深澤の顔がでかく見える。均整の取れたスタイルで、太くはないがかなり筋肉質だ。パーマがかかった頭をしている。目つきはあまり良くない。
🩷「おー!蓮とラウールは自己紹介したのか?」
🖤「今終わったところ。ラウが緊張しちゃってさ」
💜「しゃーねーなー。チェリーボーイはふっかさんが教育してやんねえとな」
一気に食堂が騒がしくなる。パーマ男は俺を見て、軽く頭を下げた。
💛「ちっす」
💙「おう」
💛「?」
💙「やだ!あたしったら。こんばんはぁ!」
油断するとすぐに男言葉が出てしまう。佐久間が呆れたように俺を見た。
深澤が、急に俺の横に来て、肩に馴れ馴れしく腕を回して来た。
💜「こんばんは!翔子ちゃん、やっぱり可愛いねえ」
💙「はっ、離してくださいっ」
しかし深澤は構わず、パーマ男に俺を紹介した。
💜「照。あ、翔子ちゃん、こいつ、2年で照っていうんだけど。俺らの後輩ね。で、このかわい子ちゃんが渡辺翔子ちゃん!!」
💛「あ。先輩なんすね。俺、岩本照っていいます」
💙「よろしくぅーー」
もうヤケになって、俺は愛想良く笑った。少し照の顔が赤くなった気がしたが、ラウールほどではない。本当は違うけど、紅一点みたいなもんだから緊張してるんだろう。
俺は深澤の腕をすり抜けて、佐久間の隣りに逃げた。
💙「あと一人、いますよね?」
🩷「あー。まだ来てないんだよ。翔子ちゃんと同じ転校生なんだけど…」
ガララッ。
廊下から食堂に通じる引き戸が開いて、見慣れた男が入って来た。
💙「り、涼太ぁ?????」
❤️「やあ、ちょっと久しぶりだね」
戸口には俺の幼なじみで、春休みに会えなかった宮舘涼太が立っていた。
コメント
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こういう話し好き🫶 めちゃ面白くて続き楽しみです♪
まさかの舘様登場‼️これからどんなふうに話が進むのか、楽しみ〜🎵