テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
人間は不必要だ。
世間は理不尽だ。
大人は不公平だ。
子供は不効率だ。
人生は無意味だ。
そんな、社会に混ざれないような思いが、私の足を止める。
そんな、世間に認められないような声が、私の道を隠す。
こんな社会不適合者は、ずっと暗い6畳の部屋でゲームをして時間を潰しているのだ。
それが私、宮野魁《みやのかい》だ。
【どうも、社会不適合者です 】𝐬𝐭𝐚𝐫𝐭
小さい頃の記憶はあまりない。ただ単に忘れてしまったのか、忘れようとしたのかも定かではない。だが、あまりいい記憶が残っていないので、恐らく忘れようとしたのだろう。
今は中学校にもいかず、ずっとこの散らかった部屋にこもっている。
両親は早くに他界した。私がずっと小さい頃、車の衝突事故で亡くなったらしい。私は5個上の兄に育てられた。宮野月兎(ルト)だ。
今は大学とバイトを両立しながら私を育ててくれている。両親が残してくれたお金はなるべく使いたくないらしい。
「魁、ご飯食べよう」
兄が部屋のドアを開ける。ノックがないのはいつもの事だ。
兄は学校に行こうとしない私を責めることは無い。でも、食事だけは一緒にしようとする。それが私にはよくわからない。ご飯なんていつでも一緒に食べられる。それより学校に行かせる方が兄としても助かるのではないかと思うのだ。
「いただきます 」
きゅうりの浅漬け、白米、豚肉の生姜焼き、味噌汁、オレンジ。それが今日の夜ご飯だ。
兄の料理は最高だ。私にとって一日の楽しみは兄の料理でもある。美味しいものは誰でも吸い付くだろう。人間の三大欲求のひとつなのだから。
「今日は大変だったんだ。上司の上田さんがいつも不機嫌なのは言っただろう?それが今日はダントツで悪い日だったんだよ。社内がピリピリしているのを肌で感じたなあ 」
「そうなんだ」
兄が沢山話すのに対して私は喋らない。それでも兄は話し続ける。いつもの会話だ。
こんな日々が続けばいい。そう思っていたのに、なぜ環境というのはすぐ変わるのか。
8月10日、夏休み。兄が死んだ