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亮平Side
……おかしい。佐久間と一緒に照を捜索していた俺は、そう思った。
だって、あまりにも人がいなさすぎるし照がこんなタイミングで外出する訳がない。絶対、誰か……いや、悪魔に連れ去られているとしか考えられなかった。
そうなれば、ドラゴンもいるとはいえここで動き回っている俺たちも危ない。
💚「ねえ、佐久間……」
俺の前に座る佐久間に声をかけた時だった。
ビシャン!!と大きな音が鳴り、視界が真っ白に染まった。気がつくと俺の体は傾き、地面に向かって真っ逆さまに落ちていた。
雷に打たれたんだと分かったのは、しばらくしてからのことだった。
佐久間が何か必死に叫んでいるのが見える。雷にやられたのか、声は何も聞こえない。体も動かせない。
……それにしても、なんで俺だけピンポイントで雷に打たれたのだろう。佐久間とドラゴンに一切の害がないことがおかしい。
一体どうして……
そこまで考えたところで、俺の意識は途切れた。
柔らかいものに当たった感触がして、俺は目を覚ました。
目の前にはカラフルな毛皮がたくさん。高くそびえるそれは、いったい何なんだろう。というか、ここどこ?
毛皮によじ登ろうとした時、俺は声にならない悲鳴をあげた。……毛皮に、目がある。それもギョロっとしていて、大きくはっきりと。それらが毛皮ではなくモンスターだということを理解するのに、時間はかからなかった。
💚「嘘、でしょ……」
逃げたくなってそっと毛皮をかき分けて透明な壁の外を見ると、どこかの家だということは分かるが違和感しか感じなかった。家具が、大きいのだ。
💚「え、何で?」
「ヨウコソ、シンイリ」
💚「ひっ……!」
後ろから声がして振り向くと、俺と同じ空間にいるモンスターたちが全員揃って俺を見つめていた。
「ココハ、クレーンゲームノ ナカ。アレデ ツリアゲラレル マデ、ココカラ デラレナイ」
💚「クレーンゲーム……?てことは、俺の体は今景品サイズってこと……?!」
「リカイガ ハヤクテ、タスカル」
どうなってるんだ?俺はさっきまで、佐久間と一緒にいたはずなのに!
「ア、キタ」
「シュジンダ」
「キョウハ ダレガ ソトニデル?」
モンスターの声で顔を上げると、そこにはクレーンゲームを覗き込む大きな顔が。そしてその顔は、
💚「だ、舘様……?!」
俺のよく知る人だった。
コメント
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シングル発売まで1日1話更新するつもりが、昨日出来なかったので本日2話更新いたします! 続きもお楽しみに☺️