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涼太Side
俺は、悪魔だ。それも翔太に従順な。俺を悪魔にしたのは翔太で、何があっても翔太に逆らうことはできない。
――自分が悪魔だと気づいたのは、学生の頃にこの街に戻ってきて翔太と再開した時。翔太が不敵な笑みを浮かべて、真っ赤な目で俺を見つめた時、俺の中の”ナニカ”が俺の理性を押しのけて好き勝手動き出した。俺の意思とは関係なく、翔太の指示のままに動く体は自分のものとは思えなかったけど、翔太といれるなら何でもいいやと思って受け入れてしまった。
それから俺は、悪魔と共存生活をしながら翔太の目的のために動いてきた。ターゲットが例えメンバーであっても、俺は反抗しない。反抗できない。
💚「だ、舘様……?!」
クレーンゲームの中で怯えている阿部の姿が、とても愛おしく思えた。阿部をここに入れたのは俺。全部翔太の指示でやっている。
悪魔といる時間が長すぎて、俺の感情もおかしくなっているみたいだ。これから阿部も俺みたいになるんだと考えたら、とてもワクワクした。
❤️「阿部、閉じ込められちゃってるの?」
何も知らないフリをして、俺は阿部に声をかけた。
💚「舘様助けて!俺こんなところにいたくない……!」
❤️「そうだよね、そんな狭いところにいたくないよね……でも、もう少しだけ待ってね。ふっかが来たら、助けてあげれるから」
半分嘘で、半分本当。今照のところに行ってるふっかがこれから来るのは本当。でも、阿部を助けるなんてことはしない。翔太の暗示にかかるように、中でとある仕掛けを施してから外に出すのだ。
ホッと安心した表情を浮かべる阿部が、可哀想で愛おしかった。
❤️「じゃあ、ごめんね、阿部」
俺はそう言ってその場を離れる。翔太に呼ばれたのだ、ふっかと交代してって。阿部が何か言っていたけど、翔太の指示には逆らえないから無視を続けた。
さて、次に阿部と会えるのはいつになるかなぁ?
にやけが止まらないまま部屋を出ると、阿部のところに向かうふっかと指示を出したであろう翔太の姿があった。
💜「だて、ありがと!あとは任せて〜」
ふっかは俺の肩をポンと叩いて部屋の中に入っていく。
奥にいた翔太はふっかに続いて歩く。
💙「よくやった、涼太」
俺とすれ違う瞬間にそう囁かれ、俺の心は満たされた。