テラーノベル
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めあ
43
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#ネタバレ注意
るあ
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#イケメン
蒼乃 月
828
「こっちの切り抜き動画見てよ、みんなこの日焼け止め使って「日焼けタトゥー」をしているよ」
「パッケージも可愛いって美容クリエイター達がこぞって褒めてるぞ」
「どうして哺乳瓶なんだ?」
「わかんないけど、とにかく可愛いからいいんじゃない?」
アハハハハッ「最後にみんな必ず(ファンタスティック)って叫ぶんだねおもしろ~い」
「どの広告にも若さがあってとにかく斬新だな、この暴れているクリエイターに突っ込んでる、スターウォーズのような字幕が面白い」
「そしてとっても楽しいよ、ねぇ、僕この日焼け止め欲しくなっちゃった、帰りにマツキヨ寄ろうよ、これ考えたの誰だろうね?企画部長は?」
文也がコーヒーを啜りながら言う
「この若くて独創的な発想は佐竹部長、アイツでは絶対無理だな、なにせ彼女を昭和のオジサンのようなセクハラをしていたぐらいだ」
宗一郎もカップを口元に持っていった
「それじゃ、逃げている彼女のお兄さんの神崎豊本人?」
「いや・・・以前に会ったことがあるが、そもそも広告を考えれるような男には見えなかった、この会社にはいずれも他では思いつかないような独創的で、斬新な広告を作る人物がいる」
その時、竜馬の頭に神崎ジェニの姿が浮かんだ
ピンクのハートが突いたジェルネイル、超ミニスカートのスーツ姿に網タイツ、10センチのピンヒール、蛍光黄色チェーンのついたスマホケース、ジャングルのような観葉植物に、熱帯魚にハムスター、ここ一日で、さまざまな彼女の様子が浮かんでくる、竜馬がポツリと呟いた
「仕事の仕方もそうとう変わってる」
前かがみになってもう一度、最初からジェニ達が作った動画広告を見なおす
「それなら早くその人物を特定して契約でがんじがらめにした方がいいぞ、他に行かれてライバルになるとやっかいだ、うわっなんだ?これ・・・もっとマシなの買って来いよ」
宗一郎がテイクアウトのスタバのコーヒーを飲んでマジマジと成分シールを見る
「季節限定の抹茶ラテだよ、下のスタバの新商品だ、女子高生の列に並んだんだぜ」
「甘すぎて飲めたものじゃない」
文也が不味そうな顔の宗一郎をアッサリ受け流して言っているのを竜馬が横目で見る、ここで認めるつもりはなかったが、たしかに彼女達の広告は購入意欲を持たせるキラリと光るセンスがあった。長年商社の代表をやってきた竜馬も、需要があるものにはピンとくる、久しぶりに闘志が湧いた、そして二人に言った
「いずれにしても、必ずその人物を突き止める」
.:・.。. .。.:・
終了時間はとっくに過ぎ、オフィスには誰もいなくなった
真新しいフロアでジェニは自分のデスクの床にあぐらをかいて座り、ノートPC2台とスマホ3台、今は就業時間なのでスーツを脱ぎ、リラックスした大きな白Tシャツに、紫のヨガパンツに着替え、耳にはワイヤレスマイクを突っ込んでいる
「ええ・・・ハイ、ですから社長は体調を崩していまして、いえいえ・・・行方不明何てとんでもない、安心してください社長、不在でも優秀なチームスタッフがこの案件を素晴らしいものにしてくれていますよ」
ワイヤレスマイクでクライアントと話しながら、同時に片手で動画チェックのためのマウスをカチャカチャ動かしている
「ハイ・・・ハイ・・・そう言っていただけると本当に助かります。我が社の動画クリエイターの屈指の策でしょ、とてもあの字幕は評判良いんです、今度の案件も最高の動画広告のアイディアがあるんですよ、ですからプレゼンを楽しみにしていて下さいね、本当に驚かせますから」
ジェニは顧客の対応に追われながら電話を切ると、段ボールの箱をつぶし、リサイクルボックスに放りこみ、次にスケジュール表に日程を書き込む、そして何かひらめいたのかアイスクリームの形をした付箋に、また何か書き込んで、ホワイトボードにペタリと張り付けた
そして、う~んと両手を上にあげて伸びをし、メビウスオフィスビルの天井まである羽目板のガラス窓から外の景色を眺めた
21階のここからは夜景が見えてとても美しい・・・夕闇が迫り、沢山のタワービルの窓に次々と照明が灯る、市内のランドマークHEP FIVEの赤い観覧車がキラキラ光りながらゆっくり回っている
気が付くと、ジェニはこの一週間で今が一番心の安らぎを得ていた。地上階までガラス張りのエレベーターを使えるとか、一階のスターバックスのメニューの豊富さや、トイレの綺麗さに喜んでいる社員達の顔を思い出す
会社を買収されて、こんな素敵なオフィスに引っ越しできたのは思いもよらない幸運だったのかもしれない
この会社ならもっと大きく飛躍して、ジェニ達の社員を成長させてくれるかもしれない、役員達を除いて、人員削除を止めてくれればの話だが・・・
さらにこのフロアは、幸いデスクと椅子が豊富で、フレキシブルなんちゃらを導入しなくて済みそうだ、デスクと椅子は社員全員に行き渡った
観葉植物たちはこのフロアに数個は置くが、残りのジャングルのような植物たちは、藤子が瞬く間にここのビルの1階の守衛さん達と仲良くなって、しばらくは守衛室に置いてもらえるようになった
藤子はここぞとばかりに、得意の「人たらし」の魅力を発揮し、観葉植物全てに名札を付け、今では守衛室で手厚く可愛がってもらっている
ニモとドリーとハム太郎も、とりあえず貰い手が決まるまでここで飼うことにした
それにしてもあの松下竜馬は、自分のビジネスの成長以外何も眼中にない男だ
コメント
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読み終えました!第13話、すごく面白かったです。ジェニの働きぶりがめちゃくちゃかっこよくて、クライアント対応しながら動画チェックとスケジュール管理を同時にこなす描写に「プロだなあ」と感動しました。一方で竜馬が「あの広告センス、もしかして…」とジェニに気づきかけてる流れが絶妙で、次の展開が気になりすぎます。オフィスの新しい環境に少しずつ馴染んでいくジェニたちの姿も温かくて好きです。