テラーノベル
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ミズキは口渇で目が覚める。
夕食は聞いていた通りの料理が並んでおり、ひとくち食べたリョウと片瀬の顔は死んでいた。
(青唐辛子はダメだって。 )
安全だろうと思って食べた料理にはみじん切りしたピーマンに混ざり青唐辛子がふんだんに使われていた。
水を飲み時計をみる。まだ日の出までは時間がありそうだ。
ミズキは全て飲み干すとジャージに着替える。
いつもとは違い、海沿いのコースを走る。普段ならハルと花村の賑やかな声がするのに、今は1人波の音を聞いている。
「おーい!」
後ろからリョウの声がした。
「おはよう!早いね!俺もいい?」
「おはようございます。どうぞ。」
「昨日は凄かったね、お腹痛くない?」
「大丈夫です。」
しばらく無言のまま並走する。先に口を開いたのはリョウだ。
「今日はなにするんだろうね。チームワークがって言われてたけど。」
「そうですね。」
「片瀬とはうまくやれそ?」
「指示されたことをするだけです。」
「うーん•••。」
リョウが少し困った顔をする。
「なんて言うの•••あのー、ミズキちゃんは、今まで会ってきた女の子と全然タイプが違う!」
「タイプ?」
「そう!」
リョウが立ち止まると合わせてミズキも立ち止まった。
「俺、姉貴が3人いるんだけど、それともまた違うタイプだし。それに友達と遊んだことある? 」
さらりと痛い所を突かれる。
「•••ないです。」
「やっぱりー!自律してる姿も素敵だけど、訓練じゃない時はリラックスだよ、リラックス!」
「はぁ•••。」
ミズキの肩をぽんぽんと叩き力説する。
「まずは俺には敬語やめてみよ?」
「•••。」
「や め て み よ ?」
意外と圧が強い。めんどくさいと思いながらミズキはうなずいた。
「じゃあ決まり!呼び方もリョウでいいからね!」
「うん。」
「じゃあ続き走ろ!」
2日目の訓練が言い渡される。
それぞれ別々の部屋に入り、トランシーバーで意志疎通を図りながら謎解きをするようだ。
放送から平野の声がする。
「各々の謎解きのヒントは別のチームメイトの部屋にあります。最後の謎解きは一緒に答えを出さないと出られないようになっています。1人で出てきたチームは最初からやり直しで訓練終われませんから、よろしくお願いしますね。」
そう言って放送は切れた。
「だってさ。片瀬、わかった? 」
「•••不本意だが、やるしかないみたいだな。」
「お願いします。」
上官達は別室で個人個人の部屋のモニタリングをしていた。
「ふふふ、昨日のご飯会があったから、あのチームは少しはマシになりましたかね。」
少し嬉しそうな顔をして平野はミズキのモニターを見ていた。
(午後からは実践練習ですから、まずはミズキちゃんから手合わせしたいです。)
「平野、なにニヤニヤしている。」
「おや瓜生、珍しい。どうしました? 」
「見回りだ。お前の新人達はよくやってくれているよ。手間がかからん。で、ミズキちゃんはどうだ? 」
「能力は高いんだと思いますが、どうも意志疎通は苦手みたいですね。」
「そうか。ま、ハルよりは迷惑かけてないな。」
「おや、賑やかな子ですか?早く会いたいなぁ。」
「あんまりからかってやるなよ。それより先日の件だが。」
「なにかわかりました?」
「下っ端の狂信者からチップが見つかった。どうやら俺達の武器と似たような原理らしい。」
「そうですか。それはまたやっかいな。」
「•••。」
瓜生でも平野と話すと調子が狂うらしい。
そんな時、モニター越しから怒号が聞こえた。
「おい!お前、俺をバカにしてんのか!?」
「していません。それに指示されたことをしていれば解けますが?」
「はぁぁあ!?どこがだよ!」
そこには一方的に怒鳴る片瀬と冷静に反撃するミズキの姿があった。
「•••ミズキちゃん•••。」
瓜生が頭を抱えた。
「2人とも、落ち着いて。言い争ってる暇はないよ。 」
「は!どうせ昨日の仕返しだろ?女は陰湿だからなぁ。力で勝てないとわかったらこれか?」
「あなたの頭が猿以下だからでしょう?だからこんな簡単なことも理解できないんですよ。」
「なんだと!?」
売り言葉に買い言葉で建設的な話し合いなど無理な状況だ。
今までは片瀬のヒントはリョウが出しており、片瀬がミズキのヒントを出していたためなんとかなっていたのだが、最終問題に来てミズキから片瀬にヒントを伝える事になるとは、まさかの事態になった。
リョウは片瀬が理解できない部分を察して、わかるように提示していたのだが、 ミズキは自分が問題の答えを理解できてしまうため、片瀬がなにがわからないのか理解できないのだ。
「とにかく、どんな問題か教えて欲しいなぁ。」
「アナタのあさごはんはいつもなんじ?」
「へ?」
「だから、問題文が”アナタのあさごはん”はいつもなんじ?なんだって。」
「•••。」
まさかの頼みの綱のリョウまで無言になってしまった。
「ほら言ったろ!」
「私はそのままを伝えています。」
「ミズキちゃん、その問題文になにかない?」
「なにかって?」
「例えば変な文節で切ってたり、誇張されてたり、句読点があったり、なんでもいい。」
「アナタのあさごはんが”で区切られてる。それにあさごはんは全部平仮名だし、アナタは片仮名で書かれてる。」
「•••片瀬君、今のヒント聞こえたでしょ?」
しばらくの沈黙のあと、リョウが片瀬に聞いた。
「聞こえたが、俺はいつも6時には朝飯食べるわ。」
「時間を聞いてるんじゃないよ。じを別の漢字に変換して。」
「じ?何時、難事、何字•••字か!じゃあ9が正解だな!」
各々の数字を入力すると、重たい扉のロックが解除された。
「片瀬、か、覚えておいてやろう。」
にこやかにはしているが、瓜生の顔に血管が浮かび上がる。
「まぁまぁ、最下位だけど、無事に脱出できましたね。よかったよかった。」
そんな時、サイレンが響き渡った。
「なんてタイミングなんでしょうか。屍さん達から来てくれるなんて。」
「俺も行こう。」
「ならあの2チームをお願いします。私はミズキちゃんのチームを担当しますので。」
そう言って平野はミズキ達の元へ向かう。
「瓜生大将、あとは我々が。」
「いや、頼まれたのは俺だ。フォローは頼む。」
「はっ!」
そうして瓜生も残りのチームを迎えに行き、現場へと向かった。
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