幸福の国
行き交う人 欠伸をして屋根の上から月を観る
見つめてくる黒い猫
「お前の飯はねぇぞ」
顔も知らない親に捨てられ
ゴミ捨て場で集めた今日の飯
生きるために必要なら
「奪い取れ……」
「今日はどの店にしようかなあ」
「ん?」
看板には意味深な文言
『幸福の種 在庫残り僅か』
蝶番の取れた扉に手を掛けた
いつもの俺はまず“危機回避”
されど枯れた好奇心が勝った?
小さな瓶の中を覗き込む
「やぁ少年よ ここは君の来る場所じゃない」
「世界に遊び飽きた頃またおいで?」
「っ、」
息が詰まる。
「やめろ!!!」
掴まれた腕を噛み付いて振り払う
ばらまいた赤い一粒の種くわえて
走った
……
「あっ」
「飲んじゃったぁ……❊」
なんだかへんだ
ふわふわして
ぽかぽかして
ぜんぶがここちいー
しあわせとは
こんなものか
どーでもいーけど。
「にゃあ」
少年よ 呆けた顔でだらしのない
世界に奪われた全てを思い出せ
『家族』『居場所』『愛情』『自由』
にゃあにゃあにゃあと耳元で喧しい声
このまま永遠に眠っていたいとさえ想ったのに
にゃあにゃあにゃあ
🐈⬛🌙🐾
にゃあにゃあにゃあ
ဗီူ◼🌙👣
♪
町中が幸せを求めてあの店には長い長い行列
幸福という名の枷を手に掛けた
看板には不可解な文言
『幸福の意味 在庫切れ』
「だったら幸せはどこにある?」
ちいさなぽかぽかはここにある
「なぁ黒いの」
「幸せってなんだと思う?」
「俺はさこんなでも十分楽しいぜ」
「ん?」
振り向けば 影の中に姿は無く
聞き慣れたあの声が1度だけ遠く響いた
「にゃあ」
やはりあの親にしてこの子あり
そなたもまた狐の子は面白
広い世界で少年よさぁ
何を望む?
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幸福の国/Kish.
歌唱/本家:狐子&星界
出演/目が紫の男、紫髪の男、目が紫の黒猫
出演/天馬司、神代類、(草薙寧々)