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「血、飲ませてくれん?」
「あ?」
これが休みの日の早朝、急に押しかけてきたやつの第一声である。
「ごめんてええ。ストック切れちゃったんだよ」
「…..本音は?」
「喉乾いててグイグイ飲んでたら気づいたらなくなってた☆」
「ざけんな殺すぞ」
俺は週の初めに試験管7本(チーノ用意)に血を注ぎ渡す。なんでも吸血鬼のちが入ってるチーノのには血は副食らしい。主食ちゃうんかい。でも飲まんと暴走して4ぬらしく、仕方なく渡している。仕方なく。
「ちょっと飲ませてよ」
「やだ」
「少しだけ!!」
「…..そんなに飲みたいなら献血トラックでも襲えば?」
「俺を犯罪者にするおつもりで?」
「なんか今そういうのも認める世の中になってるらしいぞ」
「嘘ぉ!?」
「ほんとほんと(嘘)」
チーノはちょいちょいこんな風に家に来る。試験管でいいもののこういう時は絶対直接飲もうとする。
「…..まあ冗談はさておき」
ほら、やっぱり。
「吸血鬼の本能だからね。やっぱ直接吸いたい欲求はあるわけよ」
「あーー、もう。分かった分かった。」
チーノの雰囲気は一変、黒目は紅に染まり、口元の牙は鋭くなっている。それは人間のものではなく、吸血鬼独自の妖艶な色気でもあった。「いいよね?」
…..どうせ抵抗しても意味無いし。俯いたまま黙って頷いた。