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南無は、ただ者ではない。勘が鋭すぎる。
「あいつ、危ねぇな。」
そう呟いたのは、港が海に向かって出発してからわずか数分後。
南無は自転車をすぐに引き寄せ、スピードを上げて海へと向かった。彼の直感は、常に間違っていない。
「法師、僕は行くからお前は待機してろ。」
南無は法師に短く指示を出すと、風を切って海の方向へ向かう。
その頃、港はすでに命の危機に瀕していた。
シーレイヴンとの激闘の結果、彼は予想以上に深刻な状態だ。全身を打ち付けられ、骨折に内臓損傷。心肺停止の状態で、港の体は無意識のまま波間に浮かんでいた。
シーレイヴンは、港を放置していた。
「ふむ、もう少し面白いと思ったんだがな。」
彼は冷ややかな目で港を見下ろし、そして何かを感じ取ったのか、手をひらひらと振った。
「別にいい、だがここで死なれてもつまらん。」
自転車のタイヤが砂浜を走り抜ける音が響く。南無が到着したのは、その直後だった。
「……くそ、間に合ったか?」
南無は深刻な表情で海岸に足を踏み入れ、倒れている港を発見する。
「港!おい、港!」
南無は駆け寄り、すぐに港の体を確認した。まるで死んでいるかのように動かない彼の体を、彼は手早くチェックする。
「心肺停止……まじかよ、 僕が一歩遅かったら。」
そのまま、南無は冷静に行動を始めた。周囲の異常を察知しつつ、港を急いで自分の背に乗せ、すぐに手を使って治療を施す準備を整えた。
その間、シーレイヴンは後ろで微笑んでいたが、南無の登場を予期していた様子だった。
「なるほど、君か。だが、もう遅いよ。」
シーレイヴンはゆっくりと歩み寄りながら言ったが、その時、南無の姿を見て驚いた。
「――幼女?」
南無の姿に、シーレイヴンが一瞬目を丸くした。
「ただの狩り手だ。」
南無は答えたが、まるで冷ややかな冗談を言うような余裕を見せる。
そのとき、法師が後ろから静かに現れる。
「南無さん、すぐに港さんを治療しないと。」
法師は冷静に言いながら、何かを感じ取った様子で周囲を警戒する。
南無は、港の命を救うために必死だったが、シーレイヴンは次々と海から強力な水の使い魔を召喚し、狩り手たちを包囲しようとした。
「南無、あんたが来たせいで少しだけ面白くなった。だが、これで終わりだ。」
シーレイヴンは薄く笑う。
「どうした、もう諦めるのか?」
南無は、港を助けるため、ついに本気を出す。
次回、真の力を解放する――。