その後のおまけ話という蛇足
あの記念日事件から十数日後くらい
らっだぁ視点
(…喉ちょっとイガイガするな)
夜中に目が覚めた。喉が渇いたのか、最近配信で叫びすぎたからなのか、水が欲しくなった。
隣で寝ているぺいんとを起こさないようにそろりそろりとベッドを抜け出し、台所へ向かう。
台所でコップに水を汲み、コクコクと飲み干す。しかし喉の妙なイガイガ感はまだ残っていた。
(ん〜…のど飴でも舐めるか)
(たしかお菓子の引き出しに入ってたような)
そう思い引き出しを開けるが、どうやらのど飴は入っていないようだった。
(そういや切らしてたんだっけか。…しょうがない、コンビニに買いに行くかぁ )
財布とスマホをポケットに入れ、玄関に行って靴を履く。
そして玄関のドアに手をかけた時、
唐突に、以前の出来事が脳裏をよぎった。
「……ッ、?」
(あれ、あれ?こわい、なんで、こわい、)
夜で、ひとりで、外に。
あの日と条件が被っていて、鮮明にあの時のことが頭の中で再体験される。
「…は、はっ、はッ、ハッ、」
息が速くなる。視界が暗く狭くなる。動けなくなってドアの取っ手を掴んだまま手が離れない。視界がブラックアウトし、目の前の光景があの時の出来事の映像に置き換わっていく。冷や汗は垂れ、涙が滲み、震えが止まらない。頭の中が「怖い」という言葉で埋め尽くされる。
たすけて、たすけて、たすけて
ぺいんと視点
「…んぅ…」
モゾ、と身動ぎ、無意識にらっだぁの方へ手を向ける。しかし人の感触はなく、シーツを撫でただけだった。不思議に思い、目を開けると、そこにらっだぁはいなかった。
トイレかな?と思い、俺もついでにトイレしようとベッドを抜け出す。そしてトイレに向かうが、らっだぁはいない。じゃあ水飲みに行ったのかな?と思い、台所を覗く。だがまたしてもらっだぁはいない。
(あれ〜…?作業部屋か…?)
そう思い作業部屋に向かおうと玄関を通り過ぎようとしたとき、テンポの速い呼吸音が聞こえた。びっくりして玄関の方を見ると、
ドアの取っ手を握ったまま立ちつくすらっだぁの姿があった。
「らだ?何して…」
話しかけようとして、様子がおかしいことに気づいた。震えているし、呼吸が速くて吸ってばかりのように聞こえる。
(…もしかして過呼吸!?)
「らだ!どうしたの!らだ!?」
慌ててらっだぁの肩を掴み軽くゆすった。反応はなく、らっだぁは虚空を凝視して怯えている。ぶつぶつと何か言っているのでよく聞いてみると、か細く「たすけて、たすけて、ぺいんと、こわい、たすけて」と連呼している。
「らだ!俺はここにいるよ!ここは安全だから、大丈夫だ!」
必死に呼びかけていると、らっだぁは俺に気づいたようで、呼吸を乱しながら俺の名前を呼んだ。
「らだ、大丈夫、大丈夫だから、息吐いて。そう、上手。俺に合わせて」
らっだぁを抱きしめ背中をさすりながら、お手本のように深呼吸する。らっだぁは俺の呼吸に合わせ、息を吸って吐いてを繰り返す。すると力が抜けたのか、立ってられなさそうだったので2人して玄関に座り込んだ。
しばらくそうしていると、だんだんとらっだぁは正常な呼吸を取り戻した。
「…らだ、落ち着いた?」
「…うん、ありがとうぺんちゃん。たすかった」
いつのまにか震えも収まったみたいだ。らっだぁは「いやーごめんね〜びっくりさせて。自分でもびっくりしたわ〜」と眉尻を下げ笑う。
「マジでびっくりしたよ……何があったの?」
「えっと〜……はは、なんか外出ようとしたら前のこと思い出しちゃって。夜ひとりで出るのダメっぽい。コンビニ行きたかっただけなんだけどな〜」
「起こしてくれればよかったのに!全然一緒に行くしなんなら俺だけで行くよ」
「や、こんなちょっとのことで起こすの悪いなって思ったし…まさかここまで怖くなるって思ってなかったから」
らっだぁは気まずそうに目を逸らす。
「……らだ。俺はお前が大事だから、なるべく怖い思いをしてほしくないし、頼ってほしい。だから約束な。これからはちゃんと頼ること!」
「…うん、わかった。ありがとうねぺんちゃん。それに俺だってあんな思い二度とごめんだしな」
2人の小指を絡め、指切りげんまんをする。
俺は、恋人としてコイツを一生守っていくと心に誓った。
コメント
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🧣…。そうだよね…あの糞モブのせいで…(^^)💢。外に出るの怖くなっちゃったの最悪なんだが?まぁ、あの糞モブは始末しといたから安心してほしいわ〜…。てか、ごまちゃんの作品ハマりすぎて生活の一部になってるんだがっ…!?これだから、ごまちゃん推しはやめられないんだよ…✨️!