テラーノベル
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コメント
1件
うわっ、朝っぱらから食堂全焼とかテルたち災難すぎる!!(笑)でも各キャラの反応が個性爆発しててめっちゃ好き。鈴凛の冷静さ、ラテのしっぽ焦げた悲鳴、フローの水の剣かっこよかったし、最後のルカの登場で一気に不穏な空気になるところ、やばい。続きが気になる🔥
#魔王
青空美空
8
ruruha
1,272
298
於田縫紀
1,848
◆
朝。
東棟には、まだ静かな時間が流れていた。
窓から差し込む柔らかな朝日が廊下を照らし、小鳥のさえずりだけが静かに響く。
テルは手帳を片手に、今日の予定を一つずつ確認していた。
「朝食は昨日の余り物……。」
一つ頷き、次の予定へ目を移す。
「洗濯物を取り込んで……部屋の掃除……。」
「……。」
少し考えてから、小さく息をつく。
「とりあえず、ゴミ出しからやろう……。」
そう歩き出した、その時だった。
「テルさーーん!!」
廊下の向こうから、切羽詰まった声が響く。
ボリュームのある金髪を揺らし、羽耳が揺れている。焦ったような表情をしたニアがやってきた。
「はーい、ニアさん。何か……」
「食堂が燃えてるよぉ!!」
「…………え?」
数秒。
テルの思考が完全に止まる。
「……え!?」
◇
「な、なんで燃えてんのよ!?」
食堂の前ではリーナが思わず叫んでいた。
立ち込める煙に思わず咳き込む。
「ごほっ……こほっ……!」
隣には銀色の髪を持つ少女。鈴凛は腕を組んだまま、燃え上がる食堂をじっと見つめる。
「我に言われても分からないアル。」
「なんであんたはそんなに冷静なのよ!?」
「慌てても火は消えないアル。」
茶髪のボブカットが揺れ、猫耳がピンと立った。 ラテが涙目でしっぽを抱える。
「しっぽが燃えるにゃぁぁ!!」
「ちょっ……燃えてるって、どういう……。」
ようやく駆けつけたテルは、その光景を見て言葉を失った。まさに絶句。
「………。」
食堂の窓から炎が吹き出し、黒い煙が空へ立ち上っている。
どう見ても”ちょっとしたボヤ”では済まない。
「火事ってレベルじゃないわよ!!」
リーナが頭を抱える。
「えっ、見て!」
ニアが何かを指差した。
「あの子!」
炎の中を、小さな赤い影が駆け回っている。
「この特徴……サラマンダーだよ!」
「確か、この模様は……ブレイズサラマンダー!」
「そいつが悪さしてるというわけアルか。」
鈴凛は静かに頷く。
「こいつ、どこから来たにゃ?」
ラテは恐る恐る一歩後ろへ下がった。
「そんなの今はどうでもいいわよ!」
「危ないから離れなさいってば!」
「というか。」
鈴凛は西棟の方向へ視線を向ける。
「このままじゃ、西棟まで燃え移るアルよ。」
「にゃっ!?」
ラテの耳がぴんと立つ。
「それはまずいにゃ……!」
テルは頭を抱えてその場をぐるぐる歩き始める。
「ヤバいヤバいヤバいどうしようこれ。」
そんなテルをリーナが戒める。
「あんたは正気に戻りなさいって!」
「ご、ごめんなさい!」
その時だった。
「みんなどうしたんだい?」
キリッとした声が響く。青髪のショートカットに十字架のブレスレットが炎に照らされ輝いている。
「なんだか焦げくさ……。」
食堂を見たフローは動きを止めた。
「…………。」
「も、燃えてる……。」
「フローちゃん!!」
ニアの目が輝く。
「そうだ!」
「フローちゃんの水で、あれ何とかできない!?」
「それは名案にゃ!」
ラテも勢いよく頷く。
「水に濡れるのは嫌にゃけど……」
「え、えっと、ちょっと事情はよく分からないけれど……。」
フローは少し戸惑いながらも静かに頷く。
「分かったよ。 ボクに任せて。」
「やっとまともなやつが来たアル。」
鈴凛が小さく呟く。
フローは静かに一歩前へ出る。
空気中の水分が集まり、一振りの透き通った水の剣を形作る。
「……はぁっ!!」
一閃。
青い軌跡が炎を切り裂く。
暴れていたブレイズサラマンダーは、水に包まれ、そのまま姿を消した。
燃え盛っていた炎も、少しずつ勢いを失っていく。
「……もう大丈夫だよ。」
「さ、さすが……。」
テルはその場へへたり込んだ。
「マジで助かりました……。」
「よくやったアル。」
鈴凛は静かに拍手する。
「危うく丸焦げになるところだったアル。」
リーナはため息をつきながら辺りを見回す。
「……で。」
「火の原因はこいつなのね?」
ニアは真剣な顔で頷いた。
「うん。」
「間違いないよ。」
「まぁ……。」
リーナは肩を落とす。
「原因が分かっただけマシなのかしら…?」
フローが優しく声を掛ける。
「みんな怪我はないかい?」
「しっぽが焦げかけたにゃ……。」
ラテがしょんぼりとうつむく。
「もう…。」
リーナは苦笑する。
「興味本位で近付くからそうなるのよ。」
「氷、持ってくるわ。」
テルは焼け焦げた食堂を見つめ、大きくため息をついた。
「……はぁ。」
「朝からどうしてこんなことに……。」
「本当にそうだよ!」
ニアも頷く。
「お騒がせなサラマンダー…!」
「……見ろ。」
鈴凛が所々黒くなった食堂を指差す。
「半分焦げてるアル。」
フローも苦笑した。
「教会の保護があるとはいえ、酷い有様だね……。」
「はぁ……。」
リーナは額を押さえる。
「これ、どうするのよ……。」
「改装してもらわないとダメそうですね…。」
テルが静かに答える。
リーナは空を仰いだ。
「……あぁもう!」
「ほんっとうに面倒くさいわね…!」
「……ってことは。」
ラテがゆっくり口を開く。
「しばらく食堂使えないにゃ……?」
「当たり前アル。」
鈴凛が即答する。
「……と、とりあえず。」
テルは手帳を取り出す。
「村長へ連絡しましょうか……。」
「……ってことは。」
リーナの表情がさらに曇る。
「西棟にも報告しなきゃダメじゃないのよ……。」
「ふぅー……。」
テルは遠い目をした。
「ちょっとヤバいか……。」
その時。
廊下の奥から、小さな声が聞こえた。
「……みんな。」
赤髪の長い髪に、中性的な顔付き。声の正体はルカだった。
「こっち来て。」
「わっ!?」
ニアが肩を跳ねさせる。
「びっくりしたぁ……ルカくん?」
フローが首を傾げる。
「どうしたんだい?」
「散歩をしていたんじゃ……。」
テルはゆっくりとルカの方を見る。
「…………。」
そして、ぽつりと呟いた。
「ヤバい。」
「…嫌な予感しかしない。」