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#魔王
青空美空
8
ruruha
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298
於田縫紀
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◇
「……こんなところに何があるのよ。」
リーナが訝しげな表情でルカの後ろを歩く。
ルカは何も言わず、会議室の扉を指差した。
「……これ。」
「?」
テルがゆっくりと扉の窓を覗き込む。
その瞬間。
「…………え?」
思考が止まる。
会議室の中は、床も机も椅子もすべて青い水の中だった。
天井近くまで満たされた水が、窓越しにゆらゆらと揺れている。
まるで巨大な水槽。
「……。」
ラテは口をぱくぱくさせる。
「にゃ……。」
半分、絶句だった。
「この屋敷は一体全体どうなってるアル…。」
鈴凛は静かに呟く。
「もう…さっきから何が起こってるのよ!?」
リーナは思わず頭を抱えた。
「知らない。」
ルカは相変わらず淡々としている。
「散歩してたら……見つけた。」
「いや、そんな道端で花を見つけたみたいに言わないでください!」
テルがすかさずツッコむ。
ニアは恐る恐る窓へ近付いた。
「こ、ここって会議室だよね……?」
「なんで水槽みたいに水が……。」
「知らない。」
ルカの返事は変わらない。
「これは……。」
フローはじっと水を見つめる。
「…ボクにも…さすがにどうにもできないかな。」
「……ちょっと待ってください。」
テルは両手で頭を押さえた。
「一旦、頭と心を落ち着かせないと気が狂いそうです。」
「私もよ!」
リーナも力なく壁へ寄りかかる。
「どうしてこうなったの……?わけがわからないわ…。」
「ま、待って!」
ニアは慌ててまたもや分厚い図鑑を取り出す。
「今、原因を調べるから……!」
「もうさっきからカオスすぎにゃ……。」
ラテはしっぽを抱き締めた。
「頭の処理が追いつかにゃい……。」
しばらく全員が水槽のような会議室を眺めていると。
鈴凛が静かに指を差した。
「……見ろ。」
「よく見たら、クラゲが浮いてるアル。」
「えっ!?」
ニアは目を丸くする。
「どこどこ……?」
「あ、本当だ。」
フローも小さく頷く。
透明な体をゆっくり揺らしながら、一匹の見慣れないクラゲが会議室の中を漂っていた。
「このクラゲが原因なのかな?」
「わかんない……。」
ニアは図鑑を何度もめくる。
「ちょっとクラゲの項目を見てみるね。」
数分後。
「……。」
「何かわかったアルか?」
鈴凛が尋ねる。
ニアは困ったように図鑑を閉じた。
「……うぅーん。」
「全然わかんない。」
少しショックを受けたような様子で。
「特徴がどれも一致しないよ……。」
「それ一番怖いやつにゃ……。」
ラテの耳がぺたんと下がった。
◇
十分ほど経った頃。
テルは大きく深呼吸をする。
「……すみません。」
「一旦、整理はできました……。」
「私も…少しは落ち着いたわ。」
リーナも疲れたように肩を回す。
「……つまり。」
「このクラゲが原因なのね?」
「うーん……。」
ニアは少し首を傾げる。
「多分……。」
「まだ確定じゃないアル。」
鈴凛が腕を組む。
「可能性は99.99999……。」
「り、リンちゃんストップ!」
ニアが慌てて止める。
テルは苦笑しながら頷いた。
「……とりあえず。」
「この会議室付近は立ち入り禁止ですね。」
「うん。」
フローも真剣な表情になる。
「…かなり丈夫な建物とはいえ、水圧に耐え切れず扉や窓が壊れる可能性が高い。」
「にゃっ!?」
ラテは思わず一歩後ろへ飛び退く。
「なにそれ怖すぎにゃ……。」
「……で。」
テルは周囲を見回す。
「ルカさ……。」
「……。」
「いないし。」
いつの間にか、ルカの姿は消えていた。
「ルカくんらしいね……。」
ニアは苦笑する。
「なんで一番最初に見つけたやつがフラフラどっか行くのよ……。」
リーナは額に手を当てる。
「しかも、一番この状況を解決できそうなやつが……。」
テルは空を見上げ、小さく息を吐いた。
「……仕方ないか…。」
気持ちを切り替えるように皆へ向き直る。
「とにかく。」
「会議室周りには絶対に近付かないでください。」
全員が頷く。
「じゃあ、とりあえず今日は解散で大丈夫です。」
「わかった……。」
ニアは小さく手を振る。
「テルさん、リーナちゃん、頑張って……!」
「なんだか不安にゃ……。」
ラテは何度も会議室を振り返る。
「大丈夫。」
フローは穏やかに微笑む。
「きっと何とかなるよ。」
その言葉に、少しだけ場の空気が和らぐ。
すると。
鈴凛が真顔のまま口を開いた。
「我、お腹がすいたアル。」
一瞬、全員が沈黙する。
「リンちゃんは肝座りすぎにゃよ……。」
そのツッコミだけが、静かな廊下に響いたのだった。
コメント
1件
あー、これ第8話か。読んだ読んだ。 もうね、会議室が水槽になってる時点で「は?」ってなるじゃん?しかもクラゲが泳いでるし。ルカがさらっと「散歩してたら見つけた」って言うの、マジでホラー漫画の導入すぎて笑ったわ。テルのツッコミがまともで助かる。 そして肝心のルカがいつの間にか消えてるの、ほんともう…。鈴凛の「お腹すいた」で締める緩急のつけ方、ゑぬ。さん上手すぎる。次が気になるわ〜。