来世は何になりたいですか?
そんな質問に
「裕福な家の飼い猫になりたいですね」
そう俺は笑顔で答えた
飢える事もなく
安心安全な場所でのんびりと
遊びたい時に遊んで
寝たい時に寝る
それは幸せな自由
ーーーーだと思っていたが
実際、飼いネコになってみると
それは自由ではなく不自由なのだと知った
窓ひとつない部屋の中
石目調のフローリングに
コンクリート打ちっぱなしのような壁
家具家電は黒を基調としてて
床、壁の雰囲気からもシックでおしゃれな印象で、あいつにはよく似合う
つけっぱなしの大きなテレビの前に転がって
「ひまぁ〜」と叫ぶ
地下にあるこの部屋は、防音も完備されていて、俺がどんなに叫んだところで外部には一切もれない
暫く子供のように手足をバタつかせていたが、虚しくなってやめた
足を動かす度になる鎖の音が俺をいやに冷静にさせる
ここは快適だ
なんでも揃ってる
テレビにゲーム
レコーダーだってあるし
俺好みのアニメや映画も見放題
ミニキッチンには冷蔵庫もあるし
ケトルもレンジもあるから食事にも困らない
空調もしっかりしているから
裸にTシャツ一枚の姿でも全然寒くないし
キングサイズのベッドもふかふかだ
トイレも勿論ある
お風呂も、男2人入っても余裕なぐらい広い
俺のために用意された部屋
俺を閉じ込めるためだけに造られた部屋
あいつは狂ってる
左足首に付けられた足枷は痛くならないよう配慮がされ、内側にクッション性の高い素材が使われていた
その足枷に繋がれた鎖は、この部屋の中ならどこへでも行けるよう不自由ない長さに計算されている
重さもそう感じないが、動く度にジャラジャラと音を立てるのが耳障りだ
この足枷のせいで
俺はTシャツ一枚の姿で生活をしている
もともとオーバーサイズの服を好んで着ていたから、大事な部分は隠れるし、さながら短めのワンピースを着ているように見えなくもない
もういっそ裸族になろうかと思ったが
「目のやり場に困るから」とTシャツを渡された
困るも何も、すぐに脱がそうとするくせに我儘なヤツだ
あいつは狂ってる
でも、俺もきっと狂ってる
『佐久間くんは肌が白いから、やっぱり黒がよく似合うよ』
首につけれた黒いレザーのチョーカー
首輪のつもりなんだろうな
俺は飼いネコになった
狂ったあいつのネコにさせられた
色んなモノを失った
それでも、あいつを恨めない
「蓮、早く帰ってこないかなぁ」
これが愛なら
やっぱり2人とも狂ってる






