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 ──テオドア様と対面する、少し前。

「短剣が?」

 日が暮れかける時間帯。
 来客を迎えるため、応接間のソファーに腰掛けたジークフリート殿下が、かたわらに立つ私を見上げた。

「はい。殿下のお身体を取り戻す魔術を行う際に、また少し熱くなっていることに気づいて……。確認のために今朝、持っていってみたのですが」
「そもそも祭壇のある地下に辿り着けなかったと」

 頷き、殿下に短剣を返した。
 殿下は鞘から短剣を引き抜き、指でその黒い剣身を撫でる。

「なにかまじないでもかかっているのか?」
「魔除けの黒曜石が使われていますし、その可能性が高そうです」
「ふむ」
「ですが、決して危険な気ではありません。むしろ心が安らぐというか……まるで短剣を通して、殿下の母君の愛**************

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嫌われメイドですが、王子殿下の恋人役になりました

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