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プロローグ
風が、鳴いていた。
夏と秋の境目、午後の空気はどこか頼りなくて、音も匂いもすぐに遠くへ逃げで行く。
14歳のスミレは、村の外れにある「入っては行けない森」の前にたっていた。
森の名前は「霧森」という。
昔からそこには、風を食べる獣が住んでいると言われていた。
「名前を、探して。」
その声は風のように優しくて、でもどこか、悲しみに濡れていた。
スミレは森の中に1歩。足を踏み入れた。
草の香り。湿った土の匂い葉がこすれる音,,,,,
全てがいつもよりも深く、遠く、静かだった。
すると、風がやんだ。
「,,,,,ようこそ」
誰もいない森の奥から、声がした。
それは、確かに”風の獣”の声だった。